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GRist

GRist 39 赤城耕一さん

こんにちは、社員Nです。
さて、今回の"GRist"は、カメラメカニズムライターとしても人気の写真家、赤城耕一さんのご登場です。
これまでに数え切れないほどのカメラをテストし、レビュー記事を執筆されてきた赤城さんの"Candidスタイル"を知りたい!感じたい!ということで、お散歩しながらのインタビューをお願いしました。
場所は、赤城さんがこのところ撮影でよく訪れているという、羽田界隈。六郷で生まれて今も住んでいる社員Nにとっては、まさに日常風景。普段見慣れた景色のなか、赤城さんがどこに足を止め、どう切り撮るのか?興味津々で向かいました。

GRist 39 赤城耕一さん

急に冷え込みがきつくなった1月下旬のある日。まずは、京急蒲田近くのレトロな珈琲専門店で赤城さんと待ち合わせ。約束の10分前に着きましたが...すでに赤城さんが座っている!最初から焦りました...
■喫茶店にて
社員N(以下、N):「あっ、赤城さん。お待たせしてすみません」
赤城さん(以下、赤): 「いえいえ、そんな。たまたま早く着いちゃっただけだから」
N:「そういえば赤城さん、GR Digital Ⅳ パーフェクトガイド(1月23日発売、発行:インプレスジャパン社)、拝見しました。「私はほぼすべてのGRシリーズを使用している"GRイスト"だ」というコメントありがとうございます。それで取材をお願いしたのではないのですが、タイミングばっちりでした」
赤:「GRistっていう企画があるなんて知らなかったので、たまたまだよね。でもまあ、それも巡り合わせでしょう」
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N:「ではではさっそく、インタビューに入りますね。ずばり、GR DIGITALを代々使い続けていただいて感じることは?」
赤:「いきなり? そうですね...やっぱり使いやすいよね。一眼並みによく写るし、軽い。仕事にも安心して持っていける。コンセプトが変わらないし、ずっと単焦点で通してきたっていう潔さも好き」
N:「ありがとうございます。機能面でこれが好き、というところはあるのでしょうか?」
赤:「それはもう、マニュアルフォーカスで距離が出るところ。よくぞ載せてくれました!って感激しちゃったね」
N:「あくまでも目安ですが」
赤:「そのくらいのアバウトさがいいんですよ。僕は、テキトーが基本だからさ(笑)」
N:「では、気に入らないとこ、不満な点などは?」
赤:「うーん、ちょっと最近多機能になってきたってとこ」
N:「最近になって初めてGRDを購入された方から時々聞きます」

N:「焦点距離について教えてください」
赤:「僕は、基本的に35mmが好きなんだ」
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N:「28mmは広すぎますか? 赤城さんは35mmレンズはもう数えきれないくらい保有しているというのは業界で有名な話ですが...」
赤:「世界中の35mmレンズを制覇するのが目標!といってる(笑)」
N:「35mmの魅力って何なのでしょう?」
赤:「自然なところだよね。画角が何かを主張していない。撮る人も見る人も画角を意識しない、構図にごまかされないというかさ」
N:「わかる気がします。でも、それだけに、難しいですよね、平凡な絵になってしまうというか」
赤:「平凡になることを恐れることないでしょう。カメラやレンズに使われない方がいいんですよ」
N:「なるほど...」
赤:「だからね、次のGRは35mmで決まり。Fは1.4あったらいいな。はい、これで決まり。頼みますよ!」
N:「貴重なご意見として、お聞きしておきます(笑)」
赤:「...とかいいながら、こういうのもいつも持ち歩いている」
N:「GR21って...思いっきり広角じゃないですか(笑)」 
赤:「若いからね。35mm好きも、最近はGRのせいで28mmをたくさん使うようになって、最近はこれもね。でも、やはり、基本は35mmなんですよ」
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■京浜急行で羽田方面へ移動。天空橋駅で下車。
N:「寒いですねぇ、天気持つかなぁ」
赤:「ホントだよね。Nさん、雨男じゃない?」
N:「大丈夫です、僕は晴れ男です!(キッパリ)」
赤:「へー、じゃあ、このあと晴れることを期待して、行きますか」

■海老取川河口で撮影
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堤防を越えて、船着場あたりを歩く赤城さん

N:「カメラメカニズムライターとしてのお仕事は、どのくらい前から始めたんですか?」
赤:「書く仕事を始めて、今年でちょうど20年目になるんだよね」
N:「ああ、それはおめでとうございます!」
赤:「そんなに、めでたくはないけど。それに、まだまだ日が浅い方ですよ」
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「いいですよね、この雑然とした感じ。」と赤城さん

