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GRist

GRist 25 タナカ "rip" トモノリさん

こんにちは。ふーです。

今回は、Photo Styleのフォトグラファーズギャラリー「瞬」で躍動感あふれる写真を披露してくださった、タナカ "rip" トモノリさんの登場です。
フィルムカメラのGR1sを長く愛用されていたそうですが、最近はデジタル写真にも力を入れておられます。

GRist 25 タナカ

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【GRとの出会いと魅力】
ふ:GRとの出会いのいきさつを聞かせてください。

タ:子供の頃からスケートボードをやっていて、写真は10数年撮っています。
写真を始めた頃はフィルムのコンパクトカメラをよく使っていて、いろいろな機能を生かすために4つぐらい同時に持ったこともありました。
その中でも、パノラマを改造して24mmと30mmで使える最薄のR1sを気に入ってよく使っていたのですが、スケートボードに乗っているときに落として空中分解。それで購入したのがGR1sだったんです。それからはこれ1台で済むようになりました。

ふ:写真集を作られたんですね。

タ:4年前に写真で生きていこうと決めたとき、自分が知り尽くしていることをパッケージ化して、キャリアにしていかなきゃいけないなと思いました。
自分の持つ武器とノウハウで何か新しいことを、と思い、憧れてきた「西海岸」、使いこなしている「GR」と「スケートボード」を軸に、3ヶ月あちこち泊まり歩いて撮った写真です。
スケートボードに関連する「何か」の後ろに、アメリカを映し込むのがこの写真集のテーマです。

写真集に載っている28mmの写真はほとんどGR1sで撮っています。
スケートボードのトリックや一瞬のタイミングを押さえながら、風景写真としても成立する写真が、この28mmで完全に網羅できます。
単焦点レンズと一眼レフを持ち歩くより、携帯性という機能を持ったGRにできることの方が自由で、可能性を感じていましたので「もうこれで充分だよ」、というところをみんなに言いたかった。

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ふ:フィルムのGR1の魅力はどんなところでしょう。

タ:ポケットに入って、一眼レフ並みのクォリティーを誇るカメラ。
携帯性に優れ、「作品」を意識することができるカメラ。そんな印象です。
ある時点では、「週末の一眼レフ、毎日のGR1s」と思っていました。
以前、麻布で配達のバイトをしていた頃はR1sを使っていました。
配達中にも写真を撮りまくっていて、バイトに行くのが楽しくて仕方なかった。その後壊して、GRに買い替えたんです。

スケートボードは、競技用のボードの他に、街中で乗るための細身のボードがあるんですよ。特別な場所でなく普通に街中で乗れるもので、移動の最中が楽しくってしょうがないもの。これとGRとの組み合わせは、「日常」をスペシャルなものに変えてくれた上に、自分のオリジナルな視点を与えてくれました。

両手がフリーなまま乗れる唯一の乗り物がスケートボードだと思うのですが、乗ったまま思い通りに写真を撮るということを叶えてくれたカメラです。

いい光を見ているとき、スケートボードをしていていろんなものに出会ったときに、さくっとポケットから出して撮ることを実現させてくれた。写真を意識する上での「ON/OFF」をなくしてくれました。

街を歩く人が振り向いた瞬間や、鳥が空で交差する瞬間など、撮りたい瞬間が撮れる。ファインダを覗いているときに起きる、起きそうな偶然が撮れる。このカメラだから狙いたくなる瞬間がありまして、僕の興味を無限なものにしてくれています。

特別なことがない日に撮影を楽しむことを教えてくれたカメラです。
今はもちろん、楽しいことがある日にもGRを使っていますけどね。


ふ:ずいぶん使い込んでおられますね。ここまで使ってもらえるとメーカー冥利につきます。

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タ:激しい使い方をしているつもりはないのですが、どうしても傷がついてしまうんですよね。

あるときに「仕事する機材として使うのならケースに入れて扱え」と恩師に言われた事があって、それからは絶対にケースに入れるようにしていますが・・・。

【デジタル写真の楽しみ】
ふ:これからはデジタルにも注力されるそうですね。

タ:やっぱり、撮った写真が目の前のディスプレイで見られるのがデジタルの良さです。単に「綺麗な写真」を撮るのではなく、クリエイティブに撮るということがしやすい。カメラを回したり、露出を変えてみたりすると、肉眼で見えなかったものがカメラを通して発見できるのがいいですね。

