GRist
GRist 43 井浦新さん
こんにちは、ちっちです。
43回目のGRistは俳優の井浦新さんです!
井浦さんと言えば、NHK大河ドラマ「平清盛」の崇徳天皇役でお馴染みですね。
モデル時代のARATAさんも好きでしたが、俳優としての代表映画「ピンポン」のスマイル役も大好きでした。
(※2012年より「ARATA」から「井浦新」として活動されています。)
そんな井浦さんが、リコーカメラファンということを聞きつけ取材を申し込んだところ、なんと快くOKしていただきました(万歳)!
明日8月4日には、井浦さんが出演されている「かぞくのくに」が公開されます。
そんな、映画公開を直前に控えた井浦さんの事務所に早速お邪魔してきました。
前の取材の終わりを待つこと数分・・・
井浦さんはたくさんのリコーカメラを持って現れました。
■リコーカメラとの出会い
ちっち(以降ち):すごいリコーカメラの数!ありがとうございます。長いこと使っていただいていると聞きましたが、きっかけは?
井浦 新(以降 新):一番初めは友達の写真家に薦められました。一緒に旅をしたりしていたので僕の写真の撮り方をよく知っていて、「せっかくそんなに楽しいんだったらいいレンズを使ったほうがいい。新君は動きながら瞬間瞬間に生まれてくるものを撮っていくスタイルだから、瞬発性があってポケットにも入るGRがいいよ。」と。
最初に使ったのはGRの初号機とCX1です。使い方が荒いので突然壊れることに備えて、小型でもう一台と思いCX1を購入しました。
ち:(井浦さんのカメラを見ながら)GXRもかなりお使いいただいているんですね。
新:写真を撮っていると撮影の幅を広げたいっていう欲がだんだん出て来て、GXRが出たときに、「これだ!」って物凄く嬉しくて。お店にも見に行きました。
ちょうど、2009年秋に初めての舞台(マレーヒルの幻影)の仕事をしていた時だったんですが、気合を入れるためにご褒美として購入しました。(GXRを触りながら)これで初めて撮ったのは舞台稽古の風景です。レンズは50㎜のマクロで、その特性を活かすというよりも普通に撮影していました。実は自分が一番撮りたかった視点がこれだったんです。写真の見せ合いっこなんかすると、何のレンズ使ってるの?とよく聞かれました。素人だからこその使い方だったのかもしれません。GXRのレンズが充実していくのと同時に少しづつ幅を広げていきました。ボディも2台目です。
■撮影のスタイル
ち:いつもカメラは持ち歩くほうですか?
新:旅で使うことが一番多いですが、日常生活でもいつも首からぶら下げていて何でも撮ります。
自分の撮影現場をメイキング的にあれこれと収めて、あとでまとめて共演者に見せたりもしています。GRなどは衣装にも入れられるので常に持ち歩けるし、あり得ない距離から盗撮のように撮影できるんです。
ち:仕事場でも持ち歩いていただいているなんて嬉しいですね。井浦さんは旅や登山でもかなり激しく使われているとか?
新:リコーの修理センターには、僕ほど行っている人はいないんじゃないかっていうくらいお世話になってます(一同爆笑)。
GXRは僕の機動力に合うものなんです。首にぶら下げて、がつがつと山を登りながら撮る。大きい一眼レフだとどうしても機動力が落ちてしまうんです。
ち:本当にアクティブなんですね~(感心)。そこで、G700が登場するわけですね!
新:山遊び、外遊びが大好きです。G700も山や渓谷には欠かせません。僕にはこのくらい頑丈な方があってるかも。
それと、僕の場合は登山でも頂上を目指すのが全てではないんです。例えば、登っている途中に修験道の行場があったり、石が積まれていたり人工的な岩場があったりと、その山に何があるかっていう事が大事なんです。
ち:瞬間を撮る機動力・瞬発力というのがわかった気がします。ところで、井浦さんは俳優として多くの映画や番組に出演されていますが、映像にも興味はありますか?
新:ありますね。僕は実は二刀流なんです。片手にカメラで片手にビデオか8㎜。両手を使いたいので、登山用のステッキ代わりにカメラの一脚をどっちにもつけてます。
ち:それは登山にはいいアイディアですね、真似します(笑)。
■旅のキーワード
ち:俳優業の他にも、クリエイターとしても活動されていていますよね。とっても多忙だと思うのですがいまでも旅にはよく行かれるんですか?
