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第10回
The Architect 【Beaver】 – 森の建築家

  • PENTAX KP + smc PENTAX-DA50-135mmF2.8ED[IF] SDM + HD PENTAX-DA AF REAR CONVERTER 1.4X AW
    ダムや巣を築くため大きな前歯で木をかじり倒す。木の葉や皮を食べ、葉を食料とするために木をかじり倒すこともある。水かきは後ろ足のみで、前足は物を掴むこともできる。

  • PENTAX K-1 + smc PENTAX-M20mm F4
    ビーバーによってかじり倒された木々。水辺の林の中で頻繁に見かける。体長1mほどの生きものが大木を倒したのかと思うと、彼らの『生きる力』にただ圧倒される。ビーバーは働き者とされ、英語には ’work like a beaver’ (ビーバーのように働く)という言い回しがある。

  • PENTAX K-1 + HD PENTAX-D FA 150-450mmF4.5-5.6ED DC AW
    浮力を活かして自分の体長の何倍もあるような木を口で咥えて運んでいく。いったい何度この作業を繰り返すのか?人間にしたら気の遠くなるような作業だろう。ビーバーは親に教わらなくても本能的にダムやロッジを築くという。

  • PENTAX K-1 + smc PENTAX-DA FISH-EYE10-17mmF3.5-4.5ED[IF]
    車を走らせている間も常に動物を探しているのだが、視界の隅にこのビーバーダムがちらりと見えたのでUターン。少し歩くと予想以上に大きなダムが姿を現した。道路からは角度的に見難く看板があるわけでもないのでほとんどの人は気付かずに通り過ぎているだろう。人知れず行われた野生の営み。

  • RICOH GR III + GA-1 + GW-4
    こちらのダムは幅は狭いが高さは私の身長以上、2mはあると思われる。ダム下流には大きな湖が広がっているのだが、このダムの上流側にも水位が2mも高い湖が広がっている。このダムが築かれる以前はどんな景色が広がっていたのか?周辺の環境を作り変えるというビーバーの作業の壮大さを思い知らされた。

  • PENTAX KP + smc PENTAX-DA50-135mmF2.8ED[IF] SDM + HD PENTAX-DA AF REAR CONVERTER 1.4X AW
    ビーバーはペアとその子どもたちからなる家族で生活する。年に一度1~6頭の子どもを産むため当年および前年生まれが親とともに暮らし、約二年で独立していく。

  • PENTAX K-1 + HD PENTAX-D FA 150-450mmF4.5-5.6ED DC AW
    特徴的な硬く平たい尻尾。ちなみにカナダにはこのビーバーの尻尾のような形の揚げパンに様々なトッピングをのせた『ビーバーテイル』というスイーツが存在する。ビーバーは国獣であり、国立公園のシンボルや5セント硬貨にも描かれるなど、カナダ国民にとってとても身近な存在。

  • PENTAX K-1 + HD PENTAX-D FA 150-450mmF4.5-5.6ED DC AW
    危険を察知すると尻尾を水面に叩きつけて仲間に知らせる。静寂の中、水面を叩く音が響き渡り、ビーバーは水中に姿を消す。再び静寂が戻りしばらくすると予想以上に離れた場所からまたひょっこりと顔を出す。

知れば知るほど面白いビーバーの生態

私の撮影エリアであるカナダ北西部やアラスカで水辺を散策していると、ビーバーの痕跡を見ることがとても多くあります。トレイル脇にはビーバーがかじって倒した木、かじっている途中の木、そしてカヌーで水上に出るとビーバーロッジと呼ばれる彼らの家をよく見かけます。道路を走っていると、水辺にビーバーダムを見つけることもしばしば。北米に生息するアメリカビーバーの数は現在1,000万~1,500万頭と推測されていますが、以前は1億~2億頭もいたと考えられています。激減した理由はヨーロッパからの入植者による毛皮目当ての乱獲。一時は絶滅の危機にあったと言われていますが、今日では保護が進み回復に転じています。

ビーバーがダムを築くことは皆さんご存知かと思いますが、このダムは上流に築いたビーバーロッジと呼ばれる巣の出入り口が水中になるように水位を調節するために築かれます。このためビーバーは「人間以外で唯一、自らの生活のために周辺の環境を作り変える動物」とも言われています。ダムやロッジは世代を越えて使用されるため、ダムは年月をかけて伸長し、現在確認されている世界最大のビーバーダムはカナダ・アルバータ州ウッドバッファロー国立公園で見付かった850mのものになります。

特徴的な板状の硬い尻尾は水面に叩きつけて仲間に危険を伝える役割と共に、脂肪を蓄える役割もあるといいます。水中では鼻と耳の穴を閉じることができ、およそ15分間も水中にいることができるそうです。知れば知るほど面白いビーバーの生態。今後もじっくりと観察を続けていきたいと思います。

今回掲載の写真では、オールドレンズであるM20mm F4やAPS-C用DA10-17 Fisheye Zoomの15mm付近をフルサイズのK-1で使ったり、最近使い始めたGR IIIとワイドコンバーターの組み合わせを使ったりしている。既成概念に囚われず自由な発想で状況に応じて機材を使い分けたい。GRはストリートスナップのイメージが強いが、アウトドアでの環境記録用ツールとしてもとても魅力的。野山を散策中には、フィールドノートをつける感覚で目に付いたもの気になるものをどんどん収めている。

プロフィール

花谷 タケシ

京都市出身。独学で写真を学び、1998年カナダに渡航。西海岸から東海岸まで車で横断した後、カナディアンロッキーで過ごす。ここで次第に熊に魅せられさらなる北の大地アラスカや極北カナダに撮影フィールドを移していく。2007年にカナダへ移住し、2010年よりユーコン準州ホワイトホース市を終の棲家とし定住。《人間》対《自然》ではなく、人間も自然の一部として他の生きものたちといかに《共生》していくかを模索しながら、極北の厳しい自然環境の中で生きる野生動物の姿を追い続けている。

オフィシャル・ウェブサイト:熊魂 yukon-bearspirit:
www.yukon-bearspirit.com
フェイスブックページ:
www.facebook.com/yukon.bearspirit

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