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「何だろうな、あれは...」

N:「ライターを始めた、最初のきっかけは何だったんですか?」
赤:「こう見えても、若いころは正統派の写真家を目指したんですよ。写真家としてのデビューは、毎日新聞社から出ていた「カメラ毎日」の「アルバム」という当時の写真家の登竜門ともいわれたページでした」
N:「ふむふむ」
赤:「カメラ毎日なきあとは「アサヒカメラ」のグラビアにも何度か掲載していただいたんですが...あるとき、雑談中にメカニズム記事にケチをつけたんですよ。生意気にも。で、だったら書いてくださいって。それからはや20年という」
N:「これまで何機種くらいカメラのレビューや解説をしたか、数えたことはありますか?」
赤:「えーっ、数えたことないなぁ...一年で50...もっとかなぁ...」
N:「それだと1000モデル超える...その中で、『これは凄い!』と感じるのは、どんなときですか?」
赤:「コンパクトデジカメに関して言えば、最近はもう画質とかノイズとか興味なくなってきたよね」
N:「充分満足?」
赤:「どれも同じ...っていうと怒られるけど。それより、機能が多過ぎるよね...。僕は基本、マニュアル読まないから、読まなくても使えるものがいい」
N:「露出とシャッタースピードとWB、ISOだけいじれればいい...という感じですか?」
赤:「シンプル・イズ・ベスト。あとはデザインかな」

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赤:「おっ、ホントに晴れてきたね...」
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N:「(ほっ...)」 
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撮影のときは黙々と。

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「あれはシジミ漁の仕掛けかなぁ...」

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N:「『これは凄い!』『これはダメでしょ!』と思ったカメラってありますか?」
赤:「『凄い』と思ったのはLeicaのM4でしょう。『ダメ』と思ったものはあまりないよね、僕は100点からスタートするから」
N:「最初は百点満点ですか、でもそこで安心できない」
赤:「そ。みんな最初は100点。で、使い込んでいくうちにだんだん悪いとこが見つかってくる。100点からの減点法。 そのまま書くと、『最初に言ったことと違うじゃないか?』って言われるんだけど...しょうがないよね」
N:「赤城さんの"魔法の言葉"で、多くのカメラ好き、写真好きが苦しんできた...なんて話を聞くこともありますよ。 『無理をしても必ず所有しなければならない1本である』とか読んで、みんな本当に無理しちゃったと」
赤:「ふふ」

■羽田散歩
N:「最近、羽田界隈に出没しているとの噂ですが...なぜここに?」
赤:「出没って(笑) いや...特にコレといった理由はないんだけど。たまたま雑誌の仕事で来て、面白い場所だなぁと」
N:「どの辺がですか?」
赤:「浅草とか、有名な撮影ポイントというのは、地名が記号化されてるっていうのかな。名前を聞いたらテーマが立つような場所はどうもね...」
N:「イメージが固まったような場所...ということでしょうか?」
赤:「そうそう。僕は、被写体に寄りかからない写真が好きなんですよ。まさに『角のタバコ屋までの旅』ってやつ」
N:「そういえば、GRのコピーで "いつもの道が旅の入り口になる" というのがありました」

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ぶらりと立ち寄った穴守稲荷神社で拝礼

赤:「...でも、旅はそんなに好きじゃないんだよね」
N:「あれっ?じゃあ、『旅とカメラと私』で赤城さんが大阪の大正を選んでいたのは...?」
赤:「あの時は大阪に行くことは決めてたんだけど、大阪のココっていう場所は特に決めていなかった。JR大阪環状線に乗りながら街並みを見ていたら、すごく独特の雰囲気を感じたので下りた。そこが「大正」だった...っていう感じだったね」
N:「ははぁ、なるほど。それにしても"旅が好きじゃない"って、写真家の方では珍しいですよね?」
赤:「そう、よく言われる。基本面倒くさがりやだから。テキトーが好きなんで(笑)」

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のどかです、羽田。

N:「平日の昼間とはいえ、人が少ないですね...」
赤:「昼間のねぼけた飲み屋とか、何をしてるのかわからない人とかが、いいなと思うんだよね...ってまあ、俺たちのが怪しいか」

■お気に入りの一枚
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タイトル:漁師小屋
(コメント)羽田にて。日常の何気ない風景の中にも、撮影対象は無限にある。被写体を探し求める旅に出るのではない。歩く目になれば、出会いは必ずやってくる。


■取材を終えて
今回は、スペックの話とかせずに、のんびりゆっくり散歩を楽しむ取材でした。「テーマが立っていない被写体がいい」 「被写体に寄りかからない写真がいい」という言葉がとても印象的でした。
そんな風に考えると、いつも見慣れた風景が、ほんとうに旅の入り口になるような気がしてきました。

■プロフィール
1961年東京生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒。
エディトリアル、広告での撮影に携わるほか、各誌のカメラ雑誌でのメカニズム記事、ハウツー記事などを寄稿。現在「アサヒカメラ」(朝日新聞出版)で「銀塩交遊学」,「月刊カメラマン」(モーターマガジン社)で「ボケても、キレても。」を連載中。著書に「定番カメラの名品レンズ」(小学館)「カメラ至上主義!」、「レンズ至上主義!」(平凡社)ほか多数。

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