東洋と西洋が出会う神秘の国トルコ。以前から憧れていたこの地を、PENTAX K-1と共に旅をした。旅立つ前から、フルサイズ機とは思えないほどのコンパクトなボディに惹かれていた。愛用しているthink TANK Photoのウエストバッグに、PENTAX K-1とズームレンズ3本がすっぽり収まる。お陰で、空港や駅での移動がとても楽だった。
イズミルの海辺から撮影を開始した。いつもPENTAX K-3とPENTAX 645Zを使っているので、ダイヤル操作や各種設定は何の迷いもない。むしろ、オートブラケット時の連写スピード、暗がりでの的確なオートフォーカス、ボディ内手ぶれ補正が進化しているので、撮影時は驚いてばかりだ。新機能として加わったキーロック(Type2)はとても嬉しかった。知らぬ間に十字キーをさわり勝手に設定変更されていた、という失敗が皆無になったからだ。
PENTAX 645Zのときもそうだったが、PENTAX K-1の耐久性には目を見張るものがあった。エフェスでは大雨、カッパドキアでは大雪で、ボディはびしょ濡れ状態。そんな悪条件下でも何ら問題なく作動し、逆に「カメラは大丈夫なのか?」と旅先で出会うトルコ人が心配してくれたほどだ。
最も感動したのは、フルサイズCMOSイメージセンサーが生み出す有効約3640万画素の上質な画質だった。真っ白な雪景色、モスクの緻密な壁画、イスタンブールの街の夜景……と、どんな被写体を捉えても、緻密でリアリティのある絵を生み出してくれる。センサーのサイズが大きくなると、作品に独特の「深み」が宿ることを改めて認識した。
ここまで画質が素晴らしいと、今後、PENTAX 645Zとの使い分けが難しくなってくる。手持ちで数多く撮影するときはPENTAX K-1を、三脚を使ってじっくり撮影するときはPENTAX 645Zを、という感じになるのだろうか。いずれにしても、贅沢な悩みであることに違いない。

PROFILE
吉村和敏(よしむらかずとし)
1967年、長野県生まれ。高校卒業後、東京の印刷会社で働く。退社後、1年間のカナダ暮らしをきっかけに写真家としてデビューする。以後、東京を拠点に世界各国、国内各地を巡る旅を続けながら、意欲的な撮影活動を行っている。絵心ある構図で光や影や風を繊細に捉えた叙情的な風景作品、地元の人の息づかいや感情が伝わってくるような人物写真は人気が高い。代表作に『BLUE MOMENT』『Sense of Japan』『CEMENT』『「イタリアの最も美しい村」全踏破の旅』がある。