レストランでコーヒー頼んで、ミルクをこぼしてしまったんですが、それを撮ったら綺麗な写真になった。子供が撮った写真を見て親が感動することもありました。撮って、見せて、また違う撮り方をしてみる、という会話のキャッチボールが楽しめます。

ふ:フィルムとは違った楽しみ方ですね。

タ:フィルムで得た知識をデジタルに生かすことも大切ですが、デジタルならではの面白さを発見していきたいと思います。

僕はデジタルカメラの世界をGRに習おうと思ってます。GRにはデジタルにある調節要素のほとんどが付いていると思っていますので、大きなカメラをいきなり買って手に余すより、デジタル写真の処理行程を一通り把握するまで自分はGRの方がいいかな、って思っています。
ここから一歩一歩、自分の持つ武器とノウハウで何か新しいことを考え、作っていけたらと思っています。

撮ってすぐ見られるデジタルは高めたり、成立させたりという部分で長けていると思いますが、撮った時から処理するまで見れないフィルムだからこそあった「感触」とか「手応え」みたいなものが過去のものになっていくのは寂しいですけどね。

フィルムコストを考えなくて良くなったのは大きな違いですよね。これによって僕にとっては毎秒がシャッターチャンスみたいな事になりましたよ。一眼レフで撮るような「ハイライト」的な写真だけでなく、家を出たときから意識して、普段の生活を記録していきたいです。

ふ:リコーの考える「Candid Photo」そのままですね。

タ:うまく壷にはまりました(笑)。「Candid Photo」という言葉を聞いたとき、「あ、私が思っていたことを言ってくれた」と思いましたよ。

【RING CUBEを通じたリコーとの出会い】
ふ:オープン直後のRING CUBEにもお越しくださったとか。

タ:RING CUBEがオープンしたときは、写真集ができて一段落した頃でした。このスケートボードを作った人には写真集を持って行って見せたんですが、カメラを作った人にもぜひ見せなきゃと思ったんです。ちょうどRING CUBEがオープンするとWEBで見て、この熱意を誰かに伝えたい!と思い、さっそく写真集を持って行きました。オープンの10分前に一番乗りで入り、そこにいた方に声を掛けて、話を聞いてもらったんです。
話を聞いてもらえたときは、「ホームに帰ってきた」みたいな感じがしましたね。

ふ:RING CUBEを開設した甲斐があります(笑)。

タ:歴代のカメラの展示も面白いですね。新品のGR1sを見てびっくりしました。
自分のを見慣れているので、ああ、こんな綺麗なカメラだったんだ、って。
でも「道具」ですからね。

ふ:リコーも、カメラは写真を撮るための「道具」と考えています。

タ:道具として、この大きさや形がいいですね。手にすっぽり入る、威圧感がない、角ばっていない。スタンバイの状態のまま気軽に片手に忍ばせていられるのがこのカメラの強みです。
携帯電話と財布を家に忘れているのに、カメラだけ持ってる時とかもあったりします(笑)。

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【今後の計画】
ふ:さて、次の構想は。

タ:今度は東海岸、ニューヨークをテーマに考えています。

また大きな夢としては、西海岸を始めに、ニューヨーク、ヨーロッパ諸国、アジアと色々な国の街にこのスケートボードとGRを持って訪れてみたいとも思っています。

今までに著名なアーティスト達がインスパイアされてきた街や国に、実際に自分で行ってみて、自分の感性を膨らませたり、表現を広げられるような経験をしていきたいと思います。そして、フィルムの供給が急激に減っている現在だから学べる事を大事に考え、これから主流になるデジタルの世界に入っていく用意をしたいと思っています。

ふ:期待しています! 本日はどうもありがとうございました。

【お気に入りの1枚】


タナカ "rip" トモノリ RIPZINGER

1974年5月21日東京生まれ
96年から雑誌での写真掲載を開始。スケーター、スノーボーダーなどの動きのある写真、ミュージシャンやペインターなどのドキュメンタリーやポートレート、自然や街などのランドスケープ、様々なカルチャーに飛び込み、それらを独自の観点でとらえて人々に伝える事を得意とするフリーランスフォトグラファー。

写真集
RINPZINGER WEST AMERICANIZED TOUR
(StussyBooks出版)
WEB
www.ripzinger.com

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