第7回
EXPOSURE 1 - 露出を操る 1 【スポット測光のすすめ】
スポット測光+マニュアル露出
写真撮影には「感性」と「理論」の二つの要素があります。前者は各々で「磨くもの」ですが、後者は「学ぶこと」で誰でも理解して実践することが出来ます。以前露出調整について少し触れましたので、今回から数回に渡り私の露出設定手順や露出に関する考察など書いてみたいと思います。
私は基本的にスポット測光+マニュアル露出で撮っています。何故ならその組み合わせが「最も自分の意図した露出を決められるから」です。分割測光というのは過去の膨大な撮影データを元にカメラによって分割測光・演算され、「適正と思われる値」に自動でセットされるものです。チャンスを活かしたいスナップ撮影の場合は分割測光を使うことも「あり」だと思いますが、自ら露出を操りたければ少しでも狭い範囲を測って「自分で読む」必要があります。そのためのスポット測光ですが、スポット測光は必ずしも『主要被写体』を測るものではありません。構図内のどこでも測りたいところを測るものです。私は撮影に入る際、動物を見付ける前から現場をスポット測光して仮の値をセットしておきます。PENTAX機であれば、マニュアル露出でグリーンボタンを押せばカメラが絞りとシャッタースピードを自動でセットしてくれます(ハイパーマニュアル)。この時大切なのは、内蔵露出計は反射光式ですから反射率が±0に近い色を探してグリーンボタンを押すことです。そして中央のスポット測光サークルを反射率の異なる色数ヶ所に合わせて露出インジケーターの値を読み、設定に確信を持てるか確認していきます。つまり、「何色ならどれくらいの反射率か」ということを知って覚えておく必要があります。文章ではわかり難いですが、これが理解できていれば露出を自分の思い通りに操ることができます。Beautiful Photo-lifeのアーカイブスに『色と光の反射率 ~こだわりの色再現~』という連載がありました。合わせて読んで頂くと理解し易いかと思います。背景となる現場の露出が適正であれば、そこにどんな色の動物が現れても基本的に露出が大きく外れることはありません。一方で「晴れ→曇り」「順光→逆光」「日向→日陰」など、現場の光線状況が変化したら測光し直す必要があります。
プロフィール
花谷 タケシ
京都市出身。独学で写真を学び、1998年カナダに渡航。西海岸から東海岸まで車で横断した後、カナディアンロッキーで過ごす。ここで次第に熊に魅せられさらなる北の大地アラスカや極北カナダに撮影フィールドを移していく。2007年にカナダへ移住し、2010年よりユーコン準州ホワイトホース市を終の棲家とし定住。《人間》対《自然》ではなく、人間も自然の一部として他の生きものたちといかに《共生》していくかを模索しながら、極北の厳しい自然環境の中で生きる野生動物の姿を追い続けている。
オフィシャル・ウェブサイト:熊魂 yukon-bearspirit:
www.yukon-bearspirit.com
フェイスブックページ:
www.facebook.com/yukon.bearspirit
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