新:海外も大好きなんですけど今は日本にこだわっていて、ここのところ何年も国内を旅しています。山登りだけではなくて美術も好きなので、地元にある個人の記念館へ行ったり、それぞれの土地の伝統工芸に触れたり。一連の旅の中に山登りも入れるという感じです。「文化・風土・歴史・美術・自然」が旅のキーワードになっています。
見たい町並みだったり、興味ある仏像や風土なんかがあればどこにでも行きます。人との出会いも楽しいですね。
ち:旅はクリエイターの活動ともリンクしますか?
新:僕はインスピレーションを受けることに関してはとても貪欲だと思います。机の上で何かを作ることも大切な時間なんですけど、それだけだといいものは生まれない。机に向かうまでの時間、そこに行くまでのインスピレーションや興味が一番大切だなと思っています。
ち:実はちょっと気になっていたのですが、このカメラケースは?
新:これは自分で作ったんです。アフリカの布なんですが、カメラ用に裏地を付けて作りました。
ち:すごい!ちゃんとクッションになってますね!それも自分で作ったなんて!
■撮影の対象
ち:井浦さんはモデルとしては撮られる側ですが、人を撮る側というのはどうですか?
新:昔は人を撮ることが苦手だったんです。写真を撮られすぎて麻痺したような感じになり、人が写真を撮られることについて考えすぎてしまうというか、気負ってしまうというか。自分がカメラを突然向けたら相手が嫌だろうなとか考えると、レンズを向けられなくなるんです。旅行が趣味で、中でも遺跡や仏像など物言わぬものが好きだったっていうのもあって、風景や静止物が主な被写対象でした。また、僕が初めに写真で感銘を受けたのが土門拳さんの「古寺巡礼」で、仏像や巨木なんかをどう写真で生々しく、生きているものにしていくかというのを楽しんでいました。
ち:いつ頃から人を撮るようになったんですか?
新:子供が生まれてから人を撮ることが楽しくなってきました。慣れてきたというか。そのうちに、カメラを向けたら嫌がるだろうなっていうのをいかに笑顔で楽しく会話をしながら決定的瞬間を撮るか、またその場所を作ること、それがセンスなんだなと気付きました。シャッターを押すことが難しいんじゃなくて人との距離感を縮めていく作業がカメラを使う上で大事なことなんだとこのカメラを通じてわかりました。人を撮るときに、GRやGXRはサイズ感もありがたいです。
ち:一眼レフを向けると威圧感があって、相手も身構えてしまうことがありますよね。
新:この距離を縮めていくというプロセスは自分の俳優としての仕事のプロセスとも共通しています。
「かぞくのくに」でも妹役の安藤さくらさんとは初共演ですが、自分の心を開いて、たわいもない会話やお芝居をしながら距離を詰めていって、最後には妹になっていくんです。
ち:そのプロセスを感じながら映画を見たら、より楽しめそうです!
■セッティング
ち:ところで・・・。セッティングは色々変える方ですか?
新:色々なバリエーションで撮っています。マイセッティングにはいつも使う設定の他に、モノクロや連写をセットして使っています。これは便利ですよね。基本はRAWで撮影です。
ち:プリントもしますか?
新:紙でも出しますね。地元のカメラ屋さんで、おじいちゃんがやっているんですけど写真を持っていくと、「君との仕事は楽しい!君が持ってくると気合入るんだよね。写真が面白いから中途半端なことできないよ!」なんて言ってくれて。これは本当に嬉しかったです。
■最高の遊び道具
ち:抽象的過ぎるかも知れませんが、井浦さんにとってカメラって何でしょう?
新:うーん(じっくり考えて)。道具なんですけどただの道具じゃなくて、遊び道具でしょうか。小学校の頃はゲームなんかで遊ぶようにその時々の年齢で遊び道具って変わるんですが、子供の頃の感覚と変わっていないんです。ただ、その遊び道具が時に武器になったり表現方法になったりする。今の僕にとってGXRは'最高の遊び道具'です。
ち:嬉しい褒め言葉ですね。ありがとうございます。
■ユーザーに一言
ち:最後にユーザーに一言お願いします。アドバイスでも何でも!
新:僕からアドバイスなんて・・・全くないです!
