ファミリークラブ

入賞者発表

総評
　全体に個性溢れる作品でした。1枚に丁寧に込められている作品、組写真の表現には物語、時系列も考え組み込まれ、表現の豊かさにも感心しました。皆さんがそれぞれにこだわって撮影されていること、もう少し枠があれば上位に推薦したい作品もあり、審査には大変悩みました。写真の視点や世界観がいい！と感心するも、何かが足りない惜しい作品も多々ありました。足りないもの、それはなにか……「人に見せる」という意識です。
　フランスで写真活動している頃、プリントまでが作品なのだと教えられました。選考ではプリントからその作者が伝えたいことを読み取り、1 枚1 枚作品と向き合いながら審査していきます。最終的に選ばれた作品に言えることはプリントまで作風をしっかり表現されていて、綺麗な仕上がりをされていたこと。写真の内容はいいのに、プリントの色調整や紙質が合っていないことで、ピントがあまく見えたり、色つぶれがあったり、力作もプリントの仕上がりで決定付けることもあります。「見せる」を意識して仕上げにもこだわってみてください。
　撮影技術はあるのに写真に作者の心が投影されず、意図が見えてこないのは大変もったいないことです。描きたい情景を撮る技術は必要ですが、もっと高みを目指し打破するためには作者自身の感情が伝わる何か、思いを投影することができたならば、見る人に心揺さぶる傑作が生まれるでしょう。これを撮りたいというひたむきな情熱もまた感動を与える根源であるので大切にしていってください。
これらは皆さんのレベルの高い作品だからこそ言えることです。シャッターを押すその時の思いを大切に切り取って「見せる」「伝える」最高傑作を追求していきましょう。