新大陸のヤマセミ
「最も好きな野鳥は?」という質問に対して、多くのバードウォッチャーはカワセミと答えるのではないでしょうか。「水辺の宝石」であるカワセミの姿に一目惚れして、バードウォッチングを始められた方も多いはずです。私も初めて見た時にはビックリしました。「日本にもこんな綺麗な鳥がいるのか!」なんて叫びそうでした。日本では週末になると、カワセミが出没する場所に大砲のような望遠レンズがズラリと並ぶそうで、被写体としての人気ぶりもうかがえます。
世界には100種近くのカワセミの仲間(ヤマセミ、ショウビンを含む)が生息しているそうで、その多くは色鮮やかな体色をしています。ですから、これらの鳥を目当てに世界中を旅されている方もいるようです。一方、新大陸にはわずか6種類しか生息していません。約4000種もの野鳥が生息している「野鳥大陸」にしては少ない数ですよね。色合いも比較的大人しめなので、カラフルな鳥が好きな私には少し残念だったりします。しかし、ヤマセミはヤマセミです(6種とも和名にはヤマセミと付いている)。日本から来られるお客様には常に人気の的です。
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ミドリヤマセミ

アカハシリュウキュウガモ

クロオビチドリ

アメリカレンカク

ジャノメドリ

トラフサギ

ヒロハシサギ

ベニヘラサギ
クビワヤマセミは全長40cmを超え、色合いも新大陸独特です。そのホバリングやダイビングは迫力満点で、日本のヤマセミファンにもたまらないことと思います。一方、コミドリヤマセミは全長わずか13cmで、まさに小鳥サイズのヤマセミです。私がご案内するボート・ツアーのハイライト的な存在で、そのサイズにはみなさん驚かれます。この鳥は小型にもかかわらず、警戒心がほとんどありません。2、3mの近距離にボートで近寄っても平気なほどです。時折、ダイビングをして小魚を捕食するなど、サービス精神も旺盛です。逆に大型のクビワヤマセミは警戒心が強く、その対比もおもしろいと思います。
残りの4種はミドリヤマセミ、オオミドリヤマセミ、アカハラミドリヤマセミ、アメリカヤマセミです。アメリカヤマセミは北米からの渡り鳥で、コスタリカで越冬しています。日本のアカショウビンのように森林に生息している種はいないので、異種間同士の生存競争が激しいように思えます。しかし、種ごとにサイズやクチバシの大きさが違うため、餌となる魚の種も異なります。こうして同じエリアでも共存が可能になっているのです。これは進化の過程によるものと思われますが、不思議なものですね。
『Pura vida! 野鳥ガイド露木貴浩氏のコスタリカ大自然コラム』
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