GRist 21 森山大道さん
こんにちわ、ちっちです。
今回のGRistは森山大道さんの登場です!
既にご案内していますが、12月3日より銀座RING CUBEでの森山大道展「S'」がはじまりました。
1月7日からは第2弾として、「銀座/DIGITAL」も開催されます!
打合せに来ていただいた森山さんにお会いしに、あちこちでクリスマスイルミネーションが始まった銀座へ行ってきました。
■GRとの出会い
ちっち(以降 ち):突然ですが、森山さんとGRの出会いを教えてください!
森山大道さん(以降 森):きっかけは田中長徳さんで、雑誌か何かで長徳さんのインタビューの対象になってね。
そんときに、「使いますか?これ、どうですか?」ってもらったの。
ち:いつ頃ですか?
森:96年かな、銀塩のGR1が出てすぐくらい。
もらったときは半信半疑で、高級コンパクトとも知らなくて「こんなのほんとに写るの?」って。
でも使ったら本当に良かったんだよね。
とても手になじむって言うのかな、それからもちろん機能的にも良くてね。
使い心地が違うっていうのを体感した。
それ以来GR、リコー一筋だよ。
ち:感激です。ありがとうございます!
そういえば、ちょうど今東京都現代美術館で、「森山大道 ミゲル・リオ=ブランコ 写真展」が開催されていますね!
森山さんがサンパウロを撮影、ミゲル・リオ=ブランコさんが東京を撮影したと聞きました。
森:写真は、90%以上リコーのカメラですね。
展示は1m×1.5mで57枚。
リコーのカメラの迫力を見てほしいね!
■フレーミングとシャッターチャンス
ち:ノーファインダーで撮影されることも多いかと思うのですが、フレーミングはどのようにしているのですか?
森:写真はどうやってもフレーミングから離れられないわけですよね。
リコーを使うときは圧倒的にすれ違いざまのスナップが多いから、リコーの28mmなり21mmなりの、フレームを体が覚えていますからね。
このくらいで入っているだろうと思ってほぼ間違いない。
ち:体が会得してるんですね。
街中のスナップというのは流れていくようなイメージがあって・・・
森山さんが、どんなタイミングでシャッターを切っているのか興味があります!
森:まあ、動物的直感だよね。
特に街頭のスナップの場合はフレーミングしたり構えたりしてる暇はないわけだし。
やっぱり生理的な反応だよね。
それと、長いこと街中で撮っているから五感や六感で気配を感じてね。
■ストリートカメラマン
森:今、どんどん街頭で人を撮りにくくなってるでしょう。
女の人の足とか撮れなくなったよね(笑)
ち:確かに・・・子供の写真なんかも撮りにくいですよね。
森:ただ、僕は自分をストリートカメラマンと規定していてね。
路上を撮るというのは僕の仕事というか、カメラワークだから、いつまでも路上にいて、多くの人と都市を構成する様々なものを撮って行きたい。
僕は人間だけを撮ろうと思っているわけではなくて、人間と交差している様々なものを撮りたいわけ。
ち:もしかしたら、路上ですれ違っているかもしれないんですね。
撮影に出るときはカメラはどうやって決めているのですか?
森:「手に21mm、ジーパンのおしりのポケットに28mm」、これが僕の基本だね。
それを交互に使う。
海外の撮影では一応、一眼レフも持って行くけど99%使わないね。
海外でカメラマンって言っても信用されないよ(笑)。
■撮影後の写真
ち:撮影枚数はかなり多いのでしょうか?
森:シャッター優先だから、写真の枚数は多くなるよね。
スナップショットっていうのは必然の網を張って偶然を呼び込むような形で撮るわけだから、撮影枚数はやはり多い。
ち:どのくらい撮られるんですか?
森:若いころは100mでフィルム1本位は撮っていたかな。
今はその気になってだいたい一日20本。
ち:多いですね!
それだけたくさんあると、選ぶのも大変な作業ではないですか?
撮った写真をどのような基準で選定されているんでしょうか。
森:街中での発見と一緒で直感的に「これとこれとこれ」という感じだよ。
べた焼きの上をもう一度スナップしているみたいなもんでさ。
ち:なるほど~。
また、森山さんの作品は写真のタイトルがシンプルでストレートですが、どのように付けているのですか?
森:タイトルは極力シンプルなほうがいい。
若いころは、かっこつけてみたり文学的だったりしたけどね。
情緒的だったり意味的なものは外しますね。
あんまり意味を限定するようなものをつけない。
だから僕の場合は場所の名前が多いでしょ。
ち:確かに、新宿、大阪など地名が多いですね。
■エロティックな写真
ち:たくさんの写真を見ることも多いかと思うのですが、
森山さんが思う「良い写真」とはどのようなものですか?
森:そうねぇ、あんまり観念的に作られたものでないものが面白い。
観念的に作られたものはちょっと面白くても、すぐつまらなくなるんだよね。
ひろーい意味で「エロティック」なもの。広い意味で、ですよ。
機械が写っててもエロティックでしょ、山が写っててもエロティックなことってあるでしょ。
どっかにイロっぽいものが写っている写真はいいですよね。
なんか生々しさがあってさ。
■カメラとは・・・
ち:唐突ですが、森山さんにとってのカメラとはどんな存在ですか?
森:身も蓋もないけれど「複写機」、それにつきます。
世間を、自分を、全てを映し出す複写機です。
ち:なんだかとてもシンプルですね。
■GRユーザーへ一言!
ち:森山さんの影響を受けているGRユーザーも多いと思います。
是非、一言お願いします!
森:僕が12年ずっと使ってきて、何冊もこれで写真集つくってるんだから。
うん、それが僕の信頼だからさ。
いいカメラです。
■GRへの要望
ち:最後に。。。現在は、銀座をGR DIGITALで撮影してもらっている最中だと思うのですが、GR DIGITALへの要望があれば是非。
森:カメラもどんどんデジタルになっていってるじゃない。
どうせなら、僕にでも簡単に使える、単純明快でよく写るの作ってよ。
一同:がんばります!
■取材を終えて・・・
何日も前から緊張して迎えたインタビューでしたが、森山さんはとても穏やかに一言一言を丁寧に話してくださり、いつの間にか森山ワールドに吸い込まれてしまったような感じでした。
写真集「S'」の迫力ある写真もさることながら、
森山さんのGR DIGITALIIでの銀座撮りおろし、とても楽しみです。
また、12月9日にはトークショー&サイン会が開催されます。
トークショーは既に応募が終了していますが、サイン会はどなたでもご参加いただけます。
詳細はこちら↓
森山大道写真展「S'」
森山大道トークショー&サイン会
森山大道写真展「銀座/DIGITAL」
皆様のお越しをお待ちしています!
森山大道プロフィール
1938年大阪生まれ。フリーのグラフィックデザイナーを経て、写真家・岩宮武二および細江英公のアシスタントとなる。1964年に独立。1968年、ブレ・ボケ・アレと称される前衛的写真の先陣を切り『にっぽん劇場写真帖』を発表。以降、写真という概念/制度の最大限までの拡張・解体を試みる。世界的評価も高く、1998年ニューヨーク・メトロポリタン美術館を皮切りに2年にわたる全米を回った回顧展や、2003年パリのカルティエ現代美術館での個展など、海外でも大規模な展覧会を多数開催している。 |
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