福田 幸広K20D

12月の上旬いつものように茨城県大洗港のフェリーターミナルから北海道へと向かった。この航路はすでに通いなれた道だ。これから目の前で繰り広げられるであろう動物たちの生き様を想像するうちに18時間の船旅も短く感じられるほどだ。

今回、撮影に連れてきたのはK20Dと動物撮影に必要と思われるDA12-24mm F4 ED AL[IF]、DA★16-50mm F2.8ED AL[IF]SDM、DA★50-135mm F2.8ED [IF]SDM、DA★200mm F2.8 ED[IF]SDM、DA★300mm F4ED[IF]SDMの5本のレンズたち。35mm換算では約20mmから約480mmまで。これで総重量4.5kg。お気に入りの小型リュックにすべてがすっぽりと収まる。リュック込みでも約6kgと軽量だ。この小型軽量とボディ内手ぶれ補正機構(SR)を利用してフットワークを生かした撮影をするつもりでいた。

年による差こそあれ12月ともなれば北海道は厳寒の季節への入り口。道路は1年で一番走りにくい季節となっているはずだった。しかし、今年は何かが変だ。走れど走れど、雪がない! スタッドレスタイヤは「ゴーッ」と音を立てて乾燥路を駆け抜けて行く。ちょっと不安がよぎったがまあ豪雪地帯まで行けば撮影は可能だろうとたかをくくっていた。

不安は的中。北海道で1番の豪雪地帯でさえも積雪は0cm。「地球は大丈夫か!」と叫びたくなるような異常暖冬だ。この瞬間、私とK20Dの旅は「冬探し」の旅となった。

どこを走っても乾燥路面なのを逆手にとって冬の時期では考えられないような距離を次々に移動し撮影して行く。雪が降ったと聞けばすぐに積雪地へ移動。撮影地に着くと総重量6kgのK20D動物撮影セットが助け舟となって雪の少ない雑木林へも楽々と歩いて行けた。1日中、動物を捜し求めて歩いても苦にならない機材セッティング。動物撮影ではここが一番重要なポイントだ。

12月の北海道は常に太陽の角度が低く決して露出が豊富とはいえない。感度を高めにセットすることにはこのK20Dはまったく不安を覚えなかった。画質に関してもK10Dに比べて格段に進歩していたことを実感した。

早朝暗いうちからのハクチョウ撮影時でのAFの粘り強さを実感し、知床でオスジカの撮影時にはシャッター音の静かさに感激し、300mmを手持ち撮影して小鳥さえも撮影できてしまう手ぶれ補正機構の力強さに助けられ、異常気象に負けそうになった心をいつもサポートし続けてくれた。

ボディだけでなく、システムが小型・軽量であったK20D。今回の旅はK20Dのフットワークの良さがなければ撮れなかったシーンが確実にあった。

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