ファミリークラブ

入賞者発表

総評　大和田良
　コロナ禍においては、撮りたい場所に自由に行くことや、会いたい人に会いに行くといった、写真において最も基本となる行動のほとんどが制限されてしまいます。その点で、撮影のモチベーションがなかなか上がらないという方も多いのではないでしょうか。
　今回の審査でも、最近撮ったと思われるスナップは比較的少なく、過去に撮影されたであろうストックからの応募が多く目立ちました。行動が制限される中での撮影が難しいのは、今までの経験が通じず、良い写真を撮れるイメージが持てないということが理由であることも多いのではないかと思います。
　そこで一度試してみてほしいことは、改めて意識的に目の前の新しい世界を楽しんでみる、興味を持ってみるということです。写真には、作者の好奇心や発見、感動がダイレクトに反映されます。そのような写真は、見る側にも必ず驚きをもたらすものです。ですから、まずは撮影者本人が目の前の世界に関心を持つことが最も重要だと言えるでしょう。意識を変えれば、遠くの絶景や美しい被写体と同じように、あるいはそれ以上に興味深いシーンを目の前の身近な日常に見つけることができるでしょう。
　また、その身近な日常こそが、他の誰もが撮れない自分だけの世界でもあります。多くの場合、良い写真というものは、美しい写真を指すのではなく、その人にしか撮れない写真のことを言います。とらえるべきテーマやモチーフは、意外と近くにあるものだと思います。