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GRist

GRist 17 布川秀男さん

こんにちは、みにゅう です。
今回は写真家の布川秀男さんの登場です。
銀塩フィルムカメラ時代から長年のGRユーザーである布川さんが今年喜寿(77歳)を迎えられるのを機に、お祝いと感謝の気持ちをこめてお話を伺いました。

場所は布川さんの地元、神戸。
ロマンティックな異人館街の中にある素敵なレストランで、食事を楽しみながらのインタビューとなりました。

GRist 17 布川秀男さん

■GRとの出会い

みにゅう(以降 み):早速ですが、まずはGRとの出会いについて教えてください。

布川さん(以降 布):銀塩フィルム時代からライカが好きで使っていたのですが、GR1と出会って、そのシャープかつまろやかな描写が気に入り、それ以後は常に携帯しスナップするカメラになりました。
レンズの構造も画期的だったし、28mmが私にとってのワイド標準の画角でちょうど良かった。
仕事に使うメインカメラもGR1に移りました。

み:カメラのデジタル化についてはどうでしたか?

布:デジタルカメラを少しずつ使ってはいたんだけど、リコーのデジタルカメラRDC5000(1999年4月発売)を使ってみた時に、これで写真はデジタルに変わるだろう、と直感した。
それならパソコンが使えないとダメだってことで、写真のためにパソコンの勉強を始めてのめりこんだよ。
そのおかげで、いまやパソコンを自作するほどに詳しくなった。
銀塩フィルムに置き換わるほどにデジタル化が進むとは思っていなかったが、デジタル化のチャンスに早く恵まれたのは良かった。

その後、リコーがデジタルカメラに専念すると聞いたとき、絶対にフィルムカメラのGR1やGR21に負けないデジタルカメラを作って欲しいと希望していた。
リコーはカメラメーカーとしての自負心・スピリットを持って、こだわりのある独自の製品を作らなくちゃいけない。
常にリコーは時代に先んじたものを出してきているからね。

最新のR8は素晴らしい製品で、使って感動し1ヵ月で7500枚も撮りまくったよ。
いろいろ試してみてカメラの個性がわかってくるのが楽しいね。

Nunokawa_1_s400.jpg

■撮影機材について

み:普段の撮影機材はどのようなものをお使いですか?

布:GR DIGITAL II、GX100、R8の3台を持っていきます。
GR DIGITAL II には光学ファインダをつけて。バッテリーはそれぞれに5~6個づつ。
記録メディアは2GBか4GBのものを20枚は持ちます。海外での撮影だとさらに倍の枚数。フォトストレージも2つ。

今日はGRバッグに3台を入れてきました。
本体の他に、コンバージョンレンズ、記録メディア24枚、バッテリー6個が入っています。
これだけの機材があれば、2~3泊くらいの撮影には十分です。

Camerax3_s400.jpg

み:バッテリーと記録メディアの数には驚きました。

布:撮影チャンスを逃さないこと、撮った写真は確実に残すこと、それが大事なのでバッテリーと記録メディアには気を使っています。

一眼レフとフィルムを使っていた時には、フィルムだけでトランク1個分、さらに機材でトランクがもう1個あったから、助手がいないと移動は無理でしたね。
それに比べれば機材がずいぶんコンパクトで軽くなって楽になりました。

み:撮影されたデータはどう管理されていますか?

布:一度ハードディスクがパンクしてデータを失った苦い経験があって、それ以来撮影データは几帳面に整理しています。
1テラバイトサイズのハードディスクを二重にして保存し、さらにDVDにもバックアップをとっています。
1日の撮影データは必ずフォトストレージに入れています。それをハードディスクに保存するまでは不安なんです。

■撮影の際の設定は?

み:カメラの使い分けや設定はどのようにされていますか?

布:最初はノーマルの設定にしておいて、その場に行って撮影しながら変えていきます。
被写体を見ていると新しい発見がありイメージが湧いてくるので、それに合わせていろいろ工夫しますね。

R8は高倍率ズームがありなんでもカバーできるので、まず広角側を使って押さえの写真を撮る。
その後、GR DIGITAL II やGX100で徹底的に撮ります。

超ワイドで撮りたい時はワイドコンバージョンレンズを使って、19mm(GX100)や21mm(GR DIGITAL II)の画角でも撮ります。
GR DIGITAL II は撮影に夢中になってしまうカメラですね。

露出の設定は、ちょっとアンダーのEV-0.3にしています。
理由は、後で画像処理することを考えても、白トビは救うことができないから。
その他の設定はノーマルです。

作品にしたいときはGR DIGITAL II やGX100でRAWフォーマットで撮影し、じっくり画像処理を行います。

R8は幅広く誰にでも良く撮れるカメラ、GX100はちょっと味付けをしたい時のカメラ、GR DIGITAL II は機動力を生かして徹底的に良く撮ることができるカメラ。
それぞれに個性がしっかり分かれているところがいいですね。
1cmマクロは、共通の優れた機能だ。

■写真をうまく撮るコツを教えていただけますか?

