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環境の変化に居場所を奪われる動物たち
熱帯雨林の象徴ともいえるコンゴウインコはコスタリカに2種が生息しています。真っ赤なコンゴウインコと緑のヒワコンゴウインコです。後者においては繁殖ペアが35前後といわれており、10年間で五分の一ほどになってしまいました。ヒワコンゴウインコはDipteryx panamensisというアーモンドの木に営巣し、その実を主食としています。しかし、この木は丈夫で家具などに重宝され、どんどん数が減っています。
何回か写真を掲載したカザリキヌバネドリ(ケツァール)は熱帯雲霧林に生息していますが、モンテベルデ保護区で営巣する個体は季節により標高間移動しています。繁殖期後には標高が低い森林に移動するのですが、それらの緑地が減少し続けています。故にケツァールの個体数も減っています。以前、日本の新聞記事にもなったのですが、モンテベルデ保護区の森に霧が立ち込めなくなっているのは、これが原因とも言われています。下の森がなくなれば、水蒸気が上がってきません。保護区内の生態系に影響を与えかねませんので、将来が懸念されています(事実、多数の両生類が保護区から姿を消しました)。
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オウギワシオウギワシ
コンゴオウインココンゴウインコ
ヒワコンゴウインコヒワコンゴウインコ
ケツァールケツァール
 
皮肉なことに、コスタリカの野鳥種は現在でも増え続けています。隣国であるニカラグアとパナマから国内に入り込んできている訳ですが、それらの野鳥には共通点があります。どの種も開けた場所を好むのです。つまり、国境にあった「緑の壁」が消滅し、これらの鳥の「侵入」を許すことになったと推測できます。
1970年にトルトゥゲーロ国立公園が設立され、現在では28の国立公園が存在します。保護区を含めると国土の25%が「守られている」ことになります。この数字をどう解釈するかは人それぞれだと思いますが、私には決して安心できる数字とは思えません。事実、保護区の多くは私有地であり、所有者の考え一つで牧草地やプランテーションになりかねません。数年前に私有保護区内にあるエコ・ロッジがカジノとなり、欧米のバーダーに衝撃を与えました。また、森林だけに限らず、沿岸部ではリゾートホテル、高級マンション、ゴルフ場などが相次いで建設されています。エビの養殖も盛んに行われているようで、マングローブ林の減少に拍車をかけています。
 
『Pura vida! 野鳥ガイド露木貴浩氏のコスタリカ大自然コラム』
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露木さんのホームページ
コスタリカに在住し、野鳥に関するツアーガイドから講師までを幅広くこなす露木さんのホームページ。米国やエクアドルの野鳥についても紹介しています。
「アメリカ大陸の野鳥」(別ウインドウで表示)
「アメリカ大陸の野鳥」