“HDコーティング”を採用し、着脱式フードとすることで
表現の幅をさらに拡げるフィッシュアイズームレンズ
本製品は最大180度の広い画角と独特な描写が楽しめるフィッシュアイズームレンズ「smc PENTAX-DA FISH-EYE10-17mmF3.5-4.5ED[IF]」をベースに、高性能マルチコーティング“HDコーティング”を採用しつつレンズコーティング全体を再設計することで、逆光撮影時のゴーストやフレアの発生を抑え、抜けの良い描写を実現した製品です。
最新の交換レンズやKシリーズデジタル一眼カメラとマッチする新しいデザインを採用し、レンズフードを取り外しできる構造とすることで、35ミリフルサイズデジタル一眼レフカメラ「K-1シリーズ」で撮影する場合にも、円形に近いイメージサークルで魚眼撮影を楽しむことができます。
フィッシュアイズームレンズと聞くと、“魚眼レンズをズーム化”したものを想像しがちではないでしょうか。
歴史を少し遡り、フィルム時代にズームレンズが実用化された頃、広大な画角を持ったズームレンズといえば“超広角ズームレンズ”のみでした。ですが、超広角ズームレンズはズーム全域で歪曲収差を補正し、周辺光量を確保しなければならないためサイズの大きな製品が一般的で、自然風景や建物の撮影などで活躍するものの、気軽に持ち出せるものは多くありませんでした。
PENTAXが世界で初めて実現した初代フィッシュアイズームレンズ「smc PENTAX-F Fish-Eye zoom 17-28mmF3.5-4.5」は、設計者のあるアイディアによって製品化を実現しています。
それは、“超広角ズームレンズを魚眼レンズとして開発する”ことです。
これにより、レンズ設計において以下の3つの恩恵を得られました。
1. 広角レンズは凹レンズを前方に置くレトロフォーカス型のレンズ配置となりますが、この型では樽型の歪曲収差が問題となります。一般的な超広角レンズでは、この歪曲収差を補正するために多くのレンズを用い、とても大きなサイズになってしまいますが、魚眼レンズであれば、この歪曲収差を積極的に活用する(補正しなくて良い)ため、それほど多くのレンズを用いる必要がありません。
2. 一般的な広角レンズでは、より広大な画角を得るためには焦点距離をより短くしなければならず、レトロフォーカスのパワーをより強くすることで、さらなる大型化が避けられません。しかし、魚眼レンズでは歪曲収差によって広大な画角を得られるため、必要以上に焦点距離を短くする必要がありません。
3. 歪曲収差による周辺像の圧縮効果により、超広角レンズで問題となる周辺光量低下を軽減できるため、大きな前玉が必要ありません。
大きく、重くなりがちな超広角ズームレンズを“魚眼レンズ”にすることでコンパクトで軽量にし、取り扱いやすくしたものがPENTAXの「フィッシュアイズームレンズ」なのです。
前述した初代フィッシュアイズームレンズの「smc PENTAX-F Fish-Eye zoom 17-28mmF3.5-4.5」では、一つの大きな課題を残していました。最短撮影距離は0.45mに留まり、寄れるレンズではなかったことです。これは前群繰り出しフォーカス方式を採用したため、フォーカス作動によるズーム効果によって画角が広くなりすぎて近接時にケラレを伴うことに起因しています。
APS-Cサイズのデジタル一眼レフ用に開発された「smc PENTAX-DA FISH-EYE10-17mmF3.5-4.5ED[IF]」では、初代フィッシュアイズームレンズでは叶わなかった最短撮影距離の短縮を目指し、第1群内後群によるインナーフォーカスを採用。近接時にもケラレが発生しない光学系を実現しました。
これにより最短撮影距離0.14mを達成し、レンズ前面からは2.5cmまで迫れるフィッシュアイズームレンズとなり、大きく撮影表現の幅が拡がりました。
