12. コスタリカが抱える問題
今回で12回を迎えるこのコーナーもとうとう最終回となりました。そこで今回は、これまでお伝えしてきましたコスタリカの魅力とは少し視点を変え、コスタリカが抱える問題について触れてみたいと思います。
森林伐採の代償とも言える牧草地。国立公園や保護区に辿り着くまでは多くの牧草地が続く
パイナップルのプランテーション。コーヒー、バナナと同様、多くの場所で見かける
森林伐採
今や欧米では「エコツーリズムの先進国」として有名なコスタリカですが、その過去は決して喜ばしいものではありませんでした。1960年代には世界で最も森林伐採が進んだ国の一つに数えられ、国土の森林が半分に減りました。延々と続いていた密林は牧草地やバナナ、パイナップル、コーヒーのプランテーションへと変貌していきました。
大規模な緑を失っただけではありません。そこに棲んでいた大型の哺乳類、鳥類などは次々と姿を消していきました。このコーナーの
第11回目でジャガーやバクが生息していると書きましたが、これらの大型哺乳類は広大な緑地を必要とします。小規模な森林が散在しているだけでは不十分なのです。
今では少数がコルコバード国立公園やブラリオ・カリージョ国立公園など、比較的規模が大きい緑地を「最後の砦」として残存するのみです。「世界最強の猛禽」オウギワシ(画像は次のページ
12-2に掲載しています)に至っては、国内での営巣記録も無くなってしまいました。サルやナマケモノを主食とし、中南米ジャングルの頂点に立つ鳥も森林伐採の波には勝てなかったのです。今では1、2年に1回、パナマから国境を越えてくる個体が記録される程度になってしまいました。