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最終回
Grizzly bear – 原野と写真へのいざない

  • PENTAX K-1 + smc PENTAX-DA300mmF4ED[IF] SDM
    グリズリーベアを見る度に、『威風堂々』という言葉が頭に浮かぶ。それでいて滑稽だったり、間抜けな仕草を見せてくれたりする。そんな人間っぽい振る舞いをするこの生きものに魅入られ、導かれて今の自分がある。

  • Pentax K-5 + smc PENTAX-DA60-250mmF4ED[IF] SDM
    何気ない景色も野生動物が現れると途端に活き活きと輝いて見えてくる。まるでそこに物語があるように感じることもある。

  • PENTAX KP + smc PENTAX-DA300mmF4ED[IF] SDM + HD PENTAX-DA AF REAR CONVERTER 1.4X AW
    じゃれあう子熊。野生動物を撮影する時は感情が投影されないように無心であろうとするが、子熊の可愛さにはたまらず頬が緩んでしまう。

  • PENTAX K-1 + HD PENTAX-D FA 150-450mmF4.5-5.6ED DC AW
    クマは晩夏から秋にかけて、ベリー類や果実もたくさん食べる。子熊がチョコンと座って果実を無心に食べている様子はどれだけ見ていても飽きることはない。

  • PENTAX KP + HD PENTAX-D FA 150-450mmF4.5-5.6ED DC AW
    息遣いまで感じ取れるような距離。迫力はあるが、恐ろしいとは感じない。クマが単純に人間にとって危険な生きものというわけではない。クマのことを知り、彼らの生活を尊重することで、人とクマは共生できる。

  • PENTAX KP + HD PENTAX-D FA 150-450mmF4.5-5.6ED DC AW
    どこまでも続く広大なツンドラの大地。遥か彼方を彷徨い歩くグリズリー。悠久の時の流れを感じさせてくれるようなこんな光景が大好きだ。

  • PENTAX K-1 + smc PENTAX-DA300mmF4ED[IF] SDM
    サーモンが多く遡上する川にはおのずとクマが集まってくる。食べるものが豊富な沿岸部に生息するクマはブラウンベアとしてグリズリーベアと呼び分けることもあり、内陸部のグリズリーと比較して大きい。

  • PENTAX K-1 + HD PENTAX-D FA 150-450mmF4.5-5.6ED DC AW
    まだ自分でサーモンを上手く捕まえられない子熊は、母熊が食べているサーモンを奪い取る。母熊は「まったくもう…」といった感じで次のサーモンを捕まえにいく。

  • PENTAX K-1 + HD PENTAX-D FA 150-450mmF4.5-5.6ED DC AW
    母熊と三頭の子熊の家族に別の雄熊が近付いてきた。子熊の一頭が向かっていき威嚇するが、やはりちょっと怖いのか及び腰。そんな物語の最中の一コマ。

  • PENTAX K-1 + HD PENTAX-D FA 150-450mmF4.5-5.6ED DC AW
    木々越しに湖畔を見ると、子熊がサーモンを食べていた。この美しい光景を独り占めする至福の時。しかしその感動を人にも伝えたいから、私は写真を撮るのだろう。

動物の自然な姿を同じ目線で撮りたい

野生動物の美しさや逞しさを写真で伝えようとカナダへ渡ったのは1998年のこと。スケールの大きな自然環境の中で巡り合う動物たち。その中でも心を奪われたのがクマ、特にグリズリーベア【Grizzly bear】でした。当初カナディアンロッキーから撮影を始めたものの、もっとグリズリーを求めてアラスカへ赴き、そして現在住んでいるカナダのユーコンへ辿り着きました。

こちらでは”You are in Bear country”という表現がよく使われます。「人間側がクマの生息域にいる」という前提を端的に表していて、私はこの表現がとても好きです。かといって、いつでも簡単に出会えるというわけではありません。見付けてもクマの方から逃げてしまって一枚も撮らせてもらえないことの方が多いくらいです。運よく寛容なクマに巡り合えた時には、出会いに感謝しつつ彼らの生活を邪魔しないように撮らせてもらいます。サーモンの遡上する川など出合える可能性の高い場所もあるので、じっくり撮りたいときにはそういう場所へ向かいますが、原野を歩いていて予期せずクマに出会えた時の方が感動は遥かに大きなものとなります。グリズリーは私を野生動物写真にのめり込ませた生きものであり、この先も私にとって特別な存在であり続けるでしょう。

「動物の自然な姿を撮るために身を隠して撮る」写真家もいますが、私は逆にいつも姿を晒して撮っています。人間も同じ星に生きる生きものとして、同じ目線で撮りたいからです。「カメラ目線の動物の写真は不自然だ」という意見を聞いたこともありますが、同じ大地に立って他の生きものに出会えば気になってそちらを見るのは当たり前で、私には自然なことに思えます。身を晒しているが故にすぐ逃げられてしまうことも多いのですが、それも自然なことですし、相手が逃げずに自由に振舞い始めたとしたらそれもまた自然なことなのだと思うのです。つまり私にとっての「自然な写真」は撮っている私自身も含めてのその場の環境が写っていること。だから私の究極の目標は、私の動物写真を見た人が「自分があたかもその動物に対峙している」ように感じる写真を撮ることです。そんな写真が撮れるまで、益々精進していきたいと思います。

この連載は今回で最後となります。カメラメーカーサイトでの連載ということもあり、撮影や機材の説明が多かった部分もありますが、一番伝えたかったのは「何故、何のために写真を撮るのか」という部分です。一言で写真といってもいろんなジャンルがあり、私の場合は「野生動物の美しさに魅了され、その感動を表現して伝えたかった」という情熱が写真を始めた理由です。極論的には「そのための機材は何だっていい」のですが、一方で「信頼できること」「使い慣れていること」「使いこなせていること」は何よりも重要です。やたらに多機能な昨今のカメラの機能を全て把握し使いこなすことなど不可能ですし、そうする必要もないと思います。自分に必要な機能を理解し使いこなすことが大切です。その上で自分にとってベストバランスな機材というものがあるはずで、私もいろんなメーカーの機材を使ってきましたが行き着いたのがPENTAXということです。皆さまにとってもPENTAXでの撮影活動が人生を豊かにするものであることを願っています。

PENTAXにはこれからも環境耐性が高く小型軽量なシステムを提供し続けて欲しい。どんなところへも持っていけて、どんな状況でも壊れない、信頼できるコンパクトなシステムが私の理想だから。

プロフィール

花谷 タケシ

京都市出身。独学で写真を学び、1998年カナダに渡航。西海岸から東海岸まで車で横断した後、カナディアンロッキーで過ごす。ここで次第に熊に魅せられさらなる北の大地アラスカや極北カナダに撮影フィールドを移していく。2007年にカナダへ移住し、2010年よりユーコン準州ホワイトホース市を終の棲家とし定住。《人間》対《自然》ではなく、人間も自然の一部として他の生きものたちといかに《共生》していくかを模索しながら、極北の厳しい自然環境の中で生きる野生動物の姿を追い続けている。

オフィシャル・ウェブサイト:熊魂 yukon-bearspirit:
www.yukon-bearspirit.com
フェイスブックページ:
www.facebook.com/yukon.bearspirit

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