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HD PENTAX-DA11-18mmF2.8ED DC AW

『新世代のスターレンズ』に相応しい画面周辺まで高い描写性能を
実現したAPS-C一眼レフ専用設計の大口径超広角ズームレンズ

写真家の眼

プロ写真家が、渾身の作品を通してその魅力と実力を語ります。

小林 義明氏(こばやし よしあき)

1969年東京生まれ。東京写真専門学校(現・東京ビジュアルアーツ)卒業。小さな自然から広大な風景まで、自然の優しさをテーマにさまざまな作品を発表。2007年より北海道へ移住し「いのちの景色」「光の色・風の色」をテーマとして作品を撮影中。
写真展「光の色・風の色2」、「いのちの景色 北に大地から」など多数開催。写真集「いのちの景色・釧路湿原」。2012年PENTAXカレンダー作家。PENTAX K-1MarkIIのカタログ撮影も担当。

待望のDA超広角スターレンズ「HD PENTAX-DA11-18mmF2.8ED DC AW」がいよいよ登場となった。ズーム域をあえて広くとらずに画質の安定性を重視して設計されているだけあって、全域ですばらしい描写をしている。開放絞り値もF2.8と大口径ながらコンパクトなところも魅力。APS-Cシステムは被写界深度が深いため楽にパンフォーカスで撮影できるうえ、開放絞り側で被写体に接近すればボケも楽しめるレンズになっている。
もうひとつの大きな特徴は、開放絞りでも点光源を撮影したときの画質が安定していて、周辺部でも収差が気になることなく点光源をきちんと点として再現しているのはすばらしいと感じた。天体や夜景、イルミネーション撮影などで大きな威力を発揮する。
特徴的な機能として「フォーカスクランプ」機能があり、天体撮影やスナップでのMF撮影などで不意にピント位置がずれてしまうミスが防げ安心感も高くなっている。これはワンタッチでピント位置を固定できる機能で、MFに切り替わると同時にピントリングが固定される。今回は夏に天の川を何度か撮影したが、ちょっとしたフレーミング調整のときにピントリングに触れてもピントがずれないというのは実に安心だった。またクランプレバーは大きいので、真っ暗なところでも操作しやすく、ズーム後のピントを微調整するときも迷わず扱えた。
また天体撮影時にレンズの結露を防ぐヒーターを固定しやすいようにレンズ先端に平らな部分を設けているも天体撮影ファンにとってはありがたいと感じられるだろう。
撮影ジャンルを問わず広角レンズの面白さを十二分に堪能できるこのレンズは、多くのPENTAXファンに使って欲しい。その気持ちの表れが、絞り駆動が電子化されていく中でこのレンズの絞りはあえてメカニカル駆動となっているところ。旧モデルのボディでも利用できるので、ぜひ手に取ってみて欲しい。

小林 義明氏(こばやし よしあき)

1969年東京生まれ。東京写真専門学校(現・東京ビジュアルアーツ)卒業。小さな自然から広大な風景まで、自然の優しさをテーマにさまざまな作品を発表。2007年より北海道へ移住し「いのちの景色」「光の色・風の色」をテーマとして作品を撮影中。
写真展「光の色・風の色2」、「いのちの景色 北に大地から」など多数開催。写真集「いのちの景色・釧路湿原」。2012年PENTAXカレンダー作家。PENTAX K-1MarkIIのカタログ撮影も担当。

村田一朗(むらた いちろう)

山岳写真家。1964年3月28日生まれ。東海大学海洋学部卒業後、某電機メーカー勤務を経てフリーとなる。デジタル黎明期より積極的に撮影を開始し、デジタルフォト2010年4月号にて山岳星景「無限軌道」を発表し、以後、星景の分野でも作品発表を開始した。ハード・ソフトの自作を得意としデジタルでしか表現できない作品の制作に力を注いでいる。K-5以降ペンタックスを使い始め、現在はK-1MarkⅡにて作品制作を進めている。写真集に[燕 Tsubakuro]がある。