ち:そんなそんな!是非ともお願いします!!
新:(しばらく考えて・・・)せっかく持った宝物は使わないと宝物にならないので、気の済むまで壊し続けながら使う!
カスタマーセンターに覚えられるくらい使い込むことでしょうか。僕みたいにずっと通ってると、行くのが楽しくなるんです(笑)。
ち:使い込んでこそ!ですね。私も、もっともっと使い込まなくちゃ(汗)。
今日はお忙しい中、本当にありがとうございました。映画も楽しみにしています!
■お気に入りの一枚
「日の出前からライフワークの逆さ富士撮影を芦ノ湖でしていたら、威勢の良いかけ声が聞こえてきた。なんだろうと思い見つけ出したら、なんと、箱根神社の聖職の方々が湖で身体を浄めていた。この日は昼過ぎから湖水祭。しかし祭を行う方々は、もう既に朝から神事は始まっているのだと知り、感動した。」
■取材を終えて・・・
ド緊張で迎えた当日でしたが、井浦さんは丁寧にひとつひとつの質問に答えてくれ、落ち着いた柔らかい雰囲気の中で色々な話を聞かせていただきました。取材を通じて、映像の中で見ていた井浦さんの違う一面を見ることができ、またこんなにもリコーのカメラを使っていてくれたのかと嬉しくなりました。忙しい中でも本当にアクティブで、たくさんの写真を撮っていて、とても刺激になりました。いつか井浦さんの撮影現場でのメイキング写真や旅の写真も見てみたいです。
取材後、井浦さんは取材メンバーが撮影に使っていたレンズマウントユニットGXR MOUNT A12とカメラユニットGXR RICOH Lens A16に興味津々な様子。「そのレンズは何ですか?」との質問から、実際に使ってもらいながらレンズ談義となり、あっという間にはるかに時間をオーバーしてしまいました!でも新しいレンズを試している井浦さんを見て、'最高の遊び道具'というのがぴったりだなと感じました。何より、カメラ好きにはカメラ談義はたまりませんね(笑)、とっても楽しかったです。
明日には「かぞくのくに」、秋以降も「莫逆家族 バクギャクファミ-リア」、「千年の愉楽」と出演される映画の公開が目白押しです。
私も早速行ってきます!是非チェックしてみてくださいね。
■『かぞくのくに』
2012年第62回ベルリン国際映画祭 フォーラム部門公式出品
国際シアター連盟賞受賞
公式サイト:http://kazokunokuni.com/
©2011『かぞくのくに』製作委員会
公開表記:8月4日(土)、テアトル新宿 109シネマズ川崎ほか全国ロードショー!
監督・脚本:ヤン・ヨンヒ
出演:安藤サクラ、井浦新、ヤン・イクチュン
配給:スターサンズkazokunokuni.com 2012/日本/カラー・100分/16:9/HD
■井浦新(プロフィール)
いうらあらた/1974年生まれ、東京都出身。俳優・クリエイター。ものづくり集団『ELNEST CREATIVE ACTIVITY』(http://elnest.com/)のディレクターを務める。国産にこだわったウェア展開や、日本の伝統工芸継承のためのモノづくりを企画し、現代ならではの新しい価値を創り続けている。98年に映画『ワンダフルライフ』で俳優としてのキャリアをスタート。以降、映画を中心にドラマ、ナレーションや連載など幅広く活躍。主演した映画『11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち』が第65回カンヌ映画祭ある視点部門に正式出品される。現在、CXドラマ『リッチマン、プアウーマン』に出演中。8月4日から映画『かぞくのくに』(テアトル新宿ほか)が公開。今後は、『箱根彫刻の森美術館』での作品展を予定している。
過去の記事
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- 67. 篠原勝之
- 66. 塙真一
- 65. 佐々木啓太
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- 57. 川端裕人
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- 55. 金村修
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- 52. 津田直
- 51. 中藤毅彦
- 50. 石川直樹
- 49. 佐藤可士和
- 48-2. 糸井重里(後編)
- 48-1. 糸井重里(前編)
- 47. 白井綾
- 46. 飯塚達央
- 45. 井出眞諭
- 44. 鈴木光雄
- 43. 井浦新
- 42. 市川泰憲
- 41. 竹仲絵里
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- 39. 赤城耕一
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- 24. 織作峰子
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