岡田紅陽没後40年展「富士山」に行ってきました
富士山を代表する写真家といえば岡田紅陽氏です。明治28年に生まれ生涯をかけて富士山を撮影してきました。千円札紙幣の富士山の元画になったことでも有名です。その岡田紅陽氏の没後40年展が山梨県南都留郡忍野村にある岡田紅陽写真美術館で企画展が開催されています。その企画展に行ってきましたのでレポートいたします。また会期が9月9日までと約1ヶ月ありますので、ぜひお出かけください。美術館は海抜約1,000mの富士山麓にあり、避暑としてもお勧めです。
まず企画展ホールから
タイトル看板を抜けると2×2.7mの大型のモノクロプリントが展示されています。千円札の原画になった作品です。そこが企画展示ホールとなっていてエントランス部分には岡田紅陽氏の撮影時のスナップ写真が展示されています。企画展ホールは代表作をはじめ撮影機材が展示されています。大正から昭和初期にかけて富士山を撮影したガラス乾板や大型のシートフィルムやロールフィルムを使う機材で、現在のものとは違い興味深いです。当時はたいへんに苦労して撮影されたことが想像されます。このホールは南向きで大きなガラス窓があり、富士山を正面に見ることのできる明るい会場です。その先に常設展の会場があります。
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企画展のエントランス |
撮影シーンのスナップ写真 |
企画展会場で手前が撮影機材 |
甦る作品群
常設展会場は暗めに調光されていて、作品が浮かび上がるように作品に合わせた四角い照明になっています。まず正面に水車小屋のある大型のモノクロ作品があります。このパネルを見て驚きました。作品がみずみずしく美しいのです。1930年の撮影と伺いました。とても82年前に撮影された作品とは思えません。作品にはプレートが付けられ以下の説明がありました。「このパネルは、PENTAX645Dによってオリジナルプリントを複写した画像を使用して製作しています。」と。学芸員に尋ねると全紙の作品を645Dで複写してデジタル化したあと、大型プリントしたことがわかりました。撮影した当時の臨場感がそのままに再現されていました。細かい部分のディテールもそのままです。カラー作品も同様の複写をして、さらに退色した部分を戻すという処理をしています。カラー作品が当時のものよりも色調が鮮明で驚きました。まさにデジタルの力で甦っているのです。ぜひとも美術館を訪れて岡田紅陽氏の「富士山」を体感してください。

常設展2×2.7mの大型パネル
岡田紅陽写真美術館はこちらから→
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