ただ、寄れることによってレンズが汚れやすく、ぶつけて傷が付きやすいため、レンズ保護にも効果を発揮するフッ素コートを開発し、その対策としています。撥水性と撥油性にすぐれ、レンズにホコリや水滴、油汚れなどがつきにくくなると同時に、汚れが付着した場合でも、簡単に除去しやすいという特性を備えた「SPコーティング」を初めて採用したのが、「smc PENTAX-DA FISH-EYE10-17mmF3.5-4.5ED[IF]」です。そして、リニューアルを果たした新製品『HD PENTAX-DA FISH-EYE10-17mmF3.5-4.5ED』にも、これらの特長が受け継がれています。
最新の“HDコーティング”を採用したことにより、新製品の『 HD PENTAX-DA FISH-EYE10-17mmF3.5-4.5ED 』では旧製品よりもさらにクリアな画質が得られるとともに、逆光撮影時の性能が向上しています。
※“HDコーティング” についての詳細説明はこちら
外装には縮緬塗装を採用し、各部のデザインにこだわり、最新のカメラボディ・レンズ群にマッチするようリニューアルしました。
従来はレンズ鏡筒と一体となっていたレンズフードが取り外し可能となり、さらに撮影表現の幅を拡げています。
35ミリフルサイズデジタル一眼レフカメラ「K-1 シリーズ」でレンズフードを外して撮影することで、ワイド側では円周魚眼に近い表現が、15㎜付近以降の焦点距離で対角魚眼の表現が楽しめるようになります。(クロップ機能「FF」時)
また、35ミリフルサイズ / APS-Cサイズで撮影したときのイメージサークルと画角は、焦点距離ごとに以下のように変化します。
10mm | ||
---|---|---|
![]() |
水平 | 約180° |
![]() |
垂直 | 約139° |
![]() |
対角 | 約180° |
13mm | ||
---|---|---|
![]() |
水平 | 約171° |
![]() |
垂直 | 約108° |
![]() |
対角 | 約180° |
15mm | ||
---|---|---|
![]() |
水平 | 約142° |
![]() |
垂直 | 約93° |
![]() |
対角 | 約180° |
17mm | ||
---|---|---|
![]() |
水平 | 約128° |
![]() |
垂直 | 約84° |
![]() |
対角 | 約157° |
※不透明の部分はK-1シリーズでAPS-Cクロップしたときにマスクされる範囲を示しています。
10mm | ||
---|---|---|
![]() |
水平 | 約137° |
![]() |
垂直 | 約89° |
![]() |
対角 | 約180° |
13mm | ||
---|---|---|
![]() |
水平 | 約106° |
![]() |
垂直 | 約70° |
![]() |
対角 | 約129° |
15mm | ||
---|---|---|
![]() |
水平 | 約91° |
![]() |
垂直 | 約61° |
![]() |
対角 | 約110° |
17mm | ||
---|---|---|
![]() |
水平 | 約83° |
![]() |
垂直 | 約55° |
![]() |
対角 | 約100° |
フリーランスフォト・ビデオグラファー。1984年12月5日岡山生まれ。地元広告写真スタジオに12年勤めたのち2018年に独立。地元岡山県を主な活動フィールドに写真の言葉にとらわれず絵画や映画のような作風でジャンルレスな作品を制作。最長12mのロング一脚を使った超ハイアングル撮影やドローンを使った空撮なども手がける。
ドラマの写真監修やドキュメンタリー番組の撮影、デジタルカメラマガジンなどのカメラ誌にも寄稿。
https://www.takumakimura.com
デザインが一新され、HDコーティング化されたHD PENTAX-DA FISH-EYE 10-17mmF3.5-4.5EDを手に取りいつものフィールドに繰り出した。
HDコーティング化されたことで画面内に光源が入りやすいフィッシュアイでも安定した結果を得られる。逆光条件で撮影することが多い僕にとっては嬉しい進化だ。
