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GRist 61 藤田一咲さん

こんにちは、野口です。今回のGRistは、写真家の藤田一咲(いっさく)さんです。

肩の力を抜いて撮影を楽しむことを提唱する「脱力写真家」の一咲さん。 これまで、GRで撮った素敵な写真を数多く雑誌に紹介していただき、 「リコーGXRパーフェクトマニュアル」(エイ出版社)では、一冊丸ごと撮影や解説をお願いしました。インデペンデントなGR撮影ワークショップの講師も数多い一咲さん、今回は「小さなカメラで日常スナップを楽しむコツ」をお聞きしました。

GRist 61 藤田一咲さん

■丸く育てていく作業

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野口(以降:野):一咲さんは、脱力写真家と自称してますね。

藤田(以降:咲):脱力とは、ただダラダラ撮るのではなく、1つの方向にだけこだわらないという意味なんです。

野:力を抜いて、いろんなものを見て、シャッターを切るということですか?

咲:そうですね、風船を大きく膨らませていくようなイメージで、丸くしていきたい。そんな丸をたくさん育てていきたいと思ってます。

野:一咲さんの写真には、優しさが溢れてるのは、そんなところからなのかな?

咲:ボクは、スナップというのは、他者とのつながりを感じて深めるものだと思っています。他者を世界とか宇宙に置き換えてもいい。それが、幸せを感じる瞬間になる。丸い幸せ、そんな瞬間を増やしていく作業がスナップの面白さだと思って、いつもシャッターを切っています。

野:一咲さん自身は、どんなものに興味を持ちますか?

咲:特定のものはないんですけど、あえていえば、時を感じさせるもの。落ち葉とか、錆とか、コーヒーカップも飲んだ後とか(笑)

野:侘び寂びですね(笑)確かに、過ぎ去った時の中に人の匂いや温もりを強く感じます。

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■日常スナップを楽しむ5つのコツ

野:ワークショップの講師も多い一咲さんに、今日は「日常スナップの楽しみ方のコツ」を5つ紹介してもらいたいです。まず1つ目は?

咲:なんにでも気軽のカメラを向けて撮ってみること。

野:それが、最初はなかなか難しいものですが。

咲:確かに、「難しいこと考えないでなんでも撮ればいいんだ」と言うと、皆かえって困ってしまうんですね。だから、最初はテーマを何かひとつ決めることがいいですね。女性の足が好きなら必ずどこかに足を入れるとか、壁が好きなら壁ばかり撮ってみるとか。

野:では、2つ目は「テーマを何か決める」ですね。自分がどんなものに反応するのか?自分自身がわかっていないことも多いので、自分の琴線探しのためにテーマを決めてみるのは、有効ですよね。3つ目は?

咲:アングルを変えてみること。普段は自分の身長、目の高さでばかり世界を見ているのを、上から、地面から、左から右から、いろんな角度で撮ってみると、面白い発見があります。

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野:なるほど、「アングルを変えると世界の見え方が変わる」と。では4つ目お願いします。

咲:エフェクト機能を積極的に使いましょう。今のカメラは大抵、様々なエフェクト機能を持っていますから。デジタルなんだから、どんどん使うといいですね。表現の幅が広くなりますし、いつもの風景がちがって見えてくる。驚きや新鮮な発見がある。

野:一咲さんはどんなエフェクトが好きですか?

咲:GRだと、ブリーチバイパスやクロスプロセスは多用してますね。

野:最後、5つ目です。

咲:「たまにカメラを変えよう」です。カメラが変わると気分も変わります。

なるほど、一咲流「日常スナップの5つのコツ」は
①頭で考えない、なんでも撮ってみる
②テーマを決める
③アングルを変える
④エフェクトを活用する
⑤たまにカメラを変えてみる
ですね!

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■写真の見方

野:一咲さんは、現在、カメラ雑誌『デジタルカメラマガジン』のフォトコンテスト審査員をされています。毎月多くの写真を見ているのですよね

咲:はい、毎月約4000枚ほど。大変ですけど、とても楽しい。

野:審査のポイントは?どこに注目するのでしょうか?

