リコーフォトアカデミー
2020年度ゼミナール参加者作品はこちら
講師総評
赤城耕一ゼミナール2021年 東京校
「都市への視点」
本ゼミナールでは、当初から自分の周りにある事象を見直すことをテーマのひとつとして据え、受講されたみなさんのほとんどが都市部に暮らすことから「都市」をベースとした写真制作活動を試みてきました。
ごらんのように、被写体に特別な意味や価値を持つ作品はほとんどありません。そこには美しい花も、雄大な山も、素敵な女性もいませんが、被写体に意味がなければ写真作品として成立しないという単純でステレオタイプな解釈を打破しようという思いも根底にあります。
シャッターを切った動機はみな異なりますが、たまたま同時代、同じ時間を生きることになった私たちそれぞれが何を見て、何を感じ、日々をすごしているのか。人にはそれぞれ固有の世界観、事象への解釈の違いがあることを写真によって伝えようと試みたのがこれらの作品群なのです。
講師総評
タカザワケンジゼミナール2021年度 東京校
毎回テーマを設けてレクチャーを聴いてもらい、そのうえで課題に挑んでもらう。それが私のゼミでした。
レクチャーで学んだことを生かしつつ、作品をつくるのは簡単なことではありません。得意、不得意もあったでしょう。
しかし結果として、参加者それぞれの個性が浮き彫りになったと思います。
ゼミを終えてあらためて感じたこと。それは、銀塩からデジタルへ、印画紙からSNSでのシェアへ、と写真をめぐる環境は刻々と変化していますが、それでもやっぱり「作品」としての写真は面白いということです。しかもその可能性はまだまだくみつくされていないのです。
講師総評
新納翔ゼミナール2021年度 東京校
写真を撮るということは意識的に行っているかに問わず、己れの内側にある想いを他者に向けて可視化する表現行為です。初回では何を撮っていいのか分からずという方も、講座を重ねるにつれそれが明確になっていったのが毎回提出されるプリントを見ていてよく分かりました。
それまでPhotoshop等のツールに振り回され表現することに集中できていなかった方も、体系立ててレタッチの仕方をマスターすることで、写真の楽しみを一層深く感じられるようになったはずです。数回目から目に見えて作品のレベルが向上してきました。プリントとしての完成度だけでなく、写真の内容自体も深みを増したように感じます。手足が自由になり、表現の部分に集中できるようになったのだと思います。
編集ソフトに使われることなく、それを自分の表現領域に落とし込むことでどれだけ写真が楽しくなるか、それを実感できればと幸いです。年間を通して学んだファインプリントを制作するための知識を何度も復習し、これからも写真と向き合っていってください。
講師総評
姫野希美ゼミナール2021年 大阪校
私にとっては初めてのリコーのゼミナールでしたが、共に写真を囲んだみなさんのお陰で、とても豊かな時間になりました。
ここには、撮影した写真を見ること、話すこと、それがまた新しい写真を生む原動力になるという根源的な循環があり、その過程こそが得難い経験だったと思います。互いの作品を尊重し、それぞれの視点で語り、投げかけ、具体的な推進力につながると同時に、写真とは何か?、その可能性について折々に話が弾んだことも忘れ難いです。
このゼミは、写真集制作を目指して実際に構成やデザインなど段階的なテーマを設けていましたが、それはスキルとしてのものではなく、あくまで作品に還元されるものでした。そうした、ある意味ではややこしい時間を楽しみ、実り多いものにしてくれたみなさんに感謝しています。真摯に制作に取り組んでこられ、他者の作品にもじっくり関わることができる力を、みなさんが既に持っていたのです。
今回、最終的に写真集の形に仕上げたひとも、その手前で多くの写真を見出したひともいます。どちらにしても「完成」ということではなく、まとめようとするがゆえに湧き出す、より多くの疑問や悩みと向き合い、これからをより充実させていただけたら嬉しいです。
このゼミは、誰かが誰かに教えたり評価したりするものではなく、共に写真を囲み、それぞれの制作に働きかける貴重な「場」でした。いったん修了展とはなりますが、この場が形を変えながら続いていくことを願っています。また、写真を挟んで、写真を通してお会いしましょう。
講師総評
大和田良ゼミナール2021年度 オンライン
年間を通したゼミでは、はじめの数ヶ月は写真史を俯瞰しつつ、それぞれの受講生が今までに触れたことのないテーマや被写体、撮影技術に取り組みます。その中で得られた新しい技術や考え方を元に、ゼミ後半で取り組んできた制作が、今回の修了展示作品に繋がっています。
このゼミで大事にしているのは、作品を完成させることではありません。その制作に取り組む発想やアプローチ、そしてプロセスこそが重要だと考えています。そのため、制作過程の中では必ず失敗があり、練り直しやリトライが求められます。一人一人にどれだけ良質な失敗を重ねさせられるか、ということが講師である私の課題であるとも言えるでしょう。
ですから、今回展示されている作品群は、単に何らかのモチーフが写されている写真ではなく、受講生それぞれの写真に関する考え方や姿勢を反映した、イメージとなって立ち現れた表現であると私は思います。作品をご覧頂いた皆様には、その作品をなぜ作ったのか、どのように写そうとしたのか、是非作品や作者と対話しながら豊かに読み取って頂ければと思います。
講師総評
吉川直哉ゼミナール2021年度 オンライン
吉川直哉ゼミナールへご参加いただきましてありがとうございました。
皆さんはすでに立派な表現者です。表現者の更なるスタートに立ち会うことができてとても嬉しいです。次は発表です。ゼミナールで、写真は発表して人の目に触れることで「作品」になると申しました。皆さんなら心配ないでしょう。そのために、その写真が着る”服”を選び、その”髪”を少しだけ整える必要があるかもしれませんが、ぜひ堂々と発表してください。毎回のゼミナールでは、皆さんの写真を拝見できることがとても楽しみでした。輝く個性いっぱいの世界がどんどん広がっていきました。一つだけ私の反省ですが、もっと色々とお話しをしたかったものの時間がいつも足りませんでした。ですから、皆さんとどこかで写真を通して再会することを楽しみにしています。お疲れ様でした。
新しい表現者の更なる門出をお祝いいたします。