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ヒゲドリ
コスタリカに生息する野鳥の中でも非常にユニークな容姿をしたヒゲドリ。厳密にいうと、熱帯乾燥林の野鳥ではないのですが、繁殖後に一部がグアナカステ地方に飛来します。樹冠部の鳥で、茂みの深い森林では観察が困難な時があります。グアナカステでは落葉している時期に飛来するので、見つけやすくなります。
英名はThree-wattled Bellbird、つまり三本のヒゲ(肉だれ)がついています。左右に一本ずつ、クチバシの上部に一本生えています。白と茶色のツートンカラーのボディもユニークです。外見同様、その声にも特徴があります。
まず、その声量ですが、地球上に存在する生き物の中ではトップ・クラスを誇るそうです。半マイル(800m)先まで声が届くといわれていますから驚きですね。さらにその声は金属的で、「ボォーン!」と聞こえた後に「キーン、キーン」と続きます。一度、聞いたら忘れられない音で、とても鳥のそれとは思えません。一日中鳴かれると、流石に喧しいかもしれませんが、なんとも不思議な気分にさせてくれます。中米のホンジュラスからパナマにかけて生息している鳥なのですが、残念ながら個体数は減少しています。
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ヒゲドリヒゲドリ
サカツラハグロドリサカツラハグロドリ
アオマユハチクイモドキアオマユハチクイモドキ
シロエリオオガシラシロエリオオガシラ
キノドスミレフウキンチョウキノドスミレフウキンチョウ
ズグロハグロキヌバネドリズグロハグロキヌバネドリ
チビミチバシリチビミチバシリ
マミジロイシチドリマミジロイシチドリ
ヒゲドリの研究調査が進むまで、コスタリカでは普通種と思われていました。国の至る所でその声が響いていたからです。しかし調査の結果では、複雑な季節間の移動を繰り返していることがわかりました。時期により繁殖地から太平洋側やカリブ海側の低地へ移動していたのです。つまり、同じ集団、個体が様々な場所で記録されていただけで、その数は多くはなかったのです。現在、国内の繁殖エリアはモンテベルデ保護区とパナマ国境の東南部2か所のみで、保護団体による保護プログラムも存在しています。
エコツーリズムの根幹は「自然や、そこに生息する生き物をありのままに楽しむ」ことであると私は考えます。ヒゲドリはそのほんの一部にすぎませんが、奇妙な容姿に声、その声がこだまする美しい緑を思い浮かべてみてください。そのありのままの姿を、いつまで見られるかはわかりませんが、そんな摩訶不思議な金属音がいつまでも中米の森に響き渡ることを願って止みません。
『Pura vida! 野鳥ガイド露木貴浩氏のコスタリカ大自然コラム』
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露木貴浩氏について
オオツリスドリの古巣を持つ露木氏
滋賀県生まれ東京育ち。学生時代に渡米し、ロサンゼルスで手にしたピーターソン・フィールドガイド(北米の野鳥図鑑)がきっかけとなってバードウォッチングを始める。
活動の場は北米から中南米へと広がって行き、中南米の自然の美しさに魅せられると同時に、森林保護の必要性を感じ始める。以後、サラリーマンから野鳥ガイドに転身。中南米の玄関口であるヒューストンでの活動の後、2003年からはコスタリカに在住し、欧米バードウォッチャー御用達ロッジのガイドや、旅行会社の現地講師も兼任するなど、幅広い活動を続けている。
目標は、世界中のバーダーに新大陸の野鳥を紹介すると同時に、消えゆく熱帯雨林、熱帯雲霧林、密猟問題の現状などを伝えていくことだ。
露木さんのホームページ
「アメリカ大陸の野鳥」