2. 熱帯雲霧林とケツァール
熱帯雲霧林を流れる川。川の水は年中ひんやりとしている
900種近くの野鳥が記録されているというコスタリカ。この数は広大な国土を有するアメリカ、カナダ、オーストラリアよりも多いのです。その理由は、多彩な地形にあるのですが、今回は熱帯雲霧林について少し触れてみたいと思います。
熱帯雲霧林
コスタリカは赤道近くにあります。「赤道」=「熱帯」、「熱帯」=「年中蒸し暑い」というイメージがあると思いますが、コスタリカは少し違います。
着生植物のColumnea lepidocaulis。こちらも熱帯雲霧林を代表する植物だ。蜜でハチドリなどを誘い受粉に利用している
確かに低地は高温多湿なのですが、国の中央に山脈が走っていて、地域によって様々な表情を見せています。たとえば、私が住んでいる首都サンホセ郊外は常春で、エアコンもヒーターも必要ありません。一方高地では、朝夕は肌寒くなるほどに気温が下がるといった具合です。
そんなコスタリカには、標高1500mから2000mほどのエリアに熱帯雲霧林と呼ばれている地帯が広がっています。一年中霧に覆われ、神秘的なイメージが漂っています。高湿のため、木にはブロメリア、フィロデンドロンなど着生植物がビッシリ生えていて、シダ類も多く、恐竜でも飛び出してきそうな雰囲気さえあります。樹冠部にひっそりと蘭が咲いている光景も、こんなタイプの森です。
コスタリカにはモンテベルデ保護区という世界的に有名な場所がありますが、ここでは気軽に熱帯雲霧林の美しさが体感できます。観光設備も充実し、歩くのが苦手な方は蝶園、蘭園、ハミングバード・ガーデンなどに行くのも良いでしょう。また、幻の鳥が生息している保護区でもあり、運が良ければ出会うことができます。
『Pura vida! 野鳥ガイド露木貴浩氏のコスタリカ大自然コラム』
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