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画面周辺部までの高コントラスト高解像性能と
極限まで諸収差を抑えた大口径標準ズーム

HD PENTAX-DA16-50mmF2.8ED PLM AW

理想の画質を追求した新世代の★(スター)レンズ

8月27日発売

開発の現場から

『新世代のスターレンズ』として、PENTAXのレンズ開発技術の粋をあつめて開発された渾身の大口径標準ズームレンズ「 HD PENTAX-DA16-50mmF2.8ED PLM AW 」。
各セクションの開発担当者が、開発における意気込みや、製品の魅力について語ります。

商品企画担当
岩崎

光学設計担当
中山

メカ設計担当 兼 プロダクトマネージャー
丹羽

企画背景

[企画:岩崎]

今回の「HD PENTAX-DA16-50mmF2.8ED PLM AW」においては、企画開始と同時に以下3つのポイントを掲げました。

これらのポイントは、大きく進化したK-3 Mark IIIとその先のAPS-Cサイズ一眼レフカメラのさらなる進化を見据えて、スターレンズとして時代に見劣りしないダントツに高い性能を持ったレンズとし、また長く使ってもらいたいという思いで企画しました。
一番使われる大口径標準ズームなので、様々なシーンや被写体、使われ方を想定しなければならなく、各焦点距離での性能や無限や近距離での性能も細心の注意を払う必要がありました。 このレンズを企画する上で、既存 の「smc PENTAX-DA16-50mmF2.8ED AL[IF] SDM」をユーザーの皆さんがどのように感じているのか、どんな課題があるのかを改めて調べてみると、

  • ・開放ではコントラストが低く解像力にばらつきがあるものがある。
  • ・条件によりパープルフリンジが目立つ。
  • ・AFが遅く、精度が悪いときがある。
        などなど

と、ユーザーの皆さんが使っている中で多くの課題が浮き彫りになりました。本来であれば交換レンズの中で最高の物として君臨していなければならないスターレンズが、信頼を失いかけていると危機感を持ち、スターレンズ本来の信頼を確固たるものにするために、光学設計から新規に設計し全く新しいスターレンズとして世の中に出さなければならないと考えたのです。そして、それは、ここ近年進化させてきた今のPENTAX の光学設計技術、設計シミュレーション技術、調芯技術、高精度部品加工技術、アクチュエーター設計、最新のメカトロニクスを使えば最高の交換レンズにできると考え、このレンズでユーザーに喜んでもらいたいと考えたのです。例えば、新世代スターレンズのD FA70-200mmF2.8ED DC AW、D FA50mmF1.4 SDM AW、D FA85mmF1.4ED SDM AW、DA11-18mmF2.8ED DC AWなどで培った高精度なシミュレーションを使った光学設計や調芯技術、高精度部品加工技術、DA55-300mmF4.5-6.3ED PLM WR REで培った高速AFと、それを高精度で制御する最新のメカトロニクスなど。これらPENTAX のレンズ開発技術の粋を集め、最高の交換レンズを作りあげ、それをK-3 Mark IIIの能力を余すことなく発揮できるようにできる交換レンズとしたい、そして最高のAPS-Cの一眼レフカメラシステムになるようにと考えて企画しました。

ポイント①超高画質のレンズであること

D FA50mmF1.4 SDM AWの開発時に、新世代のスターレンズとしてスターレンズの定義を見直しました。
新世代のスターレンズの定義は、
スターレンズとは、

  • ・絞り開放から中心から最周辺まで均一なシャープで抜けの良い最高画質を追求したレンズ
  • ・写真表現を広げる大口径レンズ
  • ・堅牢性と操作性が高く、高品位な鏡胴構造を持つレンズ

としており、その中で最高画質を追求するための画質に関する規格が存在します。
このスターレンズ規格を満足するために、中心だけでなく周辺での高い解像力や、少ない色収差、歪曲収差、ゴースト・フレア、距離による像性能など画質にまつわるあらゆる画質性能を高いレベルで目標設定し開発を行い、それらを確実のものとするために高精度なシミュレーション技術を活用して進めてきました。

ポイント② AF高速化

AFに関しては、既存の「smc PENTAX-DA16-50mmF2.8ED AL[IF] SDM」のAFスピードでは遅いと考え、AF高速化を高いレベルで達成したいと考えていました。K-3 Mark IIIの早いコマ速にも当然対応できるものとして検討をしてきました。合焦までの時間だけでなく、AF精度や③の信頼性という観点でも進化させるべく、大口径のレンズでは難しいリードスクリュー直結駆動のパルスモーターを使ったフォーカス機構にチャレンジしました。目標としては少し早くなったレベルの微小の進化ではなく、高速化をユーザーが体感できるレベルを求めました。結果としてワイドでは約2.2倍、テレでは約1.5倍の大幅な高速化が達成できました。また、PLM(Pulse Motor)はギアを介さないので、静音化にも大きく寄与しており、ストレスのないAF駆動を達成しています。

