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世界一美しい鳥、ケツァール
その鳥はケツァール(カザリキヌバネドリ)と呼ばれ、メキシコ南部からパナマ西部にかけて生息しています。森林伐採により個体数は減少していて、グァテマラでは国鳥に指定されていますが、現在では文字通り幻の鳥になりつつあるほか、メキシコでも観察は困難です。コスタリカに世界中から集まるバードウォッチャーの多くは、この希少な鳥を見ることが第一の目的です。野鳥にあまり興味がない観光客でさえ、噂のケツァールを一目見ようと生息地を訪れます。
ケツァールは、エメラルドグリーンに輝く背中、深紅の胸、角度によってはターコイズブルーに見えたり、頭頂が金色に輝くなど、鮮やかで変化に富んだ体色を持っています。4本ある上尾筒(腰から生えている羽)は60cmほどまで伸び、飛翔時にヒラヒラと舞う姿は神々しいという言葉がぴったり。事実、古代マヤ、アステカ時代には神の化身として崇拝されていたとされています。また、日本では有名なアニメーション作品のモデルになったと言われており、この鳥を扱ったテレビ番組も何度か放送されています。
いろんなエピソードを持つケツァールですが、バードウォッチャーにとっての究極の憧れであることには間違いありません。事実、ガイドの私にとってはこの鳥を見せることが必須となっていますし、案内するみなさんを生息地にお連れするときにもそんな様子が見て取れます。そろそろ生息地というところまで近付くと、期待と不安が高まるからか、みなさん次第にソワソワしてきます。そして遭遇した時には、感動のあまり涙を見せる方もいらっしゃるほどです。
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ケツァールケツァール
ケツァールケツァール
キバシミドリチュウハシキバシミドリチュウハシ
アオボウシミドリフウキンチョウアオボウシミドリフウキンチョウ
ドングリキツツキドングリキツツキ
クビワアメリカムシクイクビワアメリカムシクイ
クビワキヌバネドリクビワキヌバネドリ
オナガレンジャクモドキオナガレンジャクモドキ
私はどちらかというと新しい鳥との出会いに興奮しますが、それでもケツァールに関しては何度見ても飽きません。撮影するたびに違った色合いや表情を見せますし、そのたびに感動を覚えます。なるほど世界一美しい鳥と思わせる魅力、あるいは説得力があると思います。
ここまでお読みになると、いとも簡単に見られるように思われるかもしれませんが、もちろんコスタリカでも個体数は多くはありません。モンテベルデ保護区に生息する個体は減少しており、その将来は決して楽観視できるものではないのです。
さて、今回はこのくらいにしておくとして、次回も気候と生物についてもう少し触れてみたいと思います。
『Pura vida! 野鳥ガイド露木貴浩氏のコスタリカ大自然コラム』
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露木貴浩氏について
オオツリスドリの古巣を持つ露木氏
滋賀県生まれ東京育ち。学生時代に渡米し、ロサンゼルスで手にしたピーターソン・フィールドガイド(北米の野鳥図鑑)がきっかけとなってバードウォッチングを始める。
活動の場は北米から中南米へと広がって行き、中南米の自然の美しさに魅せられると同時に、森林保護の必要性を感じ始める。以後、サラリーマンから野鳥ガイドに転身。中南米の玄関口であるヒューストンでの活動の後、2003年からはコスタリカに在住し、欧米バードウォッチャー御用達ロッジのガイドや、旅行会社の現地講師も兼任するなど、幅広い活動を続けている。
目標は、世界中のバーダーに新大陸の野鳥を紹介すると同時に、消えゆく熱帯雨林、熱帯雲霧林、密猟問題の現状などを伝えていくことだ。
露木さんのホームページ
「アメリカ大陸の野鳥」