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Pura vida! 野鳥ガイド露木貴浩氏のコスタリカ大自然コラム
コスタリカの国花Guarianthe skinneri。北部に自生している。コスタリカの自生蘭は九割以上が着生で、樹冠部にひっそり咲いている。なので出会うことも少なく、落雷などで枝が地面に落ちていると、そこに咲いている時がある
11. ジャングルに棲む生き物たち
「自然王国」あるいは「野生の宝庫」として知られているコスタリカ。これまでは野鳥を中心に、チョウなどにスポットを当ててきましたが、これら以外では一体どんな生き物がいるのでしょうか。今回は、第10回で書いた探鳥ツアーの最中によく見かける生き物たちを紹介したいと思います。
哺乳類
コスタリカを訪問する一般観光客の多くは、哺乳類との出会いを期待します。しかし、ジャングルを歩いたからといって、簡単に観察できるというわけではありません。哺乳類の多くは夜行性であり、そうでなくとも早朝と夕方以外はあまり動きません。「散策路を歩いたけど何にもいなかった」、「動物を見ましたか?」なんて声をよく聞きますが、時間帯が悪かったり、探す場所が分からなかったり、単に運がなかった、理由は様々です。生き物相手ですから、絶対はないわけですね。
それでも、サルは比較的容易に観察できます。夜が明ける前から、密林に響き渡るホエザルの声を想像してみて下さい。探検しているような気分になり、これから始まる「冒険」を予感させます。「ガサ、ガサッ」と木々が大きく揺れる音が聞こえたら、ノドジロオマキザルの集団が移動しているかもしれません。地面に落ちている果実やバナナを求めて、低い場所に降りて来ることもあります。
散策路や道路端で、長い尾を立て移動している奇妙な動物はハナジロハナグマです。成長したオスは単独行動しますが、それ以外は群れで行動しています。複数の子供が母親の後をついて行く様子は、微笑ましいものです。野鳥の餌台にはバナナやパパイヤが置かれていますが、ハナジロハナグマは丸ごと盗んで行ってしまいます。バードウォッチャーには嫌われ者かもしれません(笑)。
※小さい画像をクリックすると拡大表示します
ホエザルホエザル
ノドジロオマキザルノドジロオマキザル
ハナジロハナグマハナジロハナグマ
マダラアグーチマダラアグーチ
ミツユビナマケモノミツユビナマケモノ
アカオリスアカオリス
 
薄暗い林床を歩いていると、耳の短いウサギのような生き物に出会う時があります。げっ歯類のマダラアグーチです。臆病なので、音を立てると一目散に逃げて行くか、死んだように硬直状態を続けます。早朝や夕方であれば、林縁やエコロッジの庭先にも姿を見せます。オスの求愛行動はメスに尿をひっかけるという、ユニークな動物でもあります。
ユニークさでダントツと言えるのはナマケモノでしょう。一般の観光客がコスタリカで最も見たい生き物かもしれません。しかし、ナマケモノは樹冠部に棲み、予想外に観察が困難だったりします。日中は体を丸めて寝ているので、その存在に気が付かないことが多いのです。排泄のために一週間に一度だけ地面に降りて来ると言われていますが、その場面に遭遇するには相当な運が必要になります。
意外と思われるかもしれませんが、リス、シカ、アライグマなど温帯に生息する哺乳類もコスタリカには生息しています。これは中米が北米大陸からの架け橋となっているためです。一方、ナマケモノは南米大陸から中米へ「渡って来た」哺乳類です。
大型哺乳類のジャガー、バクなども限られた地域に少数が生息しています。特にジャガーは夜行性ということもあって、私も未だ目にする幸運に恵まれていません。中南米のジャングルに君臨する王者の姿をいつかは見てみたいものです。
『Pura vida! 野鳥ガイド露木貴浩氏のコスタリカ大自然コラム』
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露木さんのホームページ
コスタリカに在住し、野鳥に関するツアーガイドから講師までを幅広くこなす露木さんのホームページ。米国やエクアドルの野鳥についても紹介しています。
「アメリカ大陸の野鳥」(別ウインドウで表示)
「アメリカ大陸の野鳥」