優れた描写性能と機動力を兼備した「★(スター)」の称号を持つ大口径望遠ズームレンズ「HD PENTAX-D FA★ 70-200mmF2.8ED DC AW」。アウトドアでの撮影とも親和性の高いこの機種が誇る魅力について、開発担当者をインタビュー。
開発統括部 第三開発部 第31開発グループ マネージャー 飯川 誠
開発統括部 光学設計グループ 小織 雅和
シリーズのなかでも、より優れた描写力を持つ製品にだけ与えられる「★(スター)」の称号。開発を担当した飯川氏と小織氏が製品の魅力と、圧倒的な高性能を実現するためのこだわりについて語ります。
70-200ミリはカメラの世界における“王道の一本”ということもあり、ポートレートなどの近距離撮影から、遠くで動く被写体をしっかりおさめる撮影まで、とにかくさまざまな被写体に対応することを念頭に開発を進めてきました。もちろん被写体だけでなく、逆光に強く、屋内からアウトドアフィールドまで、撮影する環境を選ばないこと。つまり、すべての被写体、すべての撮影環境に対応し、かつ「★(スター)」シリーズならではの高い描写力を備えていることが条件でした。本製品はこの3つの特性を兼備した、バランスの良いレンズに仕上がっていると思います。
本製品はズーム全域での開放F値2.8という明るさが特長です。ポートレート撮影など、被写体を全面に置くというより背景を活かした撮影などで、ボケや立体的な表現での効果を発揮できることを優先しています。被写体をただシャープに写すだけでなく、なだらかにボケていくような、そういった描写の味付けも、このレンズならではの魅力です。光学技術においては、従来の製法を見直し、より優れた低反射特性をもつ新開発のナノテクノロジー「エアロ・ブライト・コーティングII」と、可視光域の平均反射率をこれまでのマルチコーティングに比べ、50%以下に抑制する高性能マルチコーティング「HDコーティング」を併用しています。それらによって逆光でもゴーストやフレアーを抑制し、クリアでコントラストの高い画質になっています。
「クイックシフト・フォーカス・システム(Quick-shift Focus System)」の機構も見直しました。これまでの方式のものを「QFS/Aモード」として残し、「QFS/Mモード」を新たに追加。これはAFの最中にMFへとすぐに移行するための機能で、どうしてもAFを優先したいシチュエーションでMFを止めておきたい場合は「QFS/Aモード」、クイックにMFを使用したい場合は「QFS/Mモード」、さらにレンズ側で素早くマニュアルに切り替える「MFモード」と、3つの切り替えスイッチを駆使することで、状況や撮影の仕方にあわせた臨機応変な使い分けが可能になっています。また、撮影場所ごとに、被写体との距離に応じて切り替えスイッチを使い分けたいというお客様の声が多かったため、従来2種類だったフォーカスレンジリミッターを、3種類構成としました。
外装についても、堅牢性とシャッターチャンスを逃さないための工夫を両立させる細かな配慮がなされています。例えば、ズームリングとフォーカスリングのテクスチャは、濡れても滑りにくく、直感的に使うことができます。デザインと開発、双方の息を合わせながらのモノづくりだからこそ実現できたルックスにも、ぜひ注目してみてください。