塙 真一 Shinichi Hanawa

塙 真一
Profile
東京都出身。人物をメインの被写体とするフリーランスのフォトグラファー。
カメラ誌に写真や記事を寄稿するほか、役者、タレント、政治家などの撮影も行う。また、海外での肖像写真撮影、街風景のスナップ、夜の街を撮る「夜スナ!」をライフワークとする。写真展の開催も多数。

HD PENTAX-FA 31mmF1.8 Limited

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HD PENTAX-FA 43mmF1.9 Limited

Limitedレンズの中で特にスナップ撮影に向いていると感じるのが、31mmと43mmの2本だ。2本のレンズは焦点距離こそ似ているが、性格はかなり異なる。
31mmはキリッとした解像感とコントラストがある。それでいて周辺部分は程よく光量が落ちてくれるため画面構成が間延びすることもなく、強い光や印象的な被写体をしっかりと描くのに向いている。
それに対して43mmはどちらかといえば柔らかな描写が魅力。F1.9の開放絞りではピント面もシャープになりすぎることもなく、ぼけ味も肉眼でみた印象に近いナチュラルなものとなるのが心地よい。だから、43mmを装着していると被写体を見る目が優しい気持ちになるような気がする。

LimitedはAFの駆動音もやや大きく、AF速度も超高速とは言えないかもしれない。超音波モーターを採用する最新レンズに慣れた人にはちょっと驚くだろう。だが、これこそがこのレンズの魅力だと思うのだ。じっくりと被写体と向き合いながら、時を感じながらそっとシャッターを切る。写真を撮るということに儀式的なものを感じることができるのがLimitedレンズならではの味わいなのではと感じる。 今回使用した2本のLimitedレンズはHDモデルへと進化したことで逆光への耐性が高まり、より光に向かってシャッターを切ることが楽しくなったのではと感じた。従来のコーティングでは強い逆光時にフレアっぽくなることもあったが、その点はHDモデルになって改善されているため、以前よりも積極的に逆光の強いコントラストを写真に収めようという気持ちになった。

31mmと43mmでは性格が異なると書いたが、実際に2本のレンズを付け替えて使っていると、焦点距離の違いも思った以上に大きいと感じる。43mmは一般的に標準レンズといわれる焦点距離域だが、31mmから付け替えるとまるで望遠レンズのような感覚になる。スナップでは31mmをメインで撮りながら、グッと寄りたいと思ったときに43mmにチェンジすると、「ここまでダイナミックに切りとれるのか」と思うほどだ。カメラを手にスナップや旅を楽しむなら、ぜひとも31mmの広角をメインにして43mmを「心の望遠レンズ」として使ってみてほしい。レンズを替えることで、目の前の世界がさまざまな表情を見せてくれることに気がつくはずだ。

Sample Images

HD PENTAX-FA 31mmF1.8 Limited
by Shinichi Hanawa

Sample Images

HD PENTAX-FA 43mmF1.9 Limited
by Shinichi Hanawa