ポイント③ 信頼性の高いレンズ

長年の大きな課題でした。これはメカ的な信頼性だけでなく光学的な信頼性についても含めての検討が必要でした。
今回採用したパルスモーターの機構は耐久性の信頼性も高く、DA55-300mmF4.5-6.3ED PLM WR REでもその実力を発揮しています。
また、AFでの高精度な位置制御と相まってフォーカス精度の信頼性が高まっています。
光学性能の信頼性という観点では、既存の「smc PENTAX-DA16-50mmF2.8ED AL[IF] SDM」は、光学性能においてばらつきが多く見られました。
今回のレンズは、レンズの位置精度による像性能の変化(感度)のバランスを最適に設計し、調芯技術と組み合わせて、ばらつきが少なく安定性の高いレンズ性能を目指しました。生産ラインで高い精度で調芯してレンズの位置を調整できる様になっているため、どのレンズも個体レベルでのばらつきが少なく、高い像性能を維持でき、光学性能としての信頼性も高めることができています。

このように、最高レベルの像性能と、使いやすい高速なAF、あらゆる信頼性を高めたPENTAX史上最高のレンズをつくることを意識し、ユーザーの皆さんが気持ちよく満足して使えるレンズとなるように開発しました。

①新世代のスターレンズ規格を満足する超高画質のレンズであること

像面平坦性の徹底追求

[光学:中山]

光学設計としては、ズーム全域で開放から高画質であることにこだわりました。新世代のスターレンズの定義をクリアすることはまず大前提として、さらに、広範囲で被写体の空間周波数が比較的高くなりやすいワイド側では画面全域にわたり平均的に高画質で像面が平坦であること、メインとなる被写体が存在することが多いテレ側では特に中心部が高画質であることを意識して設計しました。風景などではワイド側で周辺部まで高精細な描写性能を発揮し、スナップやポートレートなどではテレ側での中心部の解像と周囲のアウトフォーカス部の自然なボケ味をよりリアルに心地よく表現できるようになっています。



調芯・調整精度の追い込み

[光学:中山]

ズーム焦点距離のすべての光学性能を高めるために像面傾きと像面湾曲とを複数の適切な焦点距離で調整可能な設計にすることで、ズーム全域での光学性能を従来よりも追い込むことが可能となりました。従来のズームレンズであれば、調整する焦点距離以外で相反する光学性能を考慮したバランス採りが必要でしたが、今回の「HD PENTAX-DA16-50mmF2.8ED PLM AW」ではそれが不要で、ズーム全域での最適調整を狙うことができます。加えて、光学調整を専用の自動調整機で行うことで、高精度且つ安定的な調整が可能となり、さらに高いレベルの光学性能を実現しています。

光軸の安定性向上

[メカ:丹羽]

メカニカル部分においては鏡筒を新規設計し、レンズ鏡筒がズームレンズの繰り出しによるたわみの影響を受けにくい構造とすることで、軸を常に安定させることに成功しています。例えば、橋の上から真下に流れる渓谷を見下ろしたり、星空を撮ろうと真上を見上げた時など、姿勢が変わるとレンズの自重によりレンズ全体の軸がたわみ、像面の平坦性が変化する場合があります。
その打開策として、従来はズームのカム溝と直進溝どちらも同じ一つのローラーで対応させていましたが、今回はそれぞれの溝幅に合わせた個別のローラーを設定する構造とすること(図1)で、効果的にガタつきを抑えています。さらに光軸方向のガタつきの発生を抑えるために、ローラーやボールを配置してテンションをかける構造を採用しています。(図1、図2)これによりガタつきの発生を回避しながら、カム環の回転トルクがズームリングの操作感に与える影響を抑え、過度に重いトルクにもならず快適な操作性を実現しています。

このほか、レンズ構成面でも姿勢の影響を受けにくいようなレンズ設計となっており、後群に配置する2つのレンズ群をメカ的に繋いで一体とし、その中をもう一つのレンズ群が移動する構成となっており、どのような体勢でも常に安定した光軸を保つことができます。

ファインダー像までもクリアにするため、徹底した諸収差抑制

[光学:中山]

ズーム全域での収差の抑制はもちろんですが、フォーカシングによる色収差変化も徹底して抑制しました。そのため、フォーカスレンズ群を中心に、全系でバランスを取るような設計を行いました。また、EDガラス1枚とEDガラス非球面レンズ2枚、異常低分散レンズ1枚を採用することで、全系としての色収差抑制能力も向上させています。
これらの色収差低減は、直接的に光学像を視認できるレフレックス機構ではファインダー越しにより体感しやすいものだと考えています。なお、色収差同様に歪曲収差やカラーバランスについても、光学像の結像段階で極小に抑制しており、ファインダー越しの品質を向上しています。

PENTAXの強みが可能にした逆光耐性の向上

[光学:中山]

