発売日から使い始め使い慣れていたK-1。そこに新しいK-1 Mark IIがやってきた。両者にはどのような違いがあるのか、実際に使ってみた使用感を解説したいと思う。
まず手に持った感触は、基本K-1の初代と何も変わらず、何が変わったのだろうという感じである。だが実際に使ってみるとその違いは顕著であった。以前から使い慣れたK-1の操作性はそのままに、大きく改善されたと思った点は2つある。
それは色の再現性と高感度特性である。
色の再現性についてだが、私は他のカメラマンよりも色を大量に使う。それによってK-1の得意な色、苦手な色、そういったものを自分なりに把握してきたつもりだが、今回のK-1 Mark IIでは今までであれば色が被ってしまったり、この色はうまく表現できないであろうと思っていた色合い(特に低感度での色合い)が格段に改善していると感じる。ダイナミックレンジ等に何か変化があったのではないかと思うほどのレベルで違うのである。そのため作品を見ていただいてもわかるように、緻密な色合い、微妙な色合い、そして色による立体感の構成などがたやすくできている。
次に、何よりも大きく変わったと思われる部分が高感度特性である。
センサーが変わったのではないかと思われるほどのノイズの低減。輝度ノイズよりも色のノイズに対するノイズの軽減効果が高いように感じる。私は赤にこだわり赤をよく多用するが、高感度で必ず赤にかかっていた色ノイズが、同じ感度で使ってもK-1の初代と比べてはるかに消えているのである。これは特筆すべき点である。また、暗いところの作例を見ていただくとよくわかると思うが、以前よりもはるかに高感度特性が高い。そしてディテールの表現力が豊かで、色ノイズも抑えられているために表現方法が多彩に変化している。一つ上のランク、一つ上の高級車に乗り換える感覚でK-1 Mark IIを使っていただけるのではないかと思う。

01
頭上1灯とろうそくの明りのみで撮影。高感度特性に関してはK-1 Mark IIの右にでるカメラはそうはないのではないだろうか。非常に高感度特性が強い上に手ぶれ補正も付いており、三脚などが使えない場所ではこれほど重宝する機能はない。暗い場所でのノイズレス、撮りたいもののディテールは残しつつ余計なノイズを消してしまうというPENTAXの技術には頭がさがるばかりである。

02
暗闇の中、水中に入れたLED4灯の明りのみで撮影。RAWデータの出来が非常に良いがために暗い状態から持ち上げて現像したときもノイズレスで非常に美しい画像を得ることができる。これはK-1 Mark IIの高感度特性でなければ絶対に撮ることができない。フルサイズの限界を超えた写真といえよう。

03
孔雀の羽根を撮影してそれを背景に使い、女性を孔雀に見立てて花と一緒に撮影した。難しい色合いのグリーンからブルーへの階調を非常に正しくかつ美しく表現できるのはK-1 Mark IIである。前モデルも非常に優秀であったが今モデルになり、ダイナミックレンジの美しさと色の出が非常に良くなったと思う。難しい色合いも難なく出せるようになり、非常に便利だ。

04
数百本の芍薬の花を利用した撮影。鮮やかな色を出すときには雅に限る。カスタムイメージ・雅(MIYABI)を使えばいわゆるVividのようなコントラストが強いだけの色合いではなく、非常に美しい赤が綺麗にのった色合いを得ることができるのだ。

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D FA70-200mmのレンズを使い望遠でストロボを3灯使って撮影した。モデルの衣装を見て欲しい。この透けている質感を見事に表現していることがわかるかと思う。こちらの表現力というのはK-1 Mark IIならではだと思う。

PROFILE
HASEO
APA(公益社団法人 日本広告写真家協会) 正会員
本物にこだわり、自身の作品では合成を使用せず、現地にて撮影することをポリシーとする。
花は全て生花を使用、やがて朽ちてしまうからこそ写真で撮ることで色褪せず、美しい瞬間を残している。
独自の世界観にて写真で物語を生み、オリジナルのストーリーを展開している。
多くのファンから支持をされ、写真絵本も人気となっている。
海外でも多くの賞を受賞。
また、頭蓋骨に合わせた撮影技法を論理的に体系化し、撮り方やライティング本も人気となっている。