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開発の現場から / Challengers

高性能ファインダー 
~高い理想を掲げて~

人物紹介

金井 守康

光学設計担当

金井 守康

真田 慎一郎

メカ設計担当

真田 慎一郎

山本 久弥

ペンタプリズム生産技術担当

山本 久弥

“K-1を超えよう。そんな意気込みでファインダー開発に望みました”

K-3 Mark IIIの価値を決める高い理想への挑戦

金井:K-3 Mark IIIの光学ファインダーについては、製品の企画段階から特に高い理想を掲げていたと思います。その理想があったからこそ、数年を費やしてチャレンジを続けられた、と。そう思っています。

真田:K-3 Mark IIIにはいくつもの特長がありますが、「光学ファインダー」の性能こそがこの製品の価値を決めるものだ、そう考えていました。
一般常識として、APS-Cモデルのファインダーは、フルサイズモデルのものよりもファインダー像が小さいという事実があります。ファインダー像を大きくする、これはスペックリストに出てくるようなファインダー倍率だけを高めればよいのではなく、様々な課題を解決する必要があります。

金井 守康
真田 慎一郎

高屈折率硝子ペンタプリズムの採用

金井:本来、光学設計とは、相反する要素のバランスを取って成り立たせるものと言えます。ファインダーの倍率を高めることとトレードオフの関係にあるのが、アイレリーフの長さです。フォーカシングスクリーン上に見える像の倍率がいかに高くなっても、撮影者がファインダーに目を押し付けてぐるりと見回さないと視認できないようなものでは意味がありません。
きちんとファインダー像全体を見渡すことができ、それでいて大きなファインダー像を得る。この綱引きの関係にある二つの事象を解決するために不可欠となるのが「高屈折率ガラスペンタプリズム」です。

山本:実際にペンタプリズムの開発に着手してみると、特に加工検証の段階で、この試みが我々にとって非常にチャレンジングなものであったと思い知りました。
高屈折率ガラスは非常に硬くて脆い素材です。プリズムの稜線の部分が理想的にエッジの立った状態に仕上げるのに大変な苦労をしました。
当初ペンタプリズム加工の拠点であるベトナム工場で加工開発をスタートしたのですが、そこで200種類を超えるような加工条件をテストしていたと思います。ただそれでもなかなかうまくいきませんでしたね…。

もちろん、国内からベトナム工場にペンタプリズム加工現場を移管したときに、職人たちの熟練の技能はしっかりと継承されています。本来であれば日本の技術者が現地に赴き、共に綿密な検証のサイクルを重ねる必要がありますが、コロナ禍の状況でそれも叶いません。そこで思い切って国内に設備を導入し、一番時間を要する最終の仕上げ加工方法の開発は、我々国内の技術者が中心となって行いました。
例えば、異なるアプローチの加工方法を試してみたり、さらに細かな条件を日夜試行錯誤しました。

イメージ
山本 久弥

優れた光学ファインダーに求められる性能

金井:ファインダーは、像が大きい、ピントが掴みやすい、明るい、そういったわかりやすい性能だけではありません。その他にもゴーストが少ないこと、自然な色合いであること、ファインダー視野外がきちんと黒く締まっていることなども、撮影に没頭していただくために重要なファクターです。

真田:初めて試作機のファインダーを覗いたとき、確かにファインダー像の大きさはよかったのですが、他の部分が理想にはおよばなくて、それらの改善に努めました。
ファインダーを覗いたときの色合いと、視野外をきちんと黒く締めること、そのあたりには特にこだわっています。
例えば、コーティングの工夫はもちろん、反射対策のためにペンタプリズムの形状を何度も見直したりしました。

K-3 Mark IIIでは、多彩なファインダー内情報表示のために透過液晶を採用しています。一般的に透過液晶を採用するとファインダー像は暗くなるというイメージがあると思いますが、このような構造としつつも、様々な工夫によってK-3 II同等以上の明るい視野を実現しています。

K-3のファインダー断面図
K-3のファインダー断面図
K-3 Mark IIIのファインダー断面図
K-3 Mark IIIのファインダー断面図

最後に

金井:ファインダーの光学設計者としては、高屈折率ガラスペンタプリズムの量産化にこぎつけてくれた山本さんたち加工技術の方々、そして生産現場の方々に感謝しています。

山本:いろいろ大変でしたが、ようやくここまで来たかという実感がありますね。
K-3 Mark IIIをお手に取っていただき、ぜひ、この光学ファインダーを覗いてほしいと思います。

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