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GRist

GRist 14 藤代冥砂さん

こんにちわ、ちっちです。

今回のGRistは藤代冥砂さんです!
バックパッカーだった学生時代に藤代さんの写真集「ライド・ライド・ライド」に出会ってから約10年・・・
取材が実現し、藤代さんから旅や写真の話を聞けるのを楽しみに出かけていきました。

GRist 14 藤代冥砂さん

■ポートレートは「丁寧に」「謙虚に」

ちっち(以降 ち):早速ですが、藤代さんは「週刊朝日」の表紙も7年間撮られていたり、女優さんの写真集を数多く撮られていますよね。
まずはポートレイトの心構えやコツなどについてお聞きしたいと思います。

藤代さん(以降 藤):自分の場合はやっぱり、「丁寧な気持ちで」撮ることです。
「謙虚に撮る」というのかな。
こっちむいてとかあっちむいてとか、やわらかいけど命令じゃないですか。
そういうのをしていただいてるというのを忘れてしまうと凄く俺様になっちゃうし、
被写体と撮影者の力が合わさったほうがいいものができてくると思うし。

01.jpg
ち:初対面の人もいるかと思うんですが、撮るまでのプロセスはどんな感じですか?

藤:普通と一緒です。
あっていきなり「好きだー!」っていわないのと同じで、徐々に詰めていく。
相手の顔色をうかがうのではなく自分も知ってもらって、相手も知りつつ。
そういう緩やかなカーブを描きながら撮影に入ることが多いですね。

撮る時は自分は興味を持っているので、その「興味を持っている」ということが相手に伝わるようにしています。

でも、下調べとかはしていかないんですよね。
まっさらな状態で会いたいんです。どんなしゃべり方をするのかなとか。
相手にとっては失礼かもしれないんですけど(笑)。

要は、二人の間にいい空気、いい信頼関係があればいい写真が撮れると思うので。
レンズと通して目を合わすって不思議で、不自然なことでもあるし、丁寧にやってるつもりです。

だから、写真撮ってる時が、自分は一番謙虚かも知れないですね。
回りに対してもいい人でいられる。

光が反射する物体によって自分は何か物が作れている、とか
回りの世界があるから自分や写真がある、とか
そういうことを噛み締めると、自分が世界を発見してるような気持ちにはなれないですよね。

ち:私生活を撮るときはどうなんでしょうか?

藤:撮り方自体は変わってないです。奥さん撮ってても、犬撮ってても。
自分はテクニカルな部分で個性を出していってるほうではないと思うので・・・

撮る前にそんな戦略的でもないし、忙しいアマチュアみたいなイメージです。
もしくは仕事がもらえるアマチュア。

ち:仕事と日常はボーダレスな感じですね。

藤:依頼された仕事で、それでお金はもらえるけど、撮ってるときはすべてプライベートな感覚で撮ってる。
写真てすごく、被写体と自分の私的な関係っていうかね、プライベートなものだと思うので。


■「気迫」のスナップ

ち:GR DIGITALはスナップカメラとも呼ばれていますが、街中でもスナップを撮ったりしますか?
スナップ写真のコツも教えてもらえませんか?!

藤:みんななんて答えてるの?
   (考え中)
内面的なことをいうと「気迫」かな。
スナップてすごく流されそうな撮影法というか、
歩きながらさらさらっとっていうイメージじゃないですか?

ち:確かに気軽なイメージあります。

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「スナップといえども気迫で!」
藤:その一枚に魂を込める。
気迫っていうと重いかな?気持ちかな・・・
いや、気迫です。

気合いを入れないで、ぱーと撮って、「あてる」みたいなのも撮影法のひとつではあるんだけど
上達を考えると・・・みんな上達を考えているのかな?

ち:きっと考えてます!

藤:僕も前のほうがもっと軽い瞬発力で撮ってた気がするんですけど、今はもっとどっしり体重の乗った瞬発力。
パンチが重くなってる感じですかね。

前は散弾銃、今はマグナム。
言いすぎですかね?(笑)

銀塩でもフィルムを装填してるときが一番好きなんです。
しこめた感というか。弾をつめてる感じがいいんです。

ただ、写真を撮る時は狙ってる時だから邪気が出てるんでしょうね~。
前に野生の鹿を撮ろうとしたとき、撮ろうと思ってカメラを構えた時には鹿がいなくなってた。
これは自分が写真を撮る時でも一緒で、撮られる側は敏感なんだと思います。
なので「射抜かないように射抜かねば・・・」と思っていますね(笑)。


■旅とカメラ

ち:実は学生時代に藤代さんの写真集「ライド・ライド・ライド」に出会って、自分じゃ撮れない写真だなと(笑)。
なんか見ていてつい笑ってしまう楽しい本なんですよね。
藤代さんの旅に対するスタンスなのかなと。

藤:まったく参考にならない本ですね(笑)。
ほかの動物をみるみたいな感じですよね?
あれば自分の中でも楽しいもので、面白い本ですね。

自分の原点のひとつです。
旅をして「自分が動かなければ世界は動かない」、そういう視点を得ました。

ち:今でも旅に出ていますか?また、今でも旅したい願望はありますか?

藤:ありますね~。

僕、「ライド・ライド・ライド」の時は世界の表面を見ていこうとしていて。
好きな言葉に、アルゼンチンの革命家のチェ・ゲバラの「THE MOTORCYCLE DIARIES」って映画にもなった本の中に、
(原作:エルネスト・チェ・ゲバラ「モーターサイクル南米旅行日記」)

「僕らには表面だけで十分だ、それだけどぐるぐる回って生きていこう」みたいな言葉があるんですね。
彼もバックパッカーだったんですけど、旅してる時の自分の心境にちょうどよく似てて。

表面だけでもいいから、とりあえずざーっと見てこようと。
世界、地球の表面を感じてみたいと思ったんです。

ち:今の旅はその頃とは違いますか?