普段K-1 Mark IIに15-30mmF2.8を組み合わせて使っているが、11-18mmF2.8とKPを組み合わせて年末年始の燕岳へ1週間ちょっとの取材に出かけた。
持って行った機材はKP+11-18mmF2.8、55-300mmF4.5-6.3REにK-1 Mark II+ 15-30mmF2.8、28-105mmF3.5-5.6。このうち28-105mmF3.5-5.6は両ボディ共用で使用した。すなわち、フルサイズ超広角ズームとAPS-C超広角ズームの両方で撮影してみた。
11-18mmF2.8をレンズだけで見ていると大きく感じるが、15-30mmF2.8に比べると明らかに小さい。サイズ的には他の2本と同等と言ってもいいだろう。荷物を軽くコンパクトにしたい山岳写真ではこのサイズ感の違いは大きい。性能は認めるもののやはり15-30mmF2.8は大きいし重たいと思ってしまう。
実際に撮ってみた感触としてはまさにAPS-C版15-30mmF2.8といった感じで交互に使っても性能的な違和感はない。太陽をガツン!と入れてもゴーストが出ることも殆どない。右上・左上に置くとゴーストが出ることがあるようだが、ファインダーでわかるので特に問題ない。11-18mmF2.8で唯一気になった点は、ピントリングとズームリングの位置関係が15-30mmF2.8と前後逆なので同時使用しているとどうしても間違えてしまう点で、出来たら揃えてもらえたらうれしかった。 
 さらに、星景を撮るときのライブビューでのピント合わせがとてもやりやすい。15-30mmF2.8より数段上だろう。ボケて行くさまを見ていると光学的に徹底した補正が掛かっていると思われる。真円のままボケの大きさだけが変わり、形がいびつになることがない。同じく『新世代のスターレンズ』である50mmF1.4と同様に星のピントは合わせやすいと思う。
私の場合はフィルターをほとんど使わないが、それでも状況に応じてND等を使うこともある。こういったことを考えるとフィルターが使えるアドバンテージはとても大きい。撮影に自由度があるのはとても良いことだ。
フォーカスクランプは星景撮影の時にはかなり重宝する。通常はテープ止めするが風でテープが飛ぶこともあるし、ヒーターがずれた際にテープごとピントリングが回ってしまう懸念もあるので、こういうロック機構は助かる。
K-1 Mark II+15-30mmF2.8に比べ、KP+11-18mmF2.8は実際に手にするとかなり軽くコンパクトだ。本レンズや55-300mmF4.5-6.3REのようなレンズがあることを考えると、欲を言えば18-55mm辺りのコンパクトな高性能レンズが1本出てきてくれたら、山岳写真家としてもフルサイズからAPS-Cに乗り換える価値があるかと思う。

村田一朗(むらた いちろう)

山岳写真家。1964年3月28日生まれ。東海大学海洋学部卒業後、某電機メーカー勤務を経てフリーとなる。デジタル黎明期より積極的に撮影を開始し、デジタルフォト2010年4月号にて山岳星景「無限軌道」を発表し、以後、星景の分野でも作品発表を開始した。ハード・ソフトの自作を得意としデジタルでしか表現できない作品の制作に力を注いでいる。K-5以降ペンタックスを使い始め、現在はK-1MarkⅡにて作品制作を進めている。写真集に[燕 Tsubakuro]がある。

吉村和敏(よしむらかずとし)

1967年、長野県生まれ。高校卒業後、東京の印刷会社で働く。退社後、1年間のカナダ暮らしをきっかけに写真家としてデビューする。以後、東京を拠点に世界各国、国内各地を巡る旅を続けながら、意欲的な撮影活動を行っている。絵心ある構図で光や影や風を繊細に捉えた叙情的な風景作品、地元の人の息づかいや感情が伝わってくるような人物写真は人気が高い。代表作に『BLUE MOMENT』『Sense of Japan』『CEMENT』『「イタリアの最も美しい村」全踏破の旅』がある。

世界各国を巡る旅を続けている。欧米の取材では、広角ズームレンズを最も多く使う。35mm判換算で17〜27.5mm相当の画角を得られる11-18mmは、以前から待ち望んでいたレンズだった。
スペインで初めて使ったとき、取り回しのよさが印象に残った。レンズの重量はたったの704g、ほぼ同じ重量(703g)のKPに装着した時のバランスがよく、機材を首から提げて街歩きをしても全くストレスを感じないのだ。
カメラを真上に向けて巨大な聖堂やビル群を撮ることが多かったが、やはりレンズのフォーカスクランプ機能は安心感が得られた。特に星景・天体撮影では重宝するのではないだろか。
旅の途中、「やはりレンズはF2.8がいい」と改めて感じた。マジックアワーの時間帯に被写体をとらえても、ファインダー内で的確に構図やピント位置を確認できるので、撮影が楽しくて仕方ない。また、スナップ撮影でも、普段より2〜3段絞ることにより、被写界深度が広がって、ピンボケやブレによる失敗が少なかった。
描写力には思わず目を見張った。全域にわたってキレのいい画質を得られ、周辺部の露出の低下はまったくない。また、広角レンズで発生しやすい歪曲収差が抑えられているので、歴史的建造物の外観や内観を、より自然な形で作品に置き換えられるのだ。
レンズが発売になるまでかなりの時間を要したが、「なるほど、開発陣はこの究極な世界を生み出したかったのか」と妙に納得した。
11-18mmは、スターレンズの名に恥じない威風堂々とした広角ズームだ。これからの世界各国での旅にも、欠かせないレンズとなることだろう。

吉村和敏(よしむらかずとし)

1967年、長野県生まれ。高校卒業後、東京の印刷会社で働く。退社後、1年間のカナダ暮らしをきっかけに写真家としてデビューする。以後、東京を拠点に世界各国、国内各地を巡る旅を続けながら、意欲的な撮影活動を行っている。絵心ある構図で光や影や風を繊細に捉えた叙情的な風景作品、地元の人の息づかいや感情が伝わってくるような人物写真は人気が高い。代表作に『BLUE MOMENT』『Sense of Japan』『CEMENT』『「イタリアの最も美しい村」全踏破の旅』がある。

HD PENTAX-DA11-18mmF2.8ED DC AW

『新世代のスターレンズ』に相応しい画面周辺まで高い
描写性能を実現したAPS-C一眼レフ専用設計の大口径超広角ズームレンズ