光学像のカラーバランス向上と逆光耐性向上との両立は非常に難しい課題なのですが、レンズ毎にコーティングの役割を個々に与え、ゴーストが出やすいレンズ面にはゴーストを抑える働きのコーティングを施し、ゴーストに影響を与えにくいレンズ面ではカラーバランスを調整するためのコーティングを施しました。このように個々のレンズ面に合わせたコーティングの最適設計・調整ができるのはPENTAXの強みであり、今回の「HD PENTAX- DA16-50mmF2.8ED PLM AW」でもよく発揮されています。

②AF高速化

AFスピードアップと高画質の両立

[光学:中山]

今回の「HD PENTAX-DA16-50mmF2.8ED PLM AW」では、「smc PENTAX-DA16-50mmF2.8ED AL[IF] SDM」からの明確で分かりやすい性能アップとしてAFスピード向上は大きな目標でした。さまざまなレンズタイプを検討し、K-3 Mark IIIにふさわしく、且つ「smc PENTAX-DA16-50mmF2.8ED AL[IF] SDM」をご愛用のお客様にも違和感なく自然に使っていただけるギリギリのサイズに抑え、高速AFに対応可能で、新世代スターレンズが目指す像性能の狙いにも合致する新しいレンズタイプを選定しました。

レンズ群分割が可能にしたフォーカスレンズ群の小型軽量化

[光学:中山]

「smc PENTAX-DA16-50mmF2.8ED AL[IF] SDM」においては、小型化に適した4群ズームタイプを採用して最も強い負のパワーを持つ第2レンズ群でフォーカシングを行っていました。このタイプは、レンズ群が大きいためフォーカシングスピードを得にくい特徴と、 比較的少ない可動群でズーム全域の諸収差を制御する必要性がありました。
一方、今回の「HD PENTAX-DA16-50mmF2.8ED PLM AW」においては、新たなズームタイプを採用し、旧機種のズームタイプから最も強い負のパワーを持つレンズ群を2つに分割することで、フォーカスレンズ群を小型軽量化してフォーカシングの高速化と静音化を達成しつつ、歪曲収差や像面湾曲の補正能力を向上しています。また、可動レンズ群を追加することで諸収差補正能力の向上も達成しています。
加えて、最も強い負のパワーを持つレンズ群の先頭と後尾とに非球面レンズを採用することでズーム全域の諸収差を高レベルに制御し、且つ、EDガラス1枚、(正レンズに)EDガラス非球面レンズを2枚、異常低分散ガラスを1枚採用することでズーム全域の色収差を抑制しています。

PLM(Pulse Motor)搭載について

[メカ:丹羽]

上記のようにレンズタイプの小型軽量化を達成できたことで、フォーカス群の質量を軽くすることができPLM(Pulse Motor)を搭載することができました。PLMはガイドシャフトでレンズ枠を支えている為、たわみの影響を受けやすい構造になっていますが、レンズ枠の材料に従来よりも剛性の高い材料を採用することで、自重の影響を受けてもたわみにくく光学性能を安定させることに成功しています。
さらに、ピントリングの回転量を検出し、電気的な信号によりレンズ鏡筒内のモーターを駆動するパワーフォーカス機構を採用しており、ギアの遊びがないPLMと組み合わせることで高精度なマニュアルフォーカスも可能となっています。大口径標準ズームレンズであるため、幅広いシーンでの使用を想定し、ピントリングをわずかに動かしてピント合わせをする際の使い勝手を重点的に追い込んだ調整をしています。

PLMユニットイメージ

③高い信頼性

防塵防滴対策と操作性の両立

[メカ:丹羽]

レンズ内部に水滴や埃などが入りにくい防塵・防滴構造の“AW(All Weather)”タイプとして、全体の9ヶ所にシーリングを施しています。
パッキンによるズームリングやピントリングの滑らかさが損なわれないように配慮した設計になっています。

SP(Super Protect)コーティング

[光学:中山]

高い撥水性、撥油性をもつペンタックスレンズ独自の特殊コーティング。レンズの第1面に採用し、ホコリや水滴、油などが付きにくいだけでなく、万一汚れが付着した場合でも、簡単に汚れを落としやすくなっています。さらに耐擦傷性にすぐれ、傷が付きにくいという特長を備えています。

品質管理

[企画:岩崎]

ペンタックス交換レンズは、設計段階だけでなく、製造段階でも厳しい品質管理が行われます。完成したレンズはすべて、独自に開発した測定器で解像力、コントラスト、色調、諸収差などを多岐にわたって計測し、客観的な数値評価を実施。厳格な基準を少しでも外れたレンズは再調整するなど、品質の安定に努力しています。

[MESSAGE]

[企画:岩崎]

我々の期待は、ユーザーの皆さんがこのレンズを通して光学ファインダーに映し出される映像から最終的な写真をイメージし、シャッターを切ることでそれを写真として写しとめる愉しみを是非体験してもらいたいということです。そして、長くこのレンズを使っていただき、皆さんの写真ライフが豊かなものになることを願っています。

画面周辺部までの高コントラスト高解像性能と
極限まで諸収差を抑えた大口径標準ズーム

HD PENTAX-DA16-50mmF2.8ED PLM AW

理想の画質を追求した新世代の★(スター)レンズ