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KOKO DOKO 9

京都駅から徒歩圏内。

昭和レトロの雰囲気を楽しめる七条通を西へ。京都駅から内回り。
文・写真 = 内藤靖正
職人さんが1本ずつ丹念に花などを描いた絵ろうそく。「普段、ろうそくを使うことがない人に、ろうそくに触れる機会がふえれば」と丹治蓮生堂。

京都駅に近い七条通は古くからの商店街。東本願寺や西本願寺に近いこともあって仏壇、仏具、和ろうそくの店が目立つ。法衣店もある。

このまちで70年続く丹治蓮生堂は和ろうそくの専門店。ウルシ科の落葉樹のハゼの実から採れるろうを使って、3代目の丹治潔さんが寺院用の太いろうそく作りに余念がない。ここでは宗教色を持たない絵ろうそくが京土産として喜ばれている。

新町通の西には古くからの万年筆専門店の文明商社がある。先代が新京極に店を構えたが、あまりのいそがしさにたまりかねて七条通に移転したのだとか。ここには国内外の定番から手作りのセルロイド万年筆をはじめ、初心者向けのペリカンジュニア、新社会人にぴったりの国産万年筆やボールペンまで多彩にそろえ、近年の万年筆ブームに対応している。

七条通には古いビルを利用したレストランやカフェが情報誌などに紹介されて人気を集めている。牛どん店も昭和レトロが漂うビルのなかだ。観光客らも表のメニューとガラス窓から見える店内を見くらべて選択を楽しんでいるようだ。

東中筋通では町家ふうの立派な自転車レンタル店PASSIONE(パッシオーネ)が昨年5月にオープンした。もと競輪の選手だった亀岡直樹さんが約20インチの小径車タルタルーガ(国産)やブロンプトン(イギリス製)など、軽快に走れて個性的な自転車をレンタル。IREMONYA(いれもんや)とコラボによる「笑顔マーク」の黄色い前かごを全車に装備するなどのこだわりが喜ばれている。

丹治蓮生堂

●午前9時~午後8時/日曜、祝日休み。
●絵ろうそく(小)1本420円~、絵ろうそく(大)2本入り1,890円、5本入り2,205円など。
075-361-0937

文明商社

●午前10時30分~午後6時30分ごろ/月曜、水曜、金曜のみ営業。
●ペリカンジュニア1,575円、ラミー万年筆とボールペンセット6,615円、手作りセルロイド万年筆7,875円~、パイロット5,250円~など。
075-371-4555

PASSIONE

●午前9時~午後6時/木曜休み。
●半日(午前中または午後)2,000円、一日3,000円。別に預かり保証金2,000円。
075-344-0868
URL:別ウインドウで表示http://www.passione-kyoto.jp/

麒麟亭

●午前11時30分~午後2時10分。午後5時~8時40分(ラストオーダー)/日曜、祝日と月1回土曜休み。
●お昼の牛鍋定食、日替わり定食(洋食)各700円、ビーフカツ定食1,000円、エビクリームコロッケ定食1,250円、すき焼き3,500円~など。
075-371-0058
URL:別ウインドウで表示http://www.kirin-tei.com/

梅小路蒸気機関車館

●午前9時30分~午後5時(入館は4時30分まで)/月曜(祝日のときは開館して火曜)と12月29日~1月3日休み。
●大人(高校生以上)400円、子ども(4歳以上)100円。
075-314-2996

※掲載内容は2008年12月時のものです。すでに変更されている場合がありますので、ご利用の際には必ずご確認ください。

七条大宮の麒麟(きりん)亭はすき焼き、しゃぶしゃぶの専門店だがランチタイムの定食メニューも見逃せない。ひとり鍋の牛鍋定食や日替わり定食、ビーフカツ、エビクリームコロッケなどの洋食類が人気を集めており、どっしりとした昭和の木造建築のぜいたくな空間も食事を楽しくさせてくれる。

その西に広がる梅小路公園は平安建都1200年の記念施設として平成7年(1995年)に完成した面積11.6ヘクタールの都市公園で、もとは梅小路貨物駅だった。ここでは朱雀(すざく)の庭、いのちの森(有料)などのほか、春なら芝生広場や人工の小川が流れるエリアでのんびり過ごせる。

梅小路公園に隣接して、旧二条駅の駅舎を正面ゲートにした梅小路蒸気機関車館がある。昭和47年(1972年)、日本の鉄道開業100周年を記念して梅小路機関区の扇形車庫(重要文化財)に設けられた施設で、大正から昭和にかけて製造された蒸気機関車(SL)16形式18両を保存。うちC571など7両は実際に動く状態で「SLやまぐち号」にも運用されている。

梅小路公園から塩小路通を東に行くと、堀川通に出る手前に粟嶋堂がある。応永年間(1394~1428年)に南慶和尚(わじょう)が現在の和歌山県の粟嶋明神を勧請(かんじょう)して戻る途中、ご神体が急に重くなったためこの地に祭ったのが起こりと伝えられる。古来から婦人の守護神とされ、婦人病や安産にご利益があるとか。境内には多くの人形が奉納されている。

ここまでくるとビルの向こうに京都タワーが姿を見せ、京都駅が近くなったことを教えてくれる。京都駅からはじまったぶらぶら歩き。ちょっと時間に余裕があるときにうってつけの散策コースだ。

K-m + smc PENTAX-DA17-70mmF4AL[IF]SDMを使用して撮影。絞り:F11、シャッタースピード:1/100秒、カスタムイメージ:雅
1古いけれども新しい店もオープンする七条通の商店街。そんな新顔には負けないぞ、と老舗も意地を発揮して。
※下の小さい画像をクリックすると拡大表示します。
2京都駅の正面からではなく、七条通の路地から見た京都タワー。生活感があるタワーの風景も悪くはない。
 
3丹治蓮生堂の和ろうそくは九州産のハゼ100パーセントの植物系ろうを使う。柔らかでやさしい炎が特徴だとか。
 
4「万年筆選びは試し書きをして、自分に合ったペン先を選ばないと」と文明商社。いま、万年筆が人気だ。
         
   
5銀行だった建物でケーキやスパゲティが評判のセカンドハウス西洞院店。ほかに古いビル利用のレストランも。
 
6もとは自転車で走るのが職業だっただけに、貸し出す自転車に独特のこだわりがある亀岡さんのPASSIONE。
 
71997年(平成9)に大規模改修を施された龍谷大学発祥の地の大宮学舎。重要文化財の明治建築群が美しい。
         
   
8産地にはこだわらないで、上質の肉にこだわる麒麟亭。ひとり鍋の牛鍋は寒い季節に心まで温まるごちそうだ。
 
9一日3回、家族連れらが乗る客車を引いたSLが構内を走る梅小路蒸気機関車館。初体験組も迫力にびっくり。
 
10芝生広場、木々のトンネル、せせらぎの道。梅小路公園は都会のオアシス。南側はJRの電車が走る「鉄道天国」。
         
     
11和歌山県の栗嶋明神の神霊を迎えた栗嶋堂。婦人の守護神といわれるだけに、境内には華やかな気配が漂う。
       
ないとう・やすまさ
1933年、京都市生まれ。広告代理店勤務の折に趣味ではじめた小冊子が京福電鉄のPR誌になったことなどにより1972年に独立。京福電鉄や東映太秦映画村の広告制作を担当する傍らフリーペーパー「Kyo!」発行。京都ピイアールセンター代表取締役。