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金田正人の自然かんさつのススメ
4. 自然観察と道具 (3)
「測る(量る)」道具ほか
写真・文:金田正人

色々なものを測ってみる

大工さんが使う定規に「折り尺」。折りたためてコンパクトになるので便利です。さらに、2つ用意しておけば、「方形区」が作れて便利です。なにがどのくらいいたか(あったか)を示すには決まった広さを基準に示せば良いのですが、折り尺を使えば、簡単に一辺1mなどの四角形を作ることができます

虫眼鏡と双眼鏡、聴診器に集音器が揃ったついでに、さらに「それらしく」自然観察をするには、測ってみる(量ってみる)と自然観察はいっそう面白くなります。

「大きな虫がいた!」といったとき、の「大きさ」はどれくらい?「見た目よりもこの木の実は重いんだね!」といったときの「重さ」はどれくらい?そうした自然観察での発見をほかの人に説明できたり、ほかのものと比べてみたりするのためには測る(量る)ということが必要になりますし、そのための道具も必要になります。

長さを測るための道具は実に様々な製品がありますが、巻き尺はコンパクトになるし、樹の周りの長さなどを測れて使い勝手がいいです。大工さんが使う定規に「折り尺」という道具があります。折りたためてコンパクトになることに加えて、2つ用意しておくと「方形区」が作れるのも便利です。「花がたくさん咲いていた!」と言ったときにどれくらい沢山を示すには、決まった広さにいくつの花が咲いていたかを示せばいいのですが、そのとき折り尺を使えば、簡単に一辺1mなどの四角形を作ることができます。

ほかでは、小さいものの長さを測るにはノギスが便利です。やはり大工さんや精密機械工場の専門用具のように思うかもしれませんが、最近では価格も安価でホームセンターなどで買うことができます。プラスチック製のものなどは、濡れても平気なものもあり重宝します。長さを測る道具を用意したら、せっかくなので自然の物以外にも身近な物を色々測っておきましょう。自分の持って歩いている財布の長さは○○cm、携帯電話は××cmなどがわかっていると、測る道具を持ち歩いていない時でもちょっとした目安になり便利。僕はフィールドノートの裏表紙に目盛りを刻んでおくということをしています。

重さを量るための道具もいろいろありますが、キッチンスケールやレタースケールが小さなものや色々なデザインのものがあって便利です。ホームセンターなどで簡単に手に入りますし、値段も様々です。掌に乗るくらいの大きさで、0.1gまではかれるようなものもあります。僕は、電池のいらない昔ながらのものを使っていますが、軽いしずぼらで電池の入れ替えを忘れがちな方には最適です。やはり長さと同じように身の回りの物を量っておくと役に立ちます。

長さや重さのほかにも「測る(量る)」道具は様々あります。温度を測るための温度計、風速を測るための風速計、液体の容積を量る計量カップ、などなど。ホームセンターなどで「測る」道具の前でつい立ち止まり「これで何を測ってみようか」などと考えられるようになれば、あなたも立派な自然観察人です。

値段は張りますが、写真撮影を趣味にされている方であればお馴染みの露出計などは、自然観察をするときに実に役立つ一品です。森を歩いてみると、暗い森だなとか明るい木漏れ陽だなと感じることがあるかと思います。そんなときに、どれくらい明るいのかということをしっかり示すことができます。この露出計のように、わざわざ買い揃えなくてもすでに持っているものを自然観察に活用してみると一層自然観察が楽しめます。

自然観察の道具を自分で工夫してみる

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露出計のように高価な道具でなくても、例えば台所にある古いプラスチック容器などは動きが速くてじっくり観るのが難しい虫を捕まえて入れて観てみるのに便利だし、防災用に買って一度も使っていないままの懐中電灯等は夜以外にも森の中で細かい物を観るのに役に立ちます。暮らしの中の道具やお仕事で使っている道具を、オリジナルな工夫で自然観察に使ってみてください。

またこのほかでは、僕のお気に入りは「色見本」です。元々、印刷屋さんに、カラー原稿の印刷を依頼するときに色を指示するためのものですが、これが自然観察にとても役立っています。葉っぱの緑色は、言葉にしてしまうと「緑」ですが実際には実に様々です。そこで野外でこの色見本を使って葉っぱと比べてみると、より正確にその葉っぱの色を観ることができます。この色見本、僕は印刷屋さんからいただいたものを使っていますが、やはり大手の書店や雑貨店、ホビーショップなどでもわりと簡単に見つけることができると思います。

金田正人氏について

かねだまさと

財団法人日本自然保護協会
自然観察指導員

神奈川県横浜市生まれ。日本大学藝術学部写真学科卒。学生時代から東京を中心に自然観察会を開催。卒業後は、主な活動場所を三浦半島に移し、環境教育や自然保護活動を展開。1991年自然観察指導員講習会を受講。1994年から2005年同講習会講師。1995年に神奈川農環境自主保全協力グループ「こさく」を、1996年に三浦半島自然誌研究会を仲間と設立。最近では外来生物問題(特にアライグマ)対策にも取り組んでいる。生物多様性JAPAN研究員、逗子市環境審査会委員。

財団法人日本自然保護協会
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