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レンズ選びで忘れがち
焦点距離とパースペクティブ

こんにちは。スクエア大阪の伊藤です。ご存じの方も多いと思いますが、私はスクエア大阪で来場されるお客さまにリコーイメージングの製品のご案内のほか、撮影のアドバイスなどもさせていただいています。その日々のご案内のなかでいくつか気付いたことがあります。それはレンズのチョイスや使い方の上で、画角やボケ方についてはほとんどの方が気にされるのですが、遠近感(以下パースペクティブ)を気にされる方が意外と少ないことです。そこで今回はレンズのチョイスと使い方の上で、非常に重要な要素となる焦点距離とパースペクティブの関係についてお話ししたいと思います。

【画角について】
パースペクティブについてお話しする前に、レンズの焦点距離と画角について復習してみましょう。

フォトアカデミー(旧フォトスクール)の講義の中で見たことがあるという方もいらっしゃるでしょう。これは同じ被写体を同じ位置で焦点距離を変えて撮影したものです。図で表すと次のような状況です。

ここで注目したいのは、被写体の大きさではなくレンズの画角(写る範囲「対角線画角」)です。焦点距離(mm)が短い<広角レンズ>ほど写る範囲が広く(画角が広く)、焦点距離が長い<望遠レンズ>ほど写る範囲が狭く(画角が狭く)なる様子がイメージできると思います。この画角の変化がこの後のパースペクティブの変化に大きく影響してきます。

【パースペクティブ(遠近感)について】
では、パースペクティブ(遠近感)とレンズの関係性はどうなるのでしょう。まずは下の作例をご覧ください(APS-Cサイズで撮影)。

<16mm(フルサイズ約24mm)>

<55mm(フルサイズ約83mm)>

<100mm(フルサイズ約150mm)>

<300mm(フルサイズ約450mm)>

ここでは画角の作例と同じ焦点距離で、今度は「手前の被写体(ベンチ)が同じ大きさ(高さ)」になるよう、位置(距離)を変えながら撮影しました。奥の灯台の大きさや釣り人たちの間隔に注目です。焦点距離が短い広角レンズ程小さくパースペクティブが強調され、横転距離が長い望遠レンズ程大きくなってパースペクティブがなくなっています(圧縮効果)。また55mm(フルサイズ約83mm)では、前後の被写体が程よい大きさのバランスで、肉眼に近いパースペクティブになっていることにも注目です。どうしてこのようなことが起こるのでしょうか。【画角について】と同じように撮影状況を図で表して(改めて同じ焦点距離の作例を並べて)みましたので比べてみましょう。

<16mm(フルサイズ約24mm)>

<55mm(フルサイズ約83mm)

<100mm(フルサイズ約150mm)>

<300mm(フルサイズ約450mm)>

図のように撮影状況を上から俯瞰してみるとイメージが湧きやすいとおもいます。現実では前の被写体(ベンチ)と後ろの被写体(釣り人・灯台)の距離と大きさに変化はありません(当たり前ですが)。しかし、レンズの焦点距離を変えて撮影すると画角の変化とともに図のように、カメラから前(ベンチ)までの距離とともに、前(ベンチ)と後ろ(釣り人・灯台)との距離の“比”(見かけ上の距離)が変化し、さらにそれぞれの見かけの大きさも変化します。これがレンズの焦点距離によってパースペクティブが変わる現象の正体です。このイメージを掴むと、レンズのチョイスがスムーズになるだけでなく、表現の幅がグッと広がります。パースペクティブのコントロールは写真だけでなく、映画・ドラマなどのムービーや、絵画・イラスト・マンガの世界でも幅広く使われているテクニックです。ぜひ身に付けて傑作をモノにしましょう!

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