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GRist

GRist 5 安達ロベルトさん

好評のGRistの第5回目、安達ロベルトさんの登場です。
安達ロベルトさんは、GR DIGITALカレンダーコンテストの審査委員にもなっていただきました。
また、一方では「安達伸幸」さんとして作曲活動もされていたりと、幅広くご活躍の方です。

カメラ以外の話題も沢山お聞きできるのでは?と楽しみにしながら、麻布まで行ってきました!

GRist 5 安達ロベルトさん


■撮影について


王子(以下、王):いきなりですが、ロベルトさんの作品は風景や日常シーンが多いですが、全て作品を撮ろうとしてのものですか?プライベート写真もありますか?

ロベルトさん(以下、ロ): 両方ですね。
今は自分で「雨」をテーマにしているので、特に雨が降ると、作品を撮る目的で出かけて撮影してます。
「雨」が好きで、撮影しているとドキドキするんですよ。

王:
雨の中での撮影は大変じゃないですか?

ロ: 機材も多くないですし、そうでもないですよ。多くは、傘をさして、片手で撮影しています。

王:
片手ですか!普段は主にどんな機材を持ち運んでいるのですか?

ロ: 主には、Leica、GR21、GR DIGITALです。最近はCaplio GX100も加わる、かな。何故、Caplio GX100は”加わる、かな。”かというと、まだクセがわからないのです。GR DIGITALも半年から1年くらいかけて使い続けて、やっとクセが分かるようになりました。

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王:それだけ沢山撮ることで、自分のセッティングが見つかるのですね。
では、普段のGR DIGITALのセッティングは、どうされてますか?

ロ:秘密にしておきたいのですが(笑)。
シャープネスとコントラストを最高にして、色の濃さを最低、色温度は中間くらいです。
初めは「軟調」で撮影していてましたが腑に落ちず、同じ被写体の撮影を繰り返しながら、様々なセッティングを試した結果、好みのセッティングを見つけました。特別、自分らしさを意識して、というわけではありません。あとは、色温度はオートにはしないですね。雨はしっとりと、晴れはすかっとした作品にしたいですから。
 
■「写真」と「作曲」について

王:写真は独学で学ばれたということですが?

ロ:もともとは旅行に行っても「目に焼き付けるものだ」とキザなことを言って、写真は撮らない人間でした。それまでは「音楽」だけをやってきましたが、いろんな偶然が重なって撮影してみると、面白くなってきました。


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王:
そうして仕事にもなってしまった「写真」と、一方でも安達伸幸として活動されている「作曲」の違いは何でしょうか?

ロ:制作者としては、「作曲」は内々に意識が向くものですが、「写真」は外々に意識が向くものです。

ところが、一旦作品が完成すると受け手の立場では、「音楽」は外々に、「写真」は内々にと方向が逆になります。つまり「音楽」で聴衆は受身でパッシヴになりますが、「写真」を見る受け手はアクティヴに作品へ意識を向けなければなりません。この意識の方向の違いが面白い。

また、音楽は、一瞬の感動を、例えば5分だったら5分と、感動の時間を引き延ばすことができますが、写真は、例えば3泊4日の旅行を、逆に一瞬に閉じ込めるものです。この対比が面白い。
このような「音楽」と「写真」を、共存させて、上手く表現できないかと考えています。

王:リコーWebサイトで、06年11月に公開したCaplio Lifeのフォトグラファーズギャラリーに掲載していただいた、先生が作曲した曲と撮影された作品を同時に楽しむことができる「境」も、好評です。

ロ:Caplio Lifeのフォトグラファーズ・ギャラリーでは上手くできました。
単に写真にBGMを付ければ良いというものではありませんから。

王:「写真家」と「作曲家」という意識を、日常生活ではどのように使い分けているのですか?

ロ:周りの人が思うほど、使い分けてはいません。

王:「写真」と「作曲」をされる上で、大切にしていることや意識していることを教えてください。

ロ:「写真」では一度は見る人の立場になって、自分なら「お金を出してまで買うかな?」と考えます。「作曲」も一緒ですね。自分自身が感動したものだけを世に出します。自分が感動したものが、全ての人の琴線に触れるとは限りませんが、自分の器が大きいと、その感動も大きくなると思います。
その意味で、自分の器を大きくしたいですね。

王:ロベルトさん自身、最近どんな感動をしましたか?

