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GR IIってどんなカメラだ?GR II の魅力と表現力GR IIってどんなカメラだ?GR II の魅力と表現力

GR IIのもうひとつの魅力

 「GR II」に限らず、いままでのGRシリーズが一貫してアピールしてきたことは、「撮影機能も描写性能もレンズ交換式の高級一眼レフカメラと同等の実力を備えること」であった。カメラの機構上の違いもあって、到底及ばないところがあるのは事実だが、豊富な撮影機能や優れた描写性能などを備えるGRシリーズは、高級一眼レフカメラに充分に肩を並べるチカラを備えていると言える。さらに、GRシリーズにはさまざまなユーザーの多様な使い方に対応したきめ細かなカスタマイズ性を備えていること、そしてユーザーの改善要望に応えたファームウエアのバージョンアップ(アップデート)を積極的におこなっていることにも注目したい。

 つねに「新しいGR」を「自分のGR」として使い続けてもらおうとするメーカーの気持ちが込められたカメラでもある。ファームウエア・アップデートの目的はおもに2つある。1つは不具合の修正、もう1つは新しい撮影機能の追加である。とくに後者のアップデートはカメラメーカーの良心といってもいい。GRシリーズは他のカメラメーカーが不具合修正のためのアップデートをおこなっていたころに、他社に先駆けて撮影機能の向上のためのアップデートサービスを積極的にやり始めた。カメラが頻繁にモデルチェンジされると、そのたびに旧型となったカメラのユーザーは時代から取り残されたような暗い気分になってしまう。自分のカメラに対する愛着もだんだんと薄れていく。しかし、いま使い続けている愛用のカメラが、メーカーから無償提供されたファームウエアをインストールするだけで、まるで新しいカメラになったかのようになるのは嬉しいかぎりだ。GRシリーズのカメラは、そうしたことをユーザーに対して積極的におこなってきた。GRシリーズの、もう1つの伝統でもある。こんなにもユーザー目線のカメラが他にあるだろうかとさえ思う。おそらくこれからも「GR II」はそうしたGRシリーズ伝統のやりかたを続けて行くに違いない。きっと、いつまで使っていても色褪せないカメラであり続けることだろう。

 もしもいま、現行のコンパクトデジタルカメラの中から、「たった1台だけ好きなカメラを選べ」と言われれば、私はまったく躊躇することなく「GR II」を手にする。「GR II」のような、カメラとしての魅力と表現力を備え、カメラを操作して撮影する愉しみを持った、そんなコンパクトデジタルカメラが、いま、ほかに見あたらないからだ。

GR IIの「明瞭強調モード」がおすすめだ。クリアーでシャープな、私の好みの画像にどんぴしゃりに仕上がる。ただし欠点がひとつ。このモード、カメラ内で画像処理をおこなうため、仕上がるまで少しタイムラグがある。それまでの間は「次のシャッター」が切れない。そこで私は、撮影するときは通常のレスポンスの良いモードで撮影をして(いつもRAW+JPEGで撮っている)、撮影後に必要なカットだけをカメラ内RAW 現像をして明瞭強調モードの写真に仕上げる、なんてこともやっている。
GR II・P-Auto(f3.5-1/60sec.)・明瞭強調モード・ISO-Auto(ISO100)

田中 希美男(たなか きみお)
フリーランスフォトグラファー。多摩美術大学・多摩芸術学園写真科を卒業。撮影分野は人物、風景、スナップなどを問わないが、車の撮影をもっとも得意とする。新型カメラやレンズのレポート、撮影ハウツウを雑誌などで解説。おもな書籍は、「デジタル一眼・上達講座」、「デジタル一眼・交換レンズ入門」(ともにアスキー新書)、「デジタル一眼レフ・写真の撮り方」(技術評論社)、「名車交遊録」(原書房)、「名車探求」(立風書房)など。写真展など多数開催。写真ブログ「Photo of the Day」やtwitter(@thisistanaka)で写真関連の雑感や情報を伝える。

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