645Dを活かす三脚の使いこなし 前回は645Dを手持ちでいかに気軽に楽しんでいただけるか、というお話をしましたが、今回は三脚を使うお話です。やはり4000万画素の超高精細画像を活かしてクオリティの高い大判プリントに仕上げるには三脚が重要になってきます。645Dを活かす上で重要な三脚の使いこなしと撮影のポイントをマスターしましょう。 3つのポイント 645Dに限らず、三脚での撮影には大きく分けて3つのポイントがあります。それは「1.カメラのクラスにあった三脚の選択」、「2.ブラさないための正しい運用」、「3.仕上がりの作品に三脚の存在を感じさせないこと」です。 1.カメラのクラスにあった三脚の選択 Geo Carmagne N635。Ricoh Imaging Storeでは、別売4ウェイ専用ケースとスペアシュー付で販売中。※リンク先はRicoh Imaging Store
原則として三脚は重たいほど安定します。それは間違いありませんが、最近は素材もかなり良くなっていますので、それほど重たい三脚を揃える必要はないかと思います。一番わかりやすいのは、三脚のカタログに添付されている対応表を参考に、自分が持ち歩きできる三脚を選ぶことです。なお、雲台はクィックシュータイプあるいは、別にクイックシューを用意されることをおすすめします。クィックシューはなるべく大きく頑丈なもの、さらにスペアシューを一個揃えておくと良いでしょう。ちなみに、私は最近ベルボンGeo Carmagne N635という機種を使用しています。 2.正しい運用 さてせっかく良い三脚を手に入れても、その使い方を間違ってぶれを発生させてしまっては苦労も水の泡です。ぶらさないための正しい運用をマスターしましょう。 まずは立てる場所。あまり柔らかい地面(腐葉土など)や橋の上はNGです。どうしても橋の上でなければ求めるアングルが得られない場合には、橋脚の真上など出来る限り振動の来ない場所を選び、クルマや人通りの少ない瞬間を狙って撮影します。
また、ぶれを防ぐためリモコンでシャッターを切ることをおすすめします。特に長い焦点距離での撮影時はミラーアップを併用します。お持ちの方はケーブルスイッチCS-205でも構いませんが、防滴性能と三脚にあたってぶれの原因になったりすることを考えると防水リモートコントロールO-RC1がベターです。付属はしていませんが、ストラップを付けて首からぶら下げておくと撮影の時スムーズです。 それから、三脚での撮影時はファインダーから目を離すことが多いので、ファインダーからの「逆入光」による露出の狂いを防ぐため、レリーズ時にファインダーを軽く手で覆います(ミラーアップ併用時はミラーアップする時)。 その他、調整する時には必ず必要なネジを緩めて行う、撮影時には全てのネジを締めるなど、固定部分の操作は基本の通りに行いましょう。 3.三脚の存在を感じさせない ここが三脚を使う上で最も重要なポイントだと思います。手持ちでの撮影に比べて三脚での撮影はある程度不便で面倒が伴います。ここで手を抜くと、いかにも「三脚で撮りました」という作品になってしまうのです。 第一歩は、「いきなり三脚を立てない」ことから始まります。撮影地に到着していきなり三脚を立てる方が多いですが、このあと位置や高さを大きく調整するのは面倒です。つまり「とりあえず三脚を置いた位置」=「撮影ポジション」になってしまうのです。撮影したい場所に到達したらまずは肉眼で、そしてファインダーを覗いてアングルを探しましょう。前後、左右、上下しっかりと動きます。手持ち撮影では普通の動作だと思います。ベストポジションを見つけたら、そのポジションにカメラが固定できる位置に向けて三脚をセットします。
次に、いよいよ三脚を組み上げるわけですが、最初に脚を一本だけ必要な長さに伸ばします。実際は必要な高さより少し低めを目標に伸ばしておくのがポイントです。伸ばした脚を地面に突いた状態で行うと後の作業が楽になります。この時、脚に目盛りがついていると便利です。 伸ばし終えたら全ての脚をしっかりと開いて固定します。高さの微調整をエレベーターで行います(脚を想定するピッタリの高さに伸ばしてしまっていると、ここから少し低くしようと思った時に大変です)。
カメラをセットする前にエレベーターシャフトが地面に垂直に立っているかを確認しましょう。雲台のそれぞれの目盛を水平(写真)にセットした状態で、水準器で調整します。これをやっておかないと、最初はカメラを水平にセットしても、パン(水平方向の回転)したときに水平がずれてしまいます。 こうしてようやくカメラがセットできるわけですが、ファインダーを覗いてフレーミングして納得がいかない時は、面倒でも三脚から調整し直します。時はにポジションを移動したり、脚を伸ばしたり縮めたりすることも大切です。 縦位置で撮る
645Dを縦位置で撮影する時は、ボディ側面についている縦位置用ネジ穴を使用します。これは三脚上でのカメラの重量バランスが安定するだけでなく、縦横の光軸がほぼずれないというメリットもあります。特にマクロ撮影では横位置でフレーミングしてから雲台で縦位置に変えると大きく構図が変わってしまいますが、縦位置のネジ穴を使うとあまり変わりません。クィックシューを使用し、ボディ底面と側面の2箇所にシューを装着しておくと、変換がワンタッチになります。この使い方に一度慣れるともう元には戻れないことでしょう。 移動をする
次の撮影地へとある程度の距離を移動する際にはできる限りカメラを一旦取り外し、三脚も短く畳んで持ち運びましょう。カメラが装着され脚が伸びた状態の三脚を肩に担いで移動することは周囲とのトラブルの元になるだけでなく、カメラが落下したりと大きい事故の元にもなります。ちょっと面倒でもこの一手間を惜しまないようにしましょう。 この際、パン棒の1本を外してもう1本の後ろにねじ込んでおくと、出っ張りがなくなります。ストラップで肩に背負った時にパン棒が腰に当たらず快適です。 いかがでしたでしょうか。確かに三脚での撮影は手持ちに比べると面倒で手間がかかります。でもひとつひとつの作業を丁寧に積み重ねていくと、自分の手足の延長線として三脚が使いこなせるようになり、そのことが作品にも表れてくるはずです。ぜひ実践してみてください。 |