ホワイトバランスの運用法(1)
K-5で緑を写す
デジタルカメラを使いこなすポイントで重要なのが露出と色です。フィルムカメラで色を決定付けるのはフィルムそのものです。そのためにフィルムの特性を理解し選択しなくてはなりません。フィルムの選択が仕上がりを決定づけるからです。
ではデジタルカメラはどうでしょうか。デジタルカメラはフィルムの選択にあたる部分は画像の仕上がりであるカスタムイメージやホワイトバランスの選択にあります。言い換えればデジタルカメラはカメラの中でフィルムを作ることができるわけです。どのような仕上がりにするかはそれらの設定いかんということです。そのためにその運用に関わる知識が必要です。今回はホワイトバランスの中でペンタックスならではのCTEを取り上げます。
CTEとは
ホワイトバランスはさまざまな光源のもと白を再現するための調整機能です。その中でペンタックス独自の調整モードがCTE(Color Temperature Enhancement)です。AWB(オートホワイトバランスが偏った色を調整するのに対してCTEは逆補正するモードです。
ホワイトバランス設定画面:CTEに設定 |
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夕景:AWB(オートホワイトバランス)
赤味が調整されてあっさりとした色合いです。 |
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夕景:太陽光
AWBと比較してやや赤味がありますが、大きな差がありません。 |
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夕景:CTE
AWBで調整される赤味を引くのではなく逆補正により赤味が増しています。 |
たとえばこの写真のように夕景をAWBで写すと赤味を調整するためにあっさりとした仕上がりになります。赤味を引き出すために太陽光モードを使うことがありますが、CTEにするとAWBの逆補正なので赤味をプラスすることになり、より強い印象になります。実景とは異なりますが、夕景をより印象的に仕上げるには有効なモードと言えます。このモードはペンタックスならではの独自モードで、K-7以降の機種に搭載しています。ぜひお試しください。
CTEで緑を写す
CTEの有効なシーンは日の出、日没時の赤味の多いシーンに有効です。ほかには新緑や紅葉といった単一色の多いシーンに有効で、より深い色を出すことができます。緑の多いシーンでCTEを試してみました。AWBに比べてCTEがより緑の印象が強く表現されています。ただし、AWBも相当に優秀で他の色への影響がないかを見極めなくてはなりません。たとえば緑の中に咲く白い花といったシーンでCTEを使うと、緑色は深まるが白い花に緑味がつく影響があります。仕上がりを確認しながらのホワイトバランスの運用をお勧めします。そこで撮影後に色の仕上がりを確認しながらホワイトバランスの設定が自由にできるのがRAW(ロー)データです。
RAWデータで撮影をしておけば撮影後にホワイトバランスを変更することが簡単にできます。そのRAWデータはパソコンを使わずにカメラ内で現像処理できるというのもペンタックスの特長です。RAWの運用と現像処理は別の機会にお伝えしたいと思います。
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