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GR IIってどんなカメラだ?GR II の魅力と表現力GR IIってどんなカメラだ?GR II の魅力と表現力

 7月にリコーイメージングから発売が始まった「GR II」は、先代「GR」の後継機種である。約2年ぶりのモデルチェンジだが、外観デザインや基本性能などは「GR」をほとんどそっくり受け継いでいる。

 「GR」も「GR II」も、ともにAPS-Cサイズ判の1620万画素CMOSイメージセンサーを使い、F2.8の28mm相当画角の単焦点レンズを内蔵した小型で薄型軽量なコンパクトデジタルカメラだ。もちろん「GR」から新型「GR II」になって、いくつかの注目すべき改良点が加えられていて、進化もしている(その詳細については後述する)。しかし外観や性能に大きな変化はない。その理由は、ずっと古くから続いているGRシリーズの機種がそうであったように、スタイルはできるだけ変えず、キープコンセプトを貫き通しているからだ。

 「GR II」はGRシリーズカメラの"最新機種"でもある。そもそもGRシリーズはフィルムカメラの「GR1」から始まり、デジタルGRのシリーズも含めて数えれば、「GR II」はなんと九代目となる(数え方では「11代目」だと言う人もいるが話がややこしくなるのでそこは省略する)。

 じつはGRシリーズは、長いカメラの歴史と伝統の中で、スタイリングとコンセプトをずっと変えないことで高い評価を受け続けてきたカメラなのだ。コンパクトカメラは言うに及ばずレンズ交換式カメラの中を見渡しても、GRシリーズのような歴史と伝統を持つカメラはほとんど見あたらない。あえて似たカメラはといえば、ライカM型カメラが思い浮ぶ。M型ライカはフィルムカメラとしてスタートして地位と名声を確立した。その後、デジタルカメラになっても、初代ライカM3のスタイルとコンセプトを頑固に守り続けている。それがM型ライカのアイデンティティにもなっている。「GR II」もまったくその通りで、遡ればそのスタートは約20年前、フィルムカメラからである。そして、フィルムカメラからデジタルカメラに世代が大きく変わっても、カメラとしての基本スタイルは変化させず、かたくなまでに初期のコンセプトを守り続けている。

 そう、「コンセプトを守る、スタイルは不変」こそが、GRシリーズのもっとも特徴的なアイデンティティなのである。

ときどき、GR IIをたった1台だけを持って東京の街を歩くことがある。ほかにはなにも持たない。電車に乗って適当な駅で降りて、小さなGR IIを右手で掴んだまま街を歩く。軽いGR IIだけしか持ってないから、どこまでも歩ける。気分を軽くして歩けば、いい撮影シーンが向こうからやってきてくれる。
GR II・P-Auto.(f5.6-1/250sec.)・明瞭強調モード・ISO-Auto(ISO100)

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GR IIの歴史と、不変のアイデンティティ

Pentax Ricoh Family Club No.190 2015 AUTUMN

「Pentax Ricoh Family Club No.190 2015 AUTUMN」から、原稿を転載いたしました。 ファミリークラブでは、プロの作品から写真技術解説まで情報満載のクラブ誌を、年4回会員の皆様にお送りしています。

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田中 希美男(たなか きみお)
フリーランスフォトグラファー。多摩美術大学・多摩芸術学園写真科を卒業。撮影分野は人物、風景、スナップなどを問わないが、車の撮影をもっとも得意とする。新型カメラやレンズのレポート、撮影ハウツウを雑誌などで解説。おもな書籍は、「デジタル一眼・上達講座」、「デジタル一眼・交換レンズ入門」(ともにアスキー新書)、「デジタル一眼レフ・写真の撮り方」(技術評論社)、「名車交遊録」(原書房)、「名車探求」(立風書房)など。写真展など多数開催。写真ブログ「Photo of the Day」やtwitter(@thisistanaka)で写真関連の雑感や情報を伝える。

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