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GRist

GRist 66

GRist 66 塙真一さん

GRist、イケメン続きます.今回は塙 真一(はなわ しんいち)さんの登場です。
塙さんは、2007年発刊のGR SNAPSに参加頂き、翌年はGR BLOG主催第3回撮影会で講師をお願いしました。真夏の山下公園~大桟橋の撮影散歩がなつかしいです。今年2月に立ち上げた写真家ユニットPixelsとして初の写真展の会場となったフレームマンエキシビションサロン銀座でお話を聞かせてもらいました。

GRist 66 塙真一さん

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■異色の経歴~元レーサー

野口(以下:野):元レーサーという異色の経歴ですが、写真家になったきっかけは?

塙:父がCMカメラマン(ムービー)という影響もあって、中高は写真部。写真家になろうと思っていました。それが大学に入って車が大好きになって、週末になると仲間と夜の箱根を走ったりする日々を過ごしてました。

野:車への憧れが今より強くて、車がステータスだった頃。

塙:そう、それが高じてサーキットでレースを始めます。そこから、自然と車のCM撮影のドライバーをやるような仕事に入っていきました。

野:相当本気だったんですね。趣味が仕事になったと。

塙:そんな時期に、車のCM撮影のロケで北海道に行きました。そこで、スチルの撮影班と一緒になることがあって、あこがれのCanon F-1を触らせてもらったり写真談義したのがきっかけで、また写真家への情熱が再燃してきたんです。

野:学生の頃の夢がまた沸々と?

塙:はい、それで、仕事の合間に撮り貯めていた写真を、当時の車雑誌の編集長に見せて、「写真がやりたいので仕事ください」とお願いしました。そこで車のインプレッションを写真と文章でやったのが、スタート。

野:車雑誌が写真家デビューなんですね。

塙:はい。でも、その雑誌が月刊から隔月になり季刊になり、ちょっと危うくなってきたんですよ。それで、PC雑誌を中心に、パーツのブツ撮りやデジタルカメラのレビューの仕事に変えていきました。まだ編集部でさえデジタルカメラで撮影している人は少なかった中で、OLYMPUS CAMEDIA C-2000 ZOOMとかで撮っていたなあ。

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■ライフワーク「夜スナ!」

野:塙さんがライフワークとしている、夜の街を撮る「夜スナ!」について教えて下さい。

塙:僕は朝が苦手だったこともあって、夕方から夜にかけて撮り歩くことが多かった。

野:早起きが苦手?

塙:そうなんです。写真は光で、光を追求するのが写真だと思っていますが、夜はその「光」に対する感度が高まるんです。

野:なるほど、暗いから昼間以上に光が意識できるということですね。

塙:もちろん、ただ普通の夜を撮っても、平坦なものになってしまいます。雨の舗道に映る街灯とか、ネオンが映り込んだショーウィンドウとか、そういう光を捉えていくと面白い。

野:そういえば「GR SNAPS」の写真も、新宿の夜の街でしたね。

塙:もちろん、カメラの進化によるところも大きいです。ISO400が限界という頃は作品としては厳しかった。今は、ISO1600でも充分な画質が得らるようになりました。

野:夜スナ!のハードルが下がった。

塙:だから、夜をもっとスナップしよう!楽しいですよ!というメッセージを込めて「夜スナ!」という言葉を作ったんです。

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■道路標識からも喜ばれたい

野:塙さんは、写真教室や撮影会の講師も数多くしていますが、指導するときのポイントは?

塙:写真の上手下手や良い悪いは誰が決めるか?商業写真の場合は、クライアントが満足した写真が良い写真ですが、そうでない場合は、(1)自分が心底良いと思えるか?と(2)撮られた相手(被写体)が喜んでくれる写真か?が重要です。

野:喜んでもらえる写真が、良い写真の条件ですか?

塙:はい、僕はよく道路標識など撮りますけど、そういうときも同じ気持ちです.

野:どういうこと?

