スペインの村巡りの相棒として選んだカメラがK-1 Mark IIだった。石畳の道を歩き、心ときめく被写体と出会ったら、瞬時にカメラを構えてシャッターを切る。33点AFシステムが狙ったところに瞬時にピント合わせ、5軸5段の手ぶれ補正がよく効くおかげで、ぶれによる失敗がない。液晶モニターで作品をチェックする度に喜びを感じた。
ローパスフィルターレスのイメージセンサーと、画像処理エンジンPRIME Ⅳが生み出す画像は、目を見張る美しさがある。特に、薄暗い聖堂内で感度を6400以上で撮ると、初代K-1に比べ、ノイズが低減し色彩再現性が向上していることがはっきりとわかった。
旅の途中、絶景と出会うと、リアル・レゾリューション・システムを積極的に活用した。RAWで1枚あたり160メガ以上になるが、645Zと同等の、いやそれ以上の超高画質の作品を得られるので、旅先での心の安心感に繋がっていく。
正常進化を遂げたK-1 Mark II、もうこれ以上はないというくらい完成度が高くなっている。実は初代K-1も、誰よりも早くアップグレードをした。今後は2台体制で、数多くの地球の美しさを切り取っていこうと考えている。

PROFILE
吉村和敏(よしむら かずとし)
1967年、長野県松本市で生まれる。
県立田川高校卒業後、東京の印刷会社で働く。退社後、1年間のカナダ暮らしをきっかけに写真家としてデビューする。以後、東京を拠点に世界各国、国内各地を巡る旅をつづけながら、意欲的な撮影活動を行っている。自ら決めたテーマを長い年月、丹念に取材し、作品集として発表する。絵心ある構図で光や風を繊細に捉えた叙情的な風景作品、地元の人の息づかいや感情が伝わってくるような人物写真は人気が高い。近年は文章にも力を入れ、雑誌や新聞の連載、エッセイ集の出版など、表現の幅を広げている。
2003年 カナダメディア賞大賞受賞 2007年 日本写真協会賞新人賞受賞  2015年 東川賞特別作家賞受賞