咲:ピントがどこに合っているか?気持ちがどこまで映り込んでいるか?を重視します。つまり、自分の気持ちにどれだけ寄り添っているかが大きなポイントになります。綺麗でカッコイイ写真はたくさんあります。というか、皆さん巧いです。ほんとレベルが高い。でも、ボクが注目したいのは、それよりも気持ちの部分です、多少撮影技術がヘタでもいいんです。

野:なるほど。

咲:同じ風景でも「ただ綺麗だから撮りました」だけでは物足りない。自分はこの綺麗な風景の中で、ここが好きでシャッターボタンを押した、と言えること。そこが伝わってくる写真でないと、綺麗な写真で溢れる中で、心を動かしてくれません。

野:自分の視点(気持ち)が写っていると、見る人にも伝わるというわけですね。

咲:そうですね。

野:気持ちが入っているかが重要ということはわかるんですが、例えば「ここが素敵だと思って、思わずシャッターを押したんです〜」と熱く語ってくれるわりに、どうもそれが全然伝わってこない写真、というのもよくあります。それは、やはり基本的なテクニックが欠けているからでしょうか?

咲:それはありますね。表現というのは、気持ちだけでは伝わらないんです。人に何かを伝えるには、最低限の技術はやはり必要。たとえば、簡単に音が出るピアノやハーモニカでも、自分がいいと思って、ただ鍵盤を叩いたり息を吹き込んでも、他の人には心地よい音楽として伝わらないように。写真にも最低限の伝達技術のようなものはあるんですよね。技術と感性のバランスとでもいうのかな、それが高次元で取れているのがいい写真になりますね。

■今日のGRセッティング

野:ゼロハリのケース、カッコいいですね!中にクッションを入れてカメラケースにしている。

咲:20年ほど使い込んでいるお気に入りです。把っ手はカスタマイズしてサマー仕様です(笑)

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野:GRのセッティングは?

咲:絞り優先、ISO100、RAW+JPEG、グリッド表示くらいですね。ISOとWBは頻繁に変えます。あとは、GRのTシャツ(笑)

野:わはは、それは以前ユニクロさんが作ってくれたUTですね、ありがとうございます!最後に、GRを持って行きたいお気に入りの場所とか、ありますか?

咲:浅草の裏の方とかいいですね。人がごちゃごちゃいるところと、その裏の寂しさのギャップが好きです。

野:一咲さんと浅草寺裏手辺りを写真撮りながら散策するの楽しいだろうな。そんな撮影ツアーが実現したらいいですね。

~取材を終えて~
「ボクはアーティストではないから」とはにかむ一咲さん。パリから浅草まで、世界のつながりを、優しく丸く膨らませていく地道な創作活動は、自分のセンスで自己表現するアーティストというよりも、釜で焼き物を作る職人のようなマインドに近いのかもしれません。これからも、素敵な写真で僕たちを楽しませてくれること、間違いないです。

■お気に入りの一枚
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GRD4 で撮影。ストレートな写真が好き。Love & Peaceな写真が好き。世界や宇宙とつながっていることが実感できる写真が好き。

■プロフィール

藤田 一咲 ふじた・いっさく
東京都出身。ノンジャンルのフリーランス・フォトグラファー。
トイカメラやコンパクトカメラを愛し、肩の力を抜いて撮影を楽しむことを提唱する自称「脱力写真家」。ストリート・スナップからポートレート、風景・物撮りまで行い、広告、雑誌の取材、書籍の分野で活動。また、雑誌等の写真器材のレビュー記事や、撮影に関する記事の撮影・執筆も手がける。著書は40冊を越え、個展も多数開催。
近刊は「X-T1 FANBOOK」(インプレス)、「ねこカメラ」(エイ出版社)、「彼女を素敵に撮る15の方法」(玄光社)など。
藤田一咲公式サイト http://issaque.com

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