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カメラは地球を巡る
赤道付近に位置しながらも氷河をたたえるキリマンジャロ
vol.11 サバンナの霊峰 佐藤秀明
キリマンジャロの内側から見るマウエンジ峰。トップ画像の左に見えるピークがこれ

キリマンジャロ(標高5,895m)は、タンザニアのケニアとの国境近くにそびえる独立峰。シラ峰、キボ峰、マウエンジ峰の3つの峰からなり、私たちが一般的にキリマンジャロと呼んでいるのは、この3つの峰を指して言う。

このうち、最も高いのがキボ峰で、キリマンジャロに登るということは、このキボ峰に登るということである。

途中までは緩やかな坂道

キリマンジャロは、サバンナから眺めていると穏やかなコッペパン伏せたような形をしているが、富士山よりもはるかに高く、5,000mから上はほとんど壁に近い。登頂するには、かなりの体力が必要だ。

山頂部の氷河。赤道付近とは思えない光景が広がっている
4,700m地点までは緩やかな登りが続く
なだらかな坂道の途中、雲間から氷河がのぞく

しかし、4,700m地点までは厳しい登りはほとんどなく、ダラダラと緩やかな坂道が果てしなく続く。

山頂まで4日ほどかかるが、山小屋も完備されているので、楽々登山ができる。

途中の草原には見たこともない高山植物が咲き乱れ、早朝の雲海の見事さも含め、被写体には事欠かない。

緩やかななかに潜む危険

ところが、この緩やかな登りがなかなかのクセ者で、体力のない人でも知らないうちに4,000mくらいの高さまで来てしまう。

そんなに急いで登らなくても良いのだが、その行程にはある程度の登山経験が必要だろう。それは、年間10人ほどが亡くなっているという高山病が怖い山でもあるからだ。

私たちと同じペースで登っていたうるさいイタリア人のグループが、標高が上がるにつれて静かになっていったのには笑ってしまった。

全員毎晩ワインの飲み過ぎと騒ぎ過ぎで高山病にかかってしまったのだ。

さ と う  ひ で あ き

1943年、新潟県生まれ。日本大学芸術学部写真学科を卒業後、フリーのカメラマンとなる。

60年代はニューヨークに暮らし、その後、70年代、80年代にかけてはサーフィンを被写体の中心にすえる。

その時に培った自然観をベースに、北極、アラスカ、アフリカ、チベット、南洋諸島など、世界中の辺境を旅し、自然と人間、文化を独特の視野で撮り続け、数多くの作品を発表している。

最近は日本にも目を向け、日本人の心の中に淀んでいる思いのようなものを表現することに精力を注いでいる。主著は「北極 Hokkyoku」「地球極限の町」「口笛と辺境」など多数。「彼は海へ向かう」「西蔵回廊」「伝説のハワイ」など共著も数多い。

日本写真家協会会員

登山道の傍らでは珍しい高山植物を目にすることができる
雲海に陽が映える
『カメラは地球を巡る』
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