藤:もう、昔みたいな旅ではなくなるだろうな。
今はもう表面というより対象が欲しくなってます。
例えばどこの国のどんな層の人というように、フォーカスをあてて。
それは歴史だったり民族だったりするのかもしれないけど。

すごく写真的な事でもあるし、意識の上でもフォーカスしたいなていう。


■GRのこと

ち:GR DIGITALの事も聞かなくちゃ(笑)
まず、藤代さんとGRの出会いについて教えてもらえますか?

藤:銀塩の初期の頃から使わせてもらってて。
最後のGR21、GR1vまでトータルで3~4台使っていて、今でも使ってます。
形とかファッション性から入ったんだけど、そしたら写りもすごくいいし、
使ってみて実際のよさがわかって使い続けてる感じですね。

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GR DIGITALは、ブルーの天使バージョンです。
黒い方が本格的に見えるんだけど、せっかくなら面白い方がいいと思ってブルーにしました。

ち:実は藤代さんにはデジタルのイメージがなかったのですが・・・

藤:自分でもないですねー(笑)

ち:デジタルになって違和感はありますか?

藤:やっぱり違和感はあります。
ファインダー覗かないとか不思議な感じですね。でも、その違和感を楽しんでるっていうか。

GR DIGITALは「オンリーワン」なんです。
デジタルはGR DIGITALしかもってなくて、自分にはデジタルといったらGR DIGITALです。
操作性なんかは何も問題ないですね。

ち:GRはどんなシーンの時に使いますか?

藤:色んなシーンで撮れるカメラなので特定していないんですけど、気軽に本格的に撮りたい時ですね。
コンパクトカメラの得意なところは被写体を安心させたり、油断させたり、まさにそういうときに使います。

ち:確かにコンパクトだと「撮られてる」という感覚が少ないですね。

藤:今日も、4×5で撮影してたんですけど、自然体になりずらいですよね。
それが4×5の良さでもあり、それはそれなんですけど。

これは気軽かつ描写力のある「ちゃんとした写真」が撮れるのが良さですね。
出るたびに、これ以上進化する必要ないんじゃないかなと思うんだけど、毎回進化して出てくるんですよね。


■Professionalモード

ち:GR DIGITALはいつもどんな設定にしていますか?

藤:ほとんどいじってないですね。露出を変えるくらいかな。
いつもPモードです。
自分は勝手に「Professionalモード」って呼んでるんですけど。

ち:それいいですね!使わせてもらいます(笑)!

藤:遺跡とか、遺跡のメモや看板とか。何でも撮れるし、優秀なメモとしても。
カメラというより自分の第2の目に近いような。
脳の一部として、メモリとして使えるなという感じですね。

ち:脳の一部ですか。なんか体の一部のようで嬉しいですね。


■脳を通さない写真

ち:藤代さんは、旭山動物園の写真集も出されてましたよね?

藤:流行ってたんですよね(笑)。


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ち:今後はどんな写真を撮って行きたいと思っていますか?

藤:色々あるんですど・・・。
風景写真集を出したことがないので出したいですね。

最近「形」とか「目でみたもの」そのものを撮ってるんですけど・・・

ち:???

藤:「しみるな~」とか「ぐっとくるな~」とかじゃなくて、
目で見てる感じ、うーん、脳を通してない、心で撮ってない感じっていうのかな。
自分が目で見たものをそのまま撮りたいなっていう。

もちろん、共有できるものにはしたいんですけど。
そういう感じの風景写真集がいいですね。

ち:楽しみにしています!!


■写真を撮ること

ち:藤代さんにとって写真を撮ることってどんなことですか?

藤:しゃんとさせてくれる、自分を正しい方向に導いてくれるものですね。
迷いそうになると写真を撮る。そうすると矢印がぶれなくなる。
写真撮ってないと余計な事かんがえちゃうんだけど、
世界とか、向かい合うべきものにちゃんと向き合える。

ち:なんだか、みちしるべみたいですね。


■メッセージ

ち:最後にGR BLOGを見ている皆さんへメッセージをお願いします!

藤:デジタルになるとたっくさん数が撮れるじゃないですか。
昔は上手くなるのはたくさん撮ることがいいといわれてた。
今はその逆で、一枚一枚しっかり気持ちを込めて撮ることが大事じゃないかと思います。

ち:今日は本当に、ありがとうございました(゚∀゚)

 

■取材を終えて

ち:かなり緊張して行ったのですが、藤代さんはとても気さくで楽しい方で、あっという間に時間が過ぎてしまいました。

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また丁寧に、穏やかにお話される方で、その心地良さに、すっかり藤代ワールドに浸ってしまいました。
そして、カメラや写真に対する姿勢がとても素敵で、改めて自分も見つめなおすことができました。

さて、次回のGRistは誰でしょう!?
ご期待ください!



藤代冥砂(ふじしろ・めいさ)

1967年千葉県船橋市生まれ。写真家/小説家。
大学卒業後、五味彬、ユルゲン・テラーのアシスタントを経験。1990年以降フリーとなる。
2年間の世界一周旅行ののち1997年に帰国。
2003年 「月刊」シリーズ(新潮社)で第34回 講談社出版文化賞写真賞受賞。
グラビア、広告、ミュージシャンのポートレート等、幅広い分野で活躍中。
代表作に、「ライドライドライド」「肉」「もう、家に帰ろう」「旭山動物園写真集」などがある。
その他、アイドル、女優の写真集多数。

http://www.d-cord.com/

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