
師岡清高はライフワークとして取り組む水と空気を使っての表現を写真によるデカルコマニーと呼んでいる。デカルコマニーとは紙と紙などの間に絵の具を挟んで圧力をかけることで、 絵の具が押しつぶされて広がることで偶発的に模様が生まれる技法である。二つ折りにした間に絵の具を入れて圧力をかけると左右対称の模様ができるのもその技法のひとつである。 紙のほかアクリル板が用いられたりする。陶器の絵付けにも利用される。そのプロセスは人の手により生まれるデリケートで、しかも唯一無二の現代アートともいうべく魅力がある。 作者は偶然から生み出される造形との出会いを創作の原点においている。いつ終着点を迎えるのか、まさに未知への挑戦である。そのデカルコマニーの制作活動が丹平写真倶楽部の文化を継承したと評価され、 令和3年第21回日本写真芸術学会より芸術賞を受賞。今回の写真展は10年間に及ぶ創作活動のなかから約40点(一部新作を含む)のアーカイバルピグメントプリントを展示、併せて展示作品の販売をする。