このレンズの特長はフィッシュアイでありながらズームが可能なことだ。画角が広がるほど1mmの焦点距離の差は大きくなるため、ズームできることでより自分の思い通りの構図を狙うことができる。フィッシュアイは独特なデフォルメ効果に注目されがちだが、水平垂直のレベルをしっかりと出して撮影することでフィッシュアイの歪みを最小限に抑えることができ超広角レンズのような使い方も可能となる。また、構図微調整機能を組み合わせることで画面真ん中に来がちな水平ラインを上下にシフトさせて撮影することが可能だ。
僕の撮影方法の一つに7.5mの一脚にカメラを載せてハイアングルから撮影する技法がある。画角の広いフィッシュアイと組み合わせることで実際の高さよりも、より高さを感じさせる空撮のような一枚を撮影することができる。レンズがコンパクトなおかげで7.5mの一脚に載せてもバランスが取りやすい。
フードを取り外してフルサイズのPENTAX K-1と組み合わせて円周魚眼的な使い方も可能になり、実質フルサイズ用レンズと言っても過言ではないだろう。
1969年東京生まれ
沖縄の八重山諸島における水中写真から北海道大雪山の山頂まで、幅広いフィールドにて自然写真や広告写真を撮影。
背景に大自然を取り入れた広角接写を得意とする。
また、ライフワークとして蝶をはじめとする昆虫の飛翔をテーマとした作品に取り組む傍ら、親子で楽しめる写真撮影のイベントにも力を入れている。
SSP日本自然科学写真協会理事。
フィッシュアイレンズで蝶を撮影する理由は、生息環境の中を飛び回る「最も美しい姿を切り取りたいから」の一言に尽きる。
蝶を主役とする大きさで撮影するためには、センサー面から20cm前後まで近づく必要があるが、このレンズは最短撮影距離が0.14mと短いため、小型な蝶の種類にも十分対応できるところが嬉しい。
また、画角が広いことは武器であると同時に余計な物が写り込みやすいという弱点にもなるが、不要物だけをズーミングで画面の外へ送り出せるところにも大きな優位性がある。
そして、これだけの機能を盛り込みながら小型軽量である点も見逃せないポイントだ。草むらの中では周囲の葉や茎に当たらないよう、慎重かつ素早く被写体に近づくことが要求されるが、機材が小さく軽ければ障害物を避けるのに有利であることはもちろん、シャッターチャンスが来るまでカメラを保持していても苦にならず、撮影の楽しさを実感させてくれる。まさに相棒と呼ぶに相応しい一本と言えよう。
新潟県出身。
東京造形大学卒業後、荒木英仁に師事。
2003年、「Lightinguz」を設立し独立。
企業広告写真を中心に商品撮影、ポートレート、建築インテリアと、幅広く活動。
スイーツからペット、風景までオールマイティな写真家として、カメラメーカーなどからの依頼も多数。
公益社団法人日本広告写真家協会(APA)正会員。
https://www.lightinguz.net
フィッシュアイレンズならではの顔が大きく体が小さいデフォルメされた、いわゆる鼻デカ写真の楽しみを味わってみましょう。このHD PENTAX-DA FISH-EYE 10-17mmF3.5-4.5EDはかなり寄れるレンズです。ですが、寄りすぎると鼻だけが大きくデフォルメされすぎて、可愛くなくなってしまいます。
ワンちゃんから20cm程度離れて、適度な距離感で遊ぶ感覚での撮影状態が良いでしょう。カメラが近寄りすぎると怖がるワンちゃんもいます。そんな子には少し離れて撮れる17mmまでのズームがとっても魅力。
2、3匹並んでもらって撮るのもおすすめです。この距離感で少し絞って撮れば、十分カメラのオートフォーカスで瞳や鼻にピントが合って、くっきりとした写真になります。
上から撮れば地面が丸く湾曲して可愛いラインを描いてくれます。正面から撮ると建物や壁などが丸く覆いかぶさるような不思議な見え方になります。少しアングルを変えるだけで、ワンちゃんの顔貌や、ワンちゃんを取り囲む世界がガラッと変わるのがフィッシュアイの特徴です。晴れている日の屋外など、ワンちゃんにぐっと寄って周囲が思い切り歪んだ面白写真をぜひ撮ってみてください。