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GRist

GRist 64 森谷修さん

今回のGRistは、カメラ雑誌などでもお馴染み、味わいのある写真と文章でファンも多い森谷 修さんです。実は、森谷さんには以前、リコーのコンパクトデジタルカメラCX6のカタログ撮影をしていただいたこともあります。モノクロのイメージが強い森谷さんですが、今日はどんなお話が聞けるでしょうか?

GRist 64 森谷修さん

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野口(以下:野):スタートは大手テレビCM制作会社でのムービー撮影だったと?

森谷(以降:森):ええ、技術者のような仕事でした。当時はまだバブリーで予算も豊富、レンズも作品に合わせて製造するなんてことも日常的でした。

野:何故、そこから写真の世界に?

森:スチル出身のカメラマンが多くて、写真と接する機会が多かったんです。その辺から、どうも写真が肌に合ってるなと感じて。

野:具体的にどんなところが?

森:作り込んで行くCMとは違って、写真は、投げかけたものに対する反応を受け止めていくやり取りが面白い、被写体との関係性の魅力ですね。

野:なるほど、近いようで異なる世界への挑戦ですね。写真で食って行けるという手応えはどんなときに感じられましたか?

森:うーん、例えば雑誌の仕事を一つさせてもらうと、同じ雑誌から次にもう少し大きな仕事が来る。そんなことを繰り返していくうちに、チャンスさえ与えられれば期待に応えられるぞ、と思えるようになりました。

野:それは、大きな自信になりますよね。

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■職人を撮る

野:雑誌や広告のお仕事が多いと思いますが、最近の仕事を紹介してくれますか?

森:地元、大田区の仕事で、地域の町工場を記録するプロジェクトに写真家として参画させてもらいました。小さな町工場を訪問して、100人以上の職人さんを撮ったのが面白かったですね。野口さんのお父さんもそんな仕事だったんですよね?

野:はい、自宅の仕事場で旋盤回していました。

森:実はうちの親父もそうなんです。だから、なにか特別な思いがあって。大田区の町工場って、いまや世界的に注目されている時代ですし。

野:職人さん、気難しかったり無愛想だったり、撮影するの難しかったのでは?

森:そうですね 、しかもシャイだし(笑)

野:撮影のコツは?

森:やっている振りをさせないで、ホントにやってもらうことかな?

野:工場の中は、狭かったり薄暗ったりもするし、大変ですね。

森:ええ、でも、キリコとかバイトとか古いAMラジオとか、魅力的な被写体がたくさんあって、飽きさせない場所でした。

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■写真について伝えたいこと

野:ワークショップをしたり、写真を講評したりする機会も多いと思いますが、写真好きな人へ森谷さんが一番伝えたいことは?

森:「与えられた常識を疑って崩していく」ことかな。諸先輩方達はそれをしてきたけど、今は知識が豊富で、こうすべきというルールが浸透し過ぎている気がします。

野:型にはまっていると?

森:そうですね、そこが優秀なのに残念だと感じることがあります。もっと自由に楽しんで欲しいです。

■海が好き

野:初めて森谷さんにお会いしたときに、GR DIGITALで撮った沖縄の海の写真を見せてもらいましたね。

森:昔から海が好きなんです、だから沖縄とかバリにはよく行ってます。

野:海は、どんな魅力が?

森:古代人の視点かな。遠い祖先が船に乗ってやってきた、そんなことを考えながら海を見るのが心地良いんですね。

野:なるほど、太古と繋がっている場所なのかな?そんなロマンが、森谷さんの写真にも現れているような気がします。ところで、森谷さんが好きな写真家は?

森:ロバート・メイプルソープ。

野:メイプルソープのファンは多いですが、森谷さんは、どこに惹かれるのでしょう?

森:前後関係とかなくて、一枚でズシンと伝わる力がある。僕は、物語を作るCMから入ったこともあるので、逆に一枚で伝える迫力に惹かれるのかもしれません。

野:写真的、ということでしょうか?

森:はい、とても写真的だと思います。それと、彼の作品は、花の写真はエロチックで、ヌードは即物的、というのも面白いですよね。

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野:森谷さんの持ち味は、ご自身ではどんなところだと思いますか?

森:うーん、どんな状況でもある程度のレベルの写真を揃えられる、というところかなあ。

野:そういう感覚、とても職人的だと思います。その積み重ねが信頼を築いてきたんですね。今後やりたいことは?

森:これまでは自分の作品作りして発表などもしてきましけど、今一度、職業人としてカメラマン業に戻ってみたいと思います。なので、仕事として"人"を撮っていきたいです。

野:森谷さんらしいですね

■お気に入りの一枚
PHMO-010.jpg
GRDIGITAL IIとワイドコンバージョンレンズの組み合わせ。大好きな沖縄の海。早朝から夕暮れまで浜辺で過ごした日の最後の1枚である。潮騒の調べに身を委ね、遠き彼方へと思いをはせる。

~取材を終えて~
"ロマンチックな職人"という言葉がぴったり人柄。気負わず、いつも自然体。優しい語り口の中から、時折みえるプロとしての懐の深さ。これからの活動が楽しみですね!

■プロフィール

森谷 修(もりや おさむ)
 
写真家。1965年東京生まれ。㈱東北新社・CM撮影部、写真家の弟子を経て、フリーランスフォトグラファーとして独立。広告・雑誌の表紙グラビア・CDジャケット・行政広報など、人物ポートレート撮影を主に行っている。
歌手・役者・タレントから、秀でた芸を持つ頑固な職人、市井の人々まで、優しいまなざしを向ける。2002年よりモノクローム写真作家としての活動を開始。
ギャラリー依頼による写真展、オリジナルプリント販売、エッセイや講演など活動の場を広げている。
http://moriyaosamu.sakura.ne.jp/wp/

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