天文宇宙関係のイラスト、天体写真の仕事を中心に、内外の天文雑誌、書籍の執筆、NHK天文宇宙関連番組の制作・監修、プラネタリウム番組の制作などを手掛ける。辺境地への海外取材も多く、2003年NHKの依頼による南極での皆既日食撮影を行う。2004年環境大臣賞受賞。RPS(王立写真真協会)/IAAA(国際宇宙イラストレーション協会)/THE PLANETARY SOCIETY(惑星学会)/IPS(国際プラネタリウム学会)/日本天文学会/SSP(日本自然科学写真協会)/JPS(日本プラネタリウム協会)
西安を起点にして西に延びるシルクロード。その中で甘粛省を通る酒泉から敦煌に至る街道を「河西回廊」と呼んでいる。河西は大黄河の西側を意味しており、北は万里の長城、南は祁連山脈に囲まれた美しい浪漫街道だ。
そこでこの8月1日に皆既日食が見られた。皆既日食は地上で見ることのできる自然現象では最も劇的なもの、人生観を変える程の感動を与えるといわれる。河西回廊には万里の長城の西端に設けられた巨大な廊砦「嘉峪関」がある。長城の各所に設けられた関所の中でも最も荘厳なものの1つとされ、砦壁の上部に建てられた3つの巨大な楼閣が皆既日食の中でとても印象的な景観を作り出すと期待された。
今回の嘉峪関での皆既日食は夕刻に太陽がかけ始め、1時間後に皆既となり、その後1時間かけて元の太陽に戻ってゆく。皆既日食の時間はわずか50秒足らず。その一瞬に思いを込める。河西回廊は日食以外にも魅力ある被写体に満ちている。シルクロードの代名詞的な存在の敦煌には鳴砂山や漠高窟、大仏寺の張掖、孔子廟の武威など文化遺産が数多く存在し、祁連山脈に続く変化に富んだ風景とともに楽しむことができた。
今回、初めてK20Dを海外取材に携行した。数本の交換レンズを含めてもかさばらず、日食撮影のように多くの機材を携帯しなければならない旅ではとてもありがたい存在である。ボディ内手ぶれ補正機構を採用したこともレンズシステムのコンパクト化に貢献している一因だろう。
ボディはとても堅牢でステンレスシャシーや各部の防塵防滴はとても安心感を与えてくれるし、手ぶれ補正機構がすべてのレンズで機能することも、旅のタイトなスケジュールの中ではストレス軽減に貢献してくれた。なんと言ってもあらゆる条件下で確実に機能するカメラが道具としての求められる条件だ。バッテリーの持ちも特筆すべきものがあり、K20Dはまさに最適の旅カメラと言えるだろう。
今回訪れた場所のような標高の高い乾燥した気候では、晴天時のコントラストが非常に高く、白飛び、黒つぶれの対策で露出管理にとても気を使う。撮影の基本はRAW、展開後の画像調整が勝負だ。それによってK20Dの1400万画素超の高精細は、ぞくぞくするような驚くほどのリアル感をもたらしてくれた。