講師総評
篠原俊之ゼミナール2023年度 東京
9ヶ月間のゼミナールでやったこととは、素直な表現、自分らしい形をつくることを目指してきました。それは撮り方とか、プリントの色とか、紙の種類とか、そういう話ではなくて、対象の見方、向き合い方に始まり、それをどう見せるのかを経て、最終的にまだ出会ったことのない誰かと、どのような対話が生まれることを期待しているのかを、一緒に考えることでした。
自分らしさとは何か?素直な表現とは何か?
作家さんと向き合うことを仕事にしている私は毎日たくさんの作品を前に、いつもそれを忘れないように、適切な見せ方について考えます。
適切なと言いましたが、考えているうちに、見やすさとか、わかりやすさとか、色や形のバランス、ということが混ざり込んできてしまい、素直な表現がどこかに置き去りになりがちです。もちろん、レイアウトも完璧に決まった構成になれば、より素晴らしいとは思いますが、見てくれがスマートでも、言いたいことが空っぽになってしまっては、本末転倒なのです。
スーパーマーケットに並ばない規格外の形の歪な野菜たちも、たべてみればやっぱり美味しい。
だから、多少かたちが崩れていても、自分らしさを消さずにまとめることを伝えてきたつもりです。
果たして、どのような結果になっているのか、私も楽しみにしています。現時点で言えることは
今回集まってくれた12名の皆さんが、それぞれ新しいことにチャレンジして、自力で完成まで漕ぎ着けた、ということです。とても素晴らしいことだと思います。
昨年に引き続き貴重な機会を私に与えてくださったリコーフォトアカデミーさんに感謝申し上げますとともに、この1年弱の間、関わって下さった全ての皆さんにお礼申し上げます。
講師総評
池永一夫ゼミナール2023年度 東京
私はゼミナールを通じて写真表現の歓びを参加の方々と共有できたことに感謝でいっぱいです。常々、写真表現は自由であり、楽しむことが大切と考えていました。それをゼミで実践するためにいくつかの課題を設けて1ケ月間取り組んでいただき、次のゼミで発表することを繰り返し実践していきました。難しい課題もあり、考えすぎて意味不明の作品が提出されることもありました。また、大胆にという課題にカメラを使わない作品が提出され驚きました。ゼミが進行するうちに既成概念に囚われない自由な発想による作品が次々にでてきました。ノーファインダーによる予測不能な作品、望遠レンズと超スローシャッターによる異次元作品、都市景観から見つけた幽かな光景のモノクローム作品、オルターナティブな手法による作品、相対する世界をコンセプチュアルに見せる作品、自然の不思議を抽象的に仕上げた作品等々。それらの作品は写真表現の可能性と醍醐味を教えてくれました。このゼミを通じて培ったものが新たな作品づくりに繋がることを大いに期待したいと思います。
講師総評
渡邉真弓ゼミナール2023年度 オンライン
本ゼミナールでは「私たちはどうして写真を撮るのか」を9か月間かけて探求しました。前半は課題を通して自己を探り、後半はフォトブックの制作を行いました。
受講生のみなさんは毎回真摯に課題に取り組まれ、互いに刺激や気づきの多い時間となりました。そして、それは、いつの間にか、ご自身のバックグラウンドを探る旅に繋がったように思います。
完成したフォトブックにはひとりひとりの「今の想い」が込められています。
この想いがこれからまた変化していくのか、変わらないのか。それぞれの今後の制作もぜひ見守っていただけると幸いです。