塙:道路標識から「お前が一番俺のことをかっこよく撮ってくれた」と言われるように撮ろうと.

野:なるほど~、面白い。人物以外でそんな風に考えたこと、あまりなかったなあ。

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塙:講評のときに必ずやるのは、参加者によいと思う写真を3枚選んでもらい、その中で一番のお気に入りを決めてもらいます。同時に、他の参加者にもその3枚の中でどれが一番いいかを投票してもらう。そうすると、自分が良いと思ったものと他人が良いと思うものが違うことが多いんですね。そういう中で、「見ること」と「見せること」を意識するようになっていくんです。

■ニューヨーク

野:塙さんというと、ニューヨークのイメージがあります。写真展もされています。ニューヨークのどこに惹かれるのでしょう?

塙:もともとアメリカが好きだったのですよ。

野:はい

塙:若い頃にみた浅井慎平さんの写真の印象が強く、それがアメリカに対する憧れのキッカケだったと思います。ロスでバドワイザーの空き缶が転がっているイメージの写真。

野:その中で、サンフランシスコでもロサンジェルスでもなく、ニューヨークに惹かれるのは?

塙:ニューヨークは東京的だと思うんです。どこかクールで、適度な距離感を保ちながら人が交差する街。そこが魅力ですね。

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野:今回の写真展「オープニング」ではパリの写真ですね。

塙:ニューヨークはこれからも撮り続けるつもりだけど、ちょっと一度離れてみようと思って。パリは多くの人が撮り尽くしているようでいて、意外とまとまったものは少ないなとも思ったし。

野:どうでしたか?

塙:パリの人たちの距離感はニューヨークと似ている感じがして、とても楽しく撮れました。それと、場所が変わっても自分の見る光は変わらない、ということも確認できました。


■写真家ユニット「Pixels」

野:今年2月に写真家ユニット「Pixels」を立ち上げました。

塙:写真は楽しむことが大切だけど、楽しいと適当は違うと思います。基礎をとばしてボケた写真を撮ってアートだ、っていうのも違うと思う。基礎的な知識や技術を学ぶことで、より深い楽しみを体験することができます。そんな楽しみを深めるサポートができたら、と思って発足しました。

野:ちょっと意識を変えたり、使わなかった機能を覚えただけで、格段と写真が面白くなる体験。僕にもあります。

塙:それを、メーカーや機種を越えた活動としてやっていきたいと思います。

野:塙さんと二人の若い写真家、上田晃司さん、コムロミホさん、の3名のユニットです。

塙:写真への指向もスタイルも三者三様、活動の幅も広がると思います。

野:そのスタートとも言えるのが、Pixels写真展「オープニング」ですが、これからの具体的な活動は?

塙:撮影技術のワークショップ、撮影会をはじめ、写真、カメラに関するさまざまなイベント、情報発信をおこなっていきます。

野:楽しみです!

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写真家ユニットPixels(左からコムロミホさん、上田晃司さん、塙真一さん)


■お気に入りの一枚
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GRで夜の銀座をぶらぶらと夜スナ!してきました。光をダイナミックにとらえてくれるハイコントラスト白黒がこの街には似合うような気がしました。GRのコンパクトさは夜スナ!にぴったりです。


~取材を終えて~
被写体に喜ばれる写真を撮ろうというのは、人物撮影でよく聞きますが、道路標識やマネキンなどにも同じ姿勢でシャッターを切るというのが、新鮮であり、納得でした。そんな風に考えて撮ると、スナップが一層楽しくなりそうです.僕も「夜スナ!」で光の感度を磨いてみようと思いました。

■プロフィール

塙 真一(はなわ しんいち)
東京都出身。人物をメインの被写体とするフリーランスのフォトグラファー。
役者、タレント、政治家などの撮影もおこなうほか、カメラ誌に写真や記事を寄稿する。また、海外での肖像写真撮影や街風景スナップ、夜の街を撮る「夜スナ!」をライフワークとする。アメリカの街と人を題材に写真展の開催も多数。日本写真家協会(JPS)会員。

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