塙 真一 Shinichi Hanawa

塙 真一
Profile
東京都出身。人物をメインの被写体とするフリーランスのフォトグラファー。
カメラ誌に写真や記事を寄稿するほか、役者、タレント、政治家などの撮影も行う。また、海外での肖像写真撮影、街風景のスナップ、夜の街を撮る「夜スナ!」をライフワークとする。写真展の開催も多数。

HD PENTAX-D FA21mmF2.4ED
Limited DC WR

K-1 Mark II+HD PENTAX-D FA 21mmF2.4ED Limited DC WR
絞り:F2.4 露出補正:-0.7EV WB:太陽光 カスタムイメージ:リバーサルフィルム

 今回発売されるHD PENTAX-D FA 21mm F2.4 ED Limitedはいわゆる超広角と言われる画角となるレンズだ。スナップ写真を撮る私にとって、21mmという画角は自分の肉眼から想像できるぎりぎりの範囲だと感じる。これよりも広角となるともうファインダーを覗かない限りは、写る範囲を思い描くことはできない。そういう意味で、このレンズは人間の視覚のぎりぎりに挑んでくるレンズだと思う。
 目の前の景色を見ながら、「ここを写そう」と思って、ファインダーを覗く。そのときに頭に描いているシーンとファインダー像がぎりぎりでマッチしてくれる感覚。この感覚が楽しい。
 そしてこの画角のレンズがLimitedレンズという形で登場したことも嬉しいポイントだ。私が思っているLimitedレンズというのは最先端の光学技術で作られた優等生レンズではなく、あえて設計者が意図的な味付けをおこなっているレンズだと理解している。このレンズも当然、この味付けがされていて、撮影者はその味付けを受け入れながら撮影することが求められる。誤解を恐れずに言えば、レンズが撮影者に合わせてくれるのではなく、撮影者がレンズに合わせることが必要となるのではと思っている。
 
 もちろん、HD PENTAX-D FA 21mm F2.4 ED Limitedは最新のレンズだけに、解像力は高いし、AFも速い。外観のデザインに関しても従来のLimitedレンズよりも洗練されたものになっていると感じる。Limitedレンズらしい高級感を感じる質感にも好感が持てる。絞りリングがなくなってしまったのは少し残念だが、これは電子制御を進化させた結果なのでいたしかたないところだろう。その代わり、距離指標は残っている。AF時にもレンズの距離計が動くのがなんとも味わい深い気がする。実際に距離計を使ってピント合わせをする場面はほぼ皆無なのだが、やはり昔ながらあるべきものがあるというのは心地よいものだ。K-1 Mark IIに装着したときのボリューム感も程よい大きさで、単焦点レンズとしてはいくぶん主張が強いように思える。

K-1 Mark II+HD PENTAX-D FA 21mmF2.4ED Limited DC WR
絞り:F2.4 露出補正:-1EV WB:オート カスタムイメージ:リバーサルフィルム

 レンズの描写に関してだが、まずは開放のF2.4では良い感じに周辺光量が落ちてくれる。これも、「Limitedレンズというものはこうでなくちゃいけない!」と思わせてくれるから不思議だ(笑)。光学設計的には周辺光量落ちは少ないほうが良いとされるかもしれないが、撮っていて楽しいのは周辺がグッと落ちてくれるレンズだと思う。基本的にLimitedレンズの多くは、開放絞りでは周辺光量が良い感じに落ちてくれる。そこが好きなのだ。
 このレンズに関しては周辺の光量落ちは開放のF2.4ではわりと大きめ、そこから1段ほど絞れば周辺まで均一な明るさとなる。なので、光量落ちを出したくない場合には少し絞れば良いのである。ただ、私は周辺光量落ちがあった方が写真に立体感がでると感じているので、ほとんどのシーンは絞り開放で撮っている。

K-1 Mark II+HD PENTAX-D FA 21mmF2.4ED Limited DC WR
絞り:F2.4 露出補正:-1.7EV WB:オート カスタムイメージ:リバーサルフィルム

K-1 Mark II+HD PENTAX-D FA 21mmF2.4ED Limited DC WR
絞り:F2.4 露出補正:-1.3EV WB:オート カスタムイメージ:リバーサルフィルム

 記事中の写真は沖縄で撮ったものを掲載している。このときの沖縄は記録的な豪雨ということで、ほとんどの写真は雨かまたはどんよりとした空の下でのものとなった。でも、これがなんとも良い感じに写ってくれた。私にとってLimitedレンズはこのような重たい空気を写し出してくれるレンズという位置づけ。もちろん、晴れた日の青空でもきちっと撮ってくれるが、どんよりとした空気感のほうが本領を発揮してくれるという気がする。
 また、21mmという超広角でのスナップは漫然と広い景色を撮ってもあまり面白みはなく、主題にきっちりと寄って、パースペクティブを活かした構図を狙った方が面白い写真になるような気がしている。この主題を強調した撮り方にも、開放がF2.4というのがありがたい。主題をはっきりと写しながらも、背景をほどほどにぼかすことができる。超広角レンズというと、パンフォーカス気味の写真になりやすいが、このレンズなら積極的にぼけを活かした写真を撮りたくなるものだ。
 超広角レンズだけに、いつでもどこでもこれ1本というわけにはいかないが、風景、スナップなどのお供にぜひ持ち歩きたいレンズLimitedレンズだといえそうだ。

K-1 Mark II+HD PENTAX-D FA 21mmF2.4ED Limited DC WR
絞り:F2.4 露出補正:-0.7EV WB:オート カスタムイメージ:リバーサルフィルム

K-1 Mark II+HD PENTAX-D FA 21mmF2.4ED Limited DC WR
絞り:F2.4 露出補正:-0.7EV WB:オート カスタムイメージ:リバーサルフィルム

K-1 Mark II+HD PENTAX-D FA 21mmF2.4ED Limited DC WR
絞り:F2.4 露出補正:-1.7EV WB:オート カスタムイメージ:リバーサルフィルム

K-1 Mark II+HD PENTAX-D FA 21mmF2.4ED Limited DC WR
絞り:F2.4 露出補正:-1.7EV WB:オート カスタムイメージ:リバーサルフィルム