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K-3で桜を写す 桜を「世の中に絶えて桜のなかりせば春の心はのどけからまし」と詠んだのは平安初期の歌人の在原業平です。桜の季節はだれしも心が騒ぐもの。桜の思いは今も昔も変わりません。花便りが届く頃になると、居ても立っても居られずに桜の撮影にでかけます。ちょうど満開の桜をK-3で写してきましたので撮影のポイントを綴ります。また、桜の情報として私が担当していますリコーイメージングスクエア銀座のギャラリーA.W.P.では6人の写真家による「もう一度見たい桜」を2014年5月11日まで開催しています。ぜひご覧ください。 標準ズームの広角端を使って 咲き誇る桜を写すにはレンズの選択が最も重要です。ズームレンズは撮影距離を変えずにズーミングすることで画面構成ができるので便利です。そのときに大切なのが撮影距離をどう置くかです。この写真はsmc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WRのズームレンズの広角端の18mmで撮影しました。広角レンズの使いこなしのポイントは近づくこと。近づくことで手前(画面下部)の桜を大きく写すと同時に咲き誇る桜の全体を写すことができます。ここではわずか数センチの撮影距離の置き方で写真が変わります。この撮影距離とはイメージセンサーの位置から被写体までの距離のことです。ペンタックスの一眼レフカメラの上部にイメージセンサーの位置が印されています。このレンズの最短撮影距離は40cmです。最短撮影距離はレンズスペックの中で重要な要素で、レンズごとに違うのでチェックしておきましょう。
超広角レンズは近づいて写す HD PENTAX-DA 15mmF4ED AL Limitedを使って咲いている花の勢いを写してみました。このレンズはリミテッドシリーズの中で最も焦点距離の短い超広角レンズです。このレンズを使いこなすには近づいて写すと同時に背景を一緒に写します。近くの桜はよりリアルに、周囲の様子も写すことができます。そのために超広角レンズは近くにピントが合うように最短撮影距離を短くしています。このレンズの最短撮影距離はなんと18cmです。 望遠ズームを使ってボリューム感を出す 山門を背景に満開の桜を撮影しました。このように咲いている桜をボリュームたっぷりに撮影するには望遠レンズを用います。焦点距離が長いほど背景を引き寄せるために桜の重なりがボリューム感を演出することになります。この表現は望遠レンズによる遠近感の圧縮効果によるものです。この写真は望遠ズームのsmc PENTAX-DA★ 60-250mmF4ED [IF] SDMを用い、山門の瓦の反射を抑えるために偏光フィルターを使用しています。
カスタムイメージは「雅(MIYABI)」がお勧め 桜を青空に抜けば桜が引き立ちます。このようなシーンのカスタムイメージは記憶色や期待色をベースにした「雅(MIYABI)」がお勧めです。カスタムイメージはデジタルの色をつくるための画像仕上げのモード。これを何にするかで色の出方が決定されます。ペンタックスの一眼レフにはたくさんの仕上げモードがあり、その中で「雅(MIYABI)」が最も青が深くなるという特長があります。「雅(MIYABI)」はマゼンタ系(赤紫)の色を強調するためで、桜の色もちょうど良い感じに仕上がります。また、緑の発色が自然で、風景を写す方にもお勧めで、ペンタックスの一眼レフの特徴的な色づくりです。今回の写真はすべて「雅(MIYABI)」で撮影しています。
暮れなずむ桜を蛍光灯モードで撮影 デジタルの色を決定づけるのはホワイトバランスと先に解説のカスタムイメージです。ホワイトバランスとはさまざまな光源下で白を出すために設定するモードです。一般的にはさまざまなシーンに対応できるオートホワイトバランス(AWB)を用います。ところが暮れなずむ頃のホワイトバランスにどのモードを使うか悩むところです。違う見方をすれば腕の見せ所ということになります。AWB(写真①)では青くなるだけでイマイチ。思いきってミスマッチとも思える蛍光灯モードを使うと、このようなトワイライト色をつくることができます。また、マニュアルホワイトバランス(写真②)で白を調整するターゲットにアクセサリーのCBLを用いてこのような色を出すことができます。どのモードにするかは色をつくるための引き出しが多いほど選択肢が広がることになります。 |