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連載コラム 写真三昧 SHASHIN ZANMAI
プロフィール

 

池永 一夫
いけなが かずお

 

東京写真大学卒(現・東京工芸大学)、写真大好き人間。一日一写、写真俳句を日々の楽しみにしている。リコーイメージング株式会社リコーイメージングスクエア銀座所長。武蔵野美術大学の非常勤講師を勤めるなど、カメラ、写真の講師としても活躍中。一滴会同人。

リンク ペンタックスファミリー 光と色の反射率 by Dr.M

ホワイトバランスの運用法(2)

白い紙
 
グレーカード
 
CBLレンズ
CBLレンズはRicoh Imaging Storeでも購入できます。※リンク先はRicoh Imaging Store

デジタルカメラを使いこなすポイントのひとつに色の調整があります。色をどのようにカメラ内で作るかですが、その設定には画像仕上げのカスタムイメージと白を調整するホワイトバランスの2つがあります。前回はそのひとつホワイトバランスのペンタックスならではのモードであるCTE(Color Temperature Enhancement)を取り上げました。もうお試しいただけましたでしょうか。今回はホワイトバランスの中のマニュアルホワイトバランス(以下MWBで表記)についてのお話しです。

マニュアルホワイトバランスとは

ホワイトバランスの設定は大半の場合はオートホワイトバランス(以下AWBで表記)でOKです。ただし、正確なホワイトバランスを取りたいときにMWBを使います。たとえば絵画の複写で正確な色を再現したいときです。その時に重要なのが白を調整するターゲットです。一般的には白い紙を使いますが、白といってもさまざまな白があります。18%のグレーカード(標準灰色板)を用いることもあります。今回はそのMWBのターゲットのひとつであるCBLレンズを使っての調整を紹介します。

CBLレンズの使い方

CBLレンズというツールですが、白色のギザギザの円盤になっています。被写体に届く光を受け止め、その反射光を取り込み調整するものです。使ってみるとAWBで調整の難しいシーンに効果があります。白熱灯下の条件でAWBとMWBで比較してみました。AWBでは暖色系の色が若干ですが残ります。MWBでは完全に調整をして白を再現しています。これが本来のMWBによる調整であり、当然のことといえます。興味深いのはそれだけではなく、作品づくりにおいて色へのこだわりがある場合にCBLレンズを使ったMWBが絶大な効果を発揮することです。

CBLレンズ使用例(撮影;イエギン髙濱さゆり)

たとえば雨の紅葉を撮影したときです。AWBでは青くにごった色にしか発色できないときにCBLレンズを使ってMWBを取ると紅葉の赤を見事に再現できるのです。また、雨の湿原で撮影したときです。AWBでは葦の色が青くにごってしまいますが、CBLレンズを使うと青のにごりがなくなります。また、日の出や夕暮れ時の撮影ですが、太陽が地平線より低い位置でAWBは空が青く表現されます。そんなときにCBLレンズを使うと黄金色の空を演出することができます。

 

白熱灯下でミニチュアを撮影  
 
AWB   CBLレンズによるMWB
     
雨の紅葉    
 
AWB   CBLレンズによるMWB
     
雨の湿原    
 
AWB   CBLレンズによるMWB
     
日の出    
 
AWB   CBLレンズによるMWB
     
夕暮れ    
 
AWB   CBLレンズによるMWB

 

CBLレンズの使い方

使い方はいたってカンタンです。

   
1. カメラ本体のホワイトバランスをMWBのモードにします。   2. K-5や645Dは3つのMWBの設定が可能です。どこに設定するかを選びます。   3. 次に十字キーを右クリックするとSHUTTER調整が表示されます。シャッターを切ることで調整します。
         
4. そのときのターゲットであるCBLレンズとカメラの関係がポイントです。CBLレンズを被写体と同じ位置におきます。風景では直接に光源を受け止めるようにします。(参照:雨の紅葉)そのときの注意点はCBLレンズの表面の保護カバーが反射する場合があり、反射をしないように角度を調整してシャッターを切ります。 5. 調整枠が緑色で表示されます。CBLレンズが画面全体のときはそのままOKボタンを押します。CBLレンズが画面の一部である場合は後ろ電子ダイヤルを1クリック動かすと緑色の枠が小さくなります。十字キーで中心になるように調整をしてOKボタンを押します。
 
     
6. さらにOKボタンを押します。   7. もう一度OKボタンを押して調整を完了します。    

ホワイトバランスの運用は柔軟に

ホワイトバランスにはオートのAWB、オートの逆補正のCTEのほかに太陽光や日陰などのプリセットホワイトバランスがあります。ホワイトバランスは選択肢が多いほど色の調整がしやすくなるわけです。絶対的なホワイトバランスがあるわけではなく、AWBを基本にどのホワイトバランスを使うかは作者の色へのこだわりがすべてです。そのためホワイトバランスの運用は柔軟におこないます。MWBもその中のひとつです。CBLレンズによるMWBも大いに活用していただきたいと思います。