
ブローニー判の120カラーネガフィルムを中心として、一部デジタルカメラを使用し、作者が撮影した真四角、6x6の世界を40点で構成、展示する。
ブローニー判の120カラーネガフィルムを中心として、一部デジタルカメラを使用し、作者が撮影した真四角、6x6の世界を40点で構成、展示する。
作者 | 赤城耕一 |
---|---|
写真展 | 「録々」 |
会期 | 2022年1月27日(木)~2月7日(月) |
時間 | 10:30~18:00(最終日15:00終了) |
定休日 | 火曜日・水曜日 |
入場 | 無料 |
会場 | リコーイメージングスクエア大阪 ギャラリー |
連絡先 | 〒540-6591 大阪府大阪市中央区大手前1-7-31 OMMビル1階MAP ℡ 0570-007996(ナビダイヤル) |
ふだん私たちが何気なく見つめている横長の長方形の世界に、あえて枷をかけて、真四角の世界として見つめることがカメラにおいては可能になる。
これまで、横長の長方形の写真は「肉眼の視線の延長」の世界として考えてきたが、真四角の写真は視線が画面全体を泳ぐことを規制してしまう。
被写体を真四角の画面の中央に素直に置いてみることで自分の見たいものを見る人に強制したり、画面の中を横切る線を真四角の画面の中で分けてしまうことで、肉眼で見る世界から分離させることができるのではないかと考える。
写真は写真であり、現実ではない世界だ。こう考えるには真四角の中で被写体を見つめるのが手っ取り早いのではないかと考える。
このために中判の6x6判フィルムカメラを使用することもあれば、デジタルカメラのクロップ機能を使って正方形画面に設定して撮影することもある。あるいは一眼レフカメラを使用して現像時にトリミングをしてしまうこともある。現代の写真制作においてはプロセスなんか自由でいいと考えている。あえていえば、後で縦位置でも横位置にもなるから、6x6判写真は重宝されたというが、これらの写真は逆の方向を目指している。
ここに写っているものは自分の身の周りにあるものばかり。植物であろうが建築物であろうが人物であろうが、もはや被写体はなんでもよい。被写体が本来のモノの意味や役割や、解釈を超えた何ものかに解き放たれ変貌したように感じたとき、私はそれらを真四角の画面に閉じ込めシャッターを切る。あるいは出来上がった写真に真四角の型をはめる。
さらに光の角度やレンズのマジック、肉眼とは異なる遠近感によって、現実から乖離し「写った」ものたちをねじ伏すことで、本来の意味とは別のものに「化け」てくれたら最高だ。このためにも真四角の画面が大いに役立つのである。「録」も「6」もキーワードとして大きな意味を持つと考える。これが掛け合わされた時、写真の中で事件が起こる可能性があるからだ。
撮る人と観る人とが別の世界を共有ができる写真の機能。この与えられた偶然の出来事に素直に喜びを感じようではないか。
赤城耕一
東京生まれ。エディトリアルではドキュメンタリー、ルポルタージュ。PR 誌、コマーシャルでは人物撮影。カメラ・写真雑誌、WEB マガジン、撮影の HOW TO からメカニズムの 論評、新製品カメラ、レンズのレビュー。写真集評、写真展評も行う。ワークショップでは 撮影指導も行っている。使用カメラは 70 年前のライカから、最新のデジタルカメラまでと 幅広い。「アサヒカメラ」(朝日新聞出版)で「銀塩カメラ放蕩記」を連載。著書に「定番カメラの名品レンズ」(小学館)「銀塩カメラを使いなさい!」(平凡社)「ズームレンズは捨てなさい!」(玄光社)、最新刊は「赤城写真機診療所 MarkII」(玄光社)、リコーフォトアカデミー講師。