Challengers 開発の現場から

高感度を求めるほどノイズは増加していく。ノイズの処理をコントロールして解像力と高感度を両立させることは、カメラの画作りにおいてひとつの命題といえる。ペンタックスの技術者たちは、数値的な評価よりも官能評価を重視してディテールや階調を失わない画づくりを追求してきた。そして、ペンタックス初のフルサイズ一眼レフPENTAX K-1で、理想とする最上級の答えを出した。
K-1の発売後、APS-Cサイズ一眼レフ2機種で続けてアクセラレーターユニットを採用することにより、画質に新たな進化がもたらされていた。この経験は開発チームの目をフルサイズモデルであるK-1のさらなる画質の進化へと向けさせた。

高解像と高感度の新たなる次元。

アクセラレーターユニットと画像処理エンジンPRIMEの組み合わせで、K-1がより高画質になることは、K-70、KPで蓄積した知見とデータにより示されていた。しかし、アクセラレータを足せば良いというほど単純なことではない。「35ミリフルサイズセンサーと組み合わせてペンタックスらしい画づくりをするためには、一からすべてを作り直す必要がありました」K-1を越える次の理想を実現するために重ねられた努力は想像以上に地道で膨大だった。
ボケの美しさ、色再現性、解像感、ノイズ、画作りの無数に存在する処理の組み合わせから最高の解を導き出す作業が繰り返し行われていく。「感度を徐々に変化させていった時、どこかでガラッと画が変化するようではダメなんです」すべての感度であらゆるシチュエーションをシームレスにカバーする上質な画を求める。「最低感度から最高感度まで、全部できちんと進化している画像を提供できるように」数値評価だけでは良しとしない、人の目を通して見た美しさも重視するペンタックスとしての理想の画作りは細かいところにまで及んだ。
PENTAX K-1 Mark IIが得たものは、多岐にわたる。例えば、ノイズの質の変化。ノイズが従来よりきめ細かくなったことで、ディテールがよりはっきりと捉えられるようになっている。ペンタックスの追い求める理想の画作りがここにも活きている。
解像感の向上、高感度域での色彩再現性、全体的なノイズの低減から得られる撮影上のメリットもある。常用感度としてより高感度を使えるようになり、今まで手持ちではあきらめていた風景写真や、シャッタースピードをコントロールした躍動感あるシーンなど、フィールドカメラとしての可能性が拡がる。動画、ライブビューの画質向上もこれに含まれるだろう。「ISO12800の高感度でも常用感度として使える位、画質が向上しました。そのため絞りとシャッタースピードを自由に設定できるTAvモードにして、感度で露出コントロールするといった撮り方の幅が広がったと思っています」


その可能性の拡大をこそ誇る。

S/N比や高感度ISO819200など達成した数値や技術だけを誇るのではなく、その数値や技術が拡げる可能性をこそ誇りたい。それが常に「ペンタックスの画」という画質基準の理想を追求し続ける技術陣がPENTAX K-1 Mark IIに込めた思いでもある。
「K-1 Mark IIは、色々細かな部分で進化しています。ユーザーの皆さまに使っていただいて、それを見つけ出していただきたいですね」
ペンタックス開発陣は常にその先を見つめている。