布:最近はカメラが便利になって、写真の撮り方が横着になったと感じています。
大事なことは「自分で最高のスタンスに立つこと」。

まずコンセプトを持って撮影にのぞむ。日々違うものに注目してみる。
そうすると物が良く見えてくるし、狙いがはっきりする。
例えば「今日はクルマだけ見よう」とか。
自分が興味のあるものを決め付けないでいろいろ試してみるといい。

そして対象に飛び込んでゆく。
肌で感じるほどに近づいて入り込んだり、行き交う人たちの流れの中に入り込んで撮影する。
リコーカメラの特徴である28mmの画角は、視点を絞るため「一歩前へ出る」のにちょうどいい。

み:スナップ写真の撮り方は?

布:スナップ写真を撮る時はISO感度は400に固定していい。少なくとも200、ISO感度はオートでもいい。今はノイズが少ないので画質は十分です。
若い方の写真を見ているとブレが気になるので、感度を上げてシャッタースピードを高速にしてブレを減らした方が良いと思う。一段とシャープな画像が得られる。
撮影範囲が広がって、チャンスを捕まえやすくなることが重要です。

私は被写体に近づいたら、マクロモードをONにして、どんどん寄っていきます。
28mmの画角を基本に考えますが、R8ならそこからズームできるし、GX100の24mmならさらにもう一歩寄れるのがいいですね。

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■感謝の気持ちを忘れずに

み:話は変わりますが、経済新聞記者、写真家、タイの芸術大学教授と、さまざまな経歴をお持ちですね。

布:これまでの人生を振りかえって今思うのは「ひとりじゃ何もできない。友人の応援があってできる」ということ。

リコーのデジタルカメラとの出会いがあったから、デジタルの世界が広がったというのもひとつの良い縁です。
写真も、経済のことも、みんな周囲が育ててくれた。
小さな感謝を忘れなければ、仕事を続けていける。
感謝の気持ちを忘れないでいれば、付き合いが広がり、それによってまた自分が育つんです。

写真を通じて仲間が広がっていくのも友人のおかげです。
感謝の心を忘れずに。このことは、ぜひ伝えておきたいですね。

■最後に、GR BLOGの読者にメッセージをお願いします。

布:写真を難しく考えないで、自分なりの表現で「自分の想いをこめた写真」を撮って欲しい。

上手い下手は関係ない。他人と違っていい。
ある程度のテクニックは必要かもしれないが、GR DIGITALの機能を使いこなせば、自ずと自分の表現ができてくる。
それに応えてくれる、それができる道具がGRです。

一歩踏み出す、一歩近づく。
対象に入り込んで撮影すると、自然と自分の撮りたいものが見えてくる。

楽しみは、自分の映像が創造できること。
GR DIGITALはそれができる道具。GR DIGITALを道具として大切にし、信頼し、惚れ込んで使っています。

■お気に入りのワンショット!


GR DIGITAL 「私のこの一枚」 布川秀男

 銀塩フィルム時代から、35ミリのライカ版カメラには常時 28mm広角レンズ装着が私の標準装備だった。リコーからフィルム使用の [GR1] [GR1v] あるいは [GR21] が登場すると、私の常用カメラは速写性と携帯性に優れたこれらの機種に変わっていった。

 銀塩からデジタルに変わって久しいが、[ GR DIGITAL ] の出現は再び新しい撮影領域を拡大してくれた。撮影意図、イメージを忠実に画像として再現できるからである。

 この作品は、京都・北野天神近くの「上七軒」。老舗が建ち並ぶ京ならではのたたずまいが残る茶屋町である。私のライフワークとして撮影を続けている「ふるさとの家並み」シリーズでも、以前に度々撮影に訪れたが、GR DIGITAL の精緻で深みがあるレンズ描写で作品を創りたかった。前もってロケハンを済ませ、細部にわたって光の当たり具合、影の出方をチェック。当日は、早めに現場にスタンバイ、刻々と変化する光を追って柔らかな冬の日差しを浴びた家並みを撮影できた。
 GR DIGITALの優秀なレンズは歪曲収差が全くなく建造物の撮影にはデジタル一眼レフカメラにも優る画像が得られた。画面構成と光のあり方、納得のいくまで撮影に傾注できた喜びが甦る。

■取材を終えて

つねに朗らかで、しっかりと言葉を選んで話す姿が印象に残りました。
カメラや写真に限らず様々なものへの好奇心にあふれ、それがエネルギーとなって現れていると感じました。
全ては「感謝の気持ちでつながっている」ということ、僕も心に刻んで撮影にそして仕事に励みたいと思います。

インタビュー後に、異人館街でお勧めのスポットを一緒に撮影しながら散策も楽しませていただきました。また何度も訪れたい場所です。
ありがとうごさいました!



布川秀男 Hideo Nunokawa プロフィール

1931年東京生まれ。
東洋経済新報社・編集局写真部長、編集委員を経てフリーの写真家。
1989年より5年間タイ国に滞在、シルパコン芸術大学の客員教授となる。著書に「もう取り戻せない昭和の風景「東京編」」(東洋経済新報社)、「ストロボ撮影入門」「ストロボ撮影テクニック」(ともに日本カメラ社)、「デジタルカメラを楽しむマクロ撮影の世界」(東洋経済新報社)、その他写真技術書の共著が多数ある。

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