ロ:
身近な家族の存在。
感動というのではないかもしれませんが、家族のありがたみを感じています。芸術家は結婚もせずに守るものがない方が表現することができる部分もありますが、自分は妻をはじめとして、多くの人のサポートで活動できていますから。

感動の話題からちょっと話が変わりますが、先日マカオに行った時に、結構GR DIGITALを持っている人がいて、話し掛けたくなりました。やはり、拘って自分で買ったものだから、拘りのある者同士親近感を感じるのですね。Leicaに近い感じです。

 
■作品を撮るコツ

王:ロベルトさんのような作品を撮るコツを教えてください。

ロ:広角は情報量が多いので、色を絞り込むことが大切なこともあります。曼荼羅のように情報量が多いのに、無駄な色がないものも一つの作品として面白いですが、あえて情報を絞り込むために、象徴的に伝えたい色を絞り込むことも一つのアプローチです。

ところで、デジタルカメラはその場で確認もでき、不要なものを消せるので、気軽に撮影できて自由になった面もありますが、最終的には、これまでとかかる手間は変わらない気がします。
仮にOKカットを2、3枚作るとすると、私の場合は、デジタルカメラで100枚撮影が必要ですが、銀塩カメラでは36枚の撮影、ブローニでは12枚の撮影、4×5では4枚の撮影枚数といった感じでしょうか?
撮影にかける気持ちを集中させることの差だと思います。その意味で、デジタルカメラで100%満足の行く写真が撮りたいと思います。


 
■お気に入りの一枚

王:お気に入りの写真を一枚いただけますか?

ロ:最近のお気に入りは、これです。夜と朝の「境」の、空と水の「境」の写真です。
 
■情報発信について

王:ところでロベルトさんも「写真家、安達ロベルト」、「作曲家、安達伸幸」として、2つのサイトを合わせると2、3日に一回はWebで発信をされますが、大変でないですか?

ロ:美味しいコーヒーを飲みながら書いています。
文章に書くことで、頭の中が整理できるのです。
「音楽」は言葉にすることが難しいのですが、「写真」は撮る行為を自己分析し易い面があります。「撮影」は「論理的」なものではなく「感覚的」なものですが、「感覚」を後から「論理」的に整理することは大切なことだと思います。

 
■最後に一言いただけますか?

王:最後にGRシリーズについて一言いただけますか?

ロ:私は一つの本、一つの音楽を、繰り返し何度も見たり聴いたりすることが、好きです。今のデジタルカメラの市場でGR DIGITALだけが長期的視野でモノ作りをされていると思うので、ぜひ息の長い製品作りを今後も続けてください。
 

■取材を終えて
私は初めて時間をいただいてお話を伺ったのですが、とても親切にしていただき、また、一言ひとこと、言葉を慎重に選択しながらお話をされる方でした。

安達ロベルトさんは公式サイトにも書かれているのですが、「対なるものがあって、はじめてそのものの真価がわかる」という視点をお持ちです。今日はそうしたお考えの一部を、皆さんにお伝えできたと思います。

いただいた取材のお時間はあっという間に過ぎてしまいましたが、他にも
・モノクロ写真とコーヒーは似ている。
・カラー写真を撮る人とモノクロ写真を撮る人では、見ているものが違う。
等々、インタビュー後にお食事を一緒にさせていただきながらも、安達ロベルトさんの魅力的な言葉を沢山お聞きしましたが、残念ながら、ここでは書ききれません。

ぜひとも、安達さんの公式サイトをご覧になってくださいね!



安達ロベルト Robert Adachi:

・1969年生まれ
・写真を独学で学ぶ
・1987年、米国オザーク・アーティストオブザイヤー等芸術方面の受賞多数
・2006年7月に写真展「雨rainscapes」を開催
・2006年10月にRICOH GR DIGITALカレンダーコンテスト審査員
・写真雑誌にも執筆多数
・上智大学法学部国際関係法学科卒業

▼公式サイト
http://www.robertadachi.com/
http://robert.cocolog-nifty.com/
http://www.eight2one.com/

安達伸幸の名で作曲家としても活動
リコーWebサイト上のCaplio Lifeのフォトグラファーズギャラリー「境」のオリジナルBGMには、GR DIGITALの音をサンプリングして使用している。
https://www.ricoh.co.jp/dc/capliolife/
appreciation/photographers/

2007年8月30日には、新国立劇場で開催される「28回現代舞踏フェスティバル」に弦楽四